見出し画像

UXリサーチャーは、必然的にリベラルなのではないか

▪️UXリサーチャーの政治主張は控えめ

ちょっと変わった記事を書こうと思います。UXリサーチャー(以下UXデザイナーも含めます)の政治的態度は必然的にリベラルなのではないか、ということについてです。こういう見解を私は今まで見聞きしたことがないので、この記事が初めてなのかもしれません。

そもそも、UXリサーチャーはあまり政治的見解を明らかにしないようです。それは奥ゆかしさというか、いろいろなステークホルダーと付き合ううえで賢明ではないかもしれないし、相手の考えを尊重する職務上の習慣からくるものでしょう。

▪️UXリサーチの規範は権利と多様性の尊重

しかし、UXリサーチの調査参加者の考えを否定しない態度、調査に関する情報開示と本人承諾による参加の原則は、一人ひとりの権利と多様性の尊重そのものです。これを単なる業務上のテクニックと片付けてはいけないと思います。UXリサーチャーは専門職であり、医師や会計士などに見られるように、その職業に共通する倫理規範が共有されています。自己選択の権利と多様性の尊重、当事者参加による課題解決の理念こそ、UXリサーチャーの職業的倫理規範です。

保守の「伝統・権威・文化的統一性の尊重」をUXデザインの文脈で喩えてみれば、「エンジニアが制作したユーザーインターフェイスは、過去から技術的に磨き上げられてきたもっとも合理的な設計になっているので、ユーザーはみんなその操作方法を習得すれば満足できる」とでもなるでしょうか。やはり、UXリサーチャーの存在意義や社会貢献価値とは、本質的に相容れない気がします。

この記事をお読みくださった方、特にUXリサーチャーの方の信条について、どうこう言いたいわけではありません。ただ、UXリサーチの原則に共感して仕事をしているなら、普通にリベラル寄りの考えかたになるのではないかなと思ったので書いてみました。

いわゆる護憲リベラルにとどまらない現代リベラルを知るには、中公新書で出ている田中拓道『リベラルとは何か:17世紀の自由主義から現代日本まで』が良い本です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?