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グローバル企業と共産主義

ちょっと共産主義について考えみようと思います。ただ、共産主義と言われてもピンとこないかもしれません。私たちの身の回りで共産主義者がいるとは思わないし、耳にするとしたら「中国共産党」とか「日本共産党」くらいでしょうか。それくらい馴染みのないものだと思います。

共産主義は、以下のように説明されます。

財産の私有を否定し、生産手段・生産物などすべての財産を共有することによって貧富の差のない社会を実現しようとする思想・運動
※「デジタル大辞泉」(小学館)より引用

みんなが平等な社会、それが共産主義のかたちです。

今の日本は資本主義で成り立っています。共産主義ではありません。ざっくり言えば、資本(お金)をもった資本家が会社を作り、その会社で働く労働者が生み出す商品やサービスによって社会が回っていく仕組みです(すみません、めちゃめちゃざっくりです)。資本家は、株式というかたちで会社を所有します。そこには、多くの資本家と会社があって、たくさんの価値観や経営方針が存在します。私たちは自由にお金が使えるので、かつては「自由主義」などとも呼ばれました。

しかし、資本主義も万能ではありません。自由競争をさせてしまうと環境汚染がひどくなったり、独り占めが起こったり、外国による乗っ取りが起こるなどの問題が出るので、公の存在である国家(政府)などが法律を作ったりして、規制をします。つまり、資本主義は、資本家が好き勝手できる仕組みにはなっておらず、多かれ少なかれ国家が管理・規制をする仕組みになっているのです。

さて、ここでもう一度、共産主義について見てみます。両者の説明として、このような言い方もあります。

共産主義とは共産党一党独裁の国家も消滅し、労働者だけになる社会ということになります。
※国際勝共連合「共産主義が実現すると国家が消滅する」より引用

中国が共産主義であると言われるのは、そもそも中華人民共和国という国の枠組みの上に、中国共産党という党があるからです。ウィキペディアによると、「中国共産党は、中華人民共和国憲法にて「国家を指導(領導)する存在」と規定される中国唯一の与党である」とされています。日本や他の多くの国々では、国家の枠組みの中に様々な政党があり、時には政権交代なども起こりますが、中国にはそれがありません。

そして、この国をみれば分かりますが、共産主義はけっして「みんなが平等な社会」を実現しません。あるのは絶対的な支配者と被支配者の存在です。いうまでもなく共産党という支配者と、人民という被支配者に分かれるということです。

問題はここからです。今、世界を共産化する動きがあるという話があります。陰謀論?そうかもしれません。しかし、今一度、よく考えてみましょう。

グローバル企業が大きくなってくると、相対的に国家よりも力が強くなります。実際、グローバル企業の売上は、一国の国家予算と同程度ということが当たり前になりました。日本の商店街が、外資の大手小売に壊滅させられたというのは有名な話ですが、超大手のグローバル企業は、国境を越えて、ますます影響力を増してきています。さらに日本国内では、しきりに「規制緩和」が言われるようになりました。このことによって、資本主義の欠陥を補っていた国家(政府)の影響力は弱まり、資本家が好き勝手できるようになってしまいます。

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資本家が好き勝手できるようになると何が起こるでしょうか。例えば、より大きな資本を持つものが、小さな資本を持つものを飲み込んでいくことになるでしょう。これまでもそういことはありましたが、ルール無用となり、それがもっと顕著になります。

中小企業は、大資本のグローバル企業などに吸収されて、巨大グローバル企業は、さらに大きく成長します。このことで、グローバル企業は、複数の国家を合わせたような巨大組織となっていくでしょう。

さらにこれまで自治体などが担っていた公共サービスも民営化されます。民営化というと聞こえがいいですが、要はグローバル企業のような海外の大資本が事業を担うということになるわけです。

こうしたことで、私たち日本人の生活は、日本の国家(政府)ではない、その上に存在するグローバル企業によって、支配される構図が生み出されていくことになるのです。国の上にある大きな仕組み・・・中国共産党のような力を持つことにならないか?これが上述のグローバル企業による世界共産化の動きです。

「いやいや、そんなものはただの陰謀論。グローバル企業というのは、資本主義のルールで動いているのであって、共産主義とは真逆の存在だよ。」

あなたがそう言いきれるのであれば、それに越したことはありません。私もグローバル企業のような資本主義の権化のような存在が、共産主義と結びつくとは思いたくありません。

しかし、ワクチンパスポート、人の移動制限、時短営業の押し付け、給付金の支給、SNSの監視、言論統制・・・共産主義への移行段階としてある社会主義では、「生産手段の社会的共有・管理によって平等な社会を実現しよう」とすると言います。今の管理社会化する流れが、世界共産化に向かうものでないことを祈るばかりです。

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