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No,124.漫画の意義『寄生獣』から心に残ったセリフ

※この記事は7分で読めます

寄生獣を読んでいて、いろいろ考えさせられたのでつらつらと書いてみる。

中田敦彦のYouTube大学でも紹介されています。

私がこの作品を読んで、特に印象に残ったセリフを抜粋します。

寄生獣

「寄生獣」(きせいじゅう)は、岩明均による日本の漫画。単行本はアフタヌーンKCより全10巻が発行された。2003年には連載時のカラーページを収録した完全版全8巻がKCデラックスで新しく発売され、その後も新装版、文庫版などが発売されている、全64話。
 あらすじ、寝静まった一軒の家、高校生の泉新一のもとに人間の脳を食べ寄生するパラサイトの卵が降ってきた。パラサイトは寝ていた新一を襲うが抵抗され脳への侵入に失敗、拍子で右腕に宿ってしまう。右腕を食われた泉新一と右腕に寄生したパラサイト(ミギー)との奇妙な生活が始まる。人間に寄生する謎の寄生生物(パラサイト)の捕食は人間である。そのため次々と人間を捕食していく。真一とミギーは、人間と寄生された人間との中間的な立場として、寄生生物と対決していくことになる。


『寄生獣』
印象に残った言葉


1巻

ナレーション「地球上の誰かがふと思った 『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか』・・・地球上の誰かがふと思った 『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるのだろうか』・・・誰かがふと思った『生物の未来を守らねば・・・』」(p.4-5)

ミギー「シンイチ・・・『悪魔』というものを本で調べたが・・・いちばんそれに近い生物は やはり人間だと思うぞ・・・ 人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているがわたしの『仲間』たちが食うのは ほんの1-2種類だ・・・質素なものさ」(p.90)

男のパラサイト(自分の右腕切った)「フン・・・牛やブタを平気でひき肉にしている人間どもが今さら何を驚いてる・・・」(p.92)

ミギー「受験勉強?あれは一種の暗号だろ?わたしがほしいのは生きる上で役立つ知識だ」(p.145)

2巻


ミギー「その言い方は正確じゃないな わたしのための命でもある」(p.140)

宇田守「こ・・・こいつは・・・もちろんきみのおかあさんなんかじゃない ・・・でもやっぱりきみがやっちゃ・・・いけない気がする」(p.234)

3巻

 
広川剛志(市長)「地球にとって 人間が『毒』となった だから『中和剤」が必要となった』(p.96)

ミギー「わたしは自分自身の味方であって『ヒト』という一つの種の味方じゃない」(p.265)

4巻


泉新一「人間をウシやブタや魚と同列に考えてみるんだって・・・そうすると人間は殺された動物たちのバラバラ死体の破片を毎日食べているわけだから・・・」(p.78)

5章


ミギー「よく聞け!おまえに生きる権利があるというなら寄生生物にもその権利がある もっとも『権利』なんていう発想自体は人間特有のものだろうがね」(p.72)

田宮良子(田村玲子)「例えば人間と家畜は共存していると言えない?もちろん対等ではないわ ブタから見れば人間は一方的な人(ブタ)食いの化物になるわけだしね 人間たち自身がもっと雄大な言い方をしてるじゃない『地球の生物全体が共存していかねばならない』中には『地球にやさしい』なんて見当はずれなコピーもあるけど」(p.97-98)

6巻


ミギー「いいか? きみとわたしは協力関係にあるがあくまで違う種の生物なのだ それぞれの種が持つ性質をなるべく尊重し合い 例えば自分の側の理念を押しつけ合うことなど極力さけるべきだと思う そうした上で我々に共通する目的は何かと考えるならとりあえず『生きぬく」ということだ そうだろう?」(p.13)

7章


広川剛志(市長)「こと『殺し』に関しては地球上で人間の右に出るものはない しかし きみたちがいま手にしている道具はもっと別の・・・さらに重要な目的のために使われねばならん つまり・・・生物界のバランスを守るためにこそ きみたちの本来の仕事さ 『間引き』だよ」(p.182-183)

広川剛志(市長)「もうしばらくしたら人間全体が気付くはずだ 人間の数を減らさねばならんということに・・・もうしばらくしたら・・・『殺人』よりも『ゴミのたれ流し』がはるかに重罪だということに」気づく そして・・・もうしばらくしたら我々という存在の重要さに気づき保護さえするようになるはずだ きみらは自らの「天敵」をもっと大事にしなければならんのだよ」(p.183-184)

広川剛志(市長)「そしてこの天敵こそは美しい大自然のピラミッドにぴったりとおさまる!人間の1つ上にな! それでやっとバランスが回復する!」(p.184)

広川剛志(市長)「地球上の誰かがふと思ったのだ・・・生物(みんな)の未来を守らねばと・・・」(p.184)

広川剛志(市長)「環境保護も動物愛護もすべては人間を目安とした歪な物ばかりだ なぜそれを認めようとせん! 人間一種の反映よりも生物全体を考える!! そうしてこそ万物の霊長だ!! 正義のためとほざく人間!! これ以上の正義が何処にあるか!! 人間に規制し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば人間どもこそ地球をむしばむ寄生虫!! いや・・・寄生獣か・・・」(p.186-187)

山岸「ナパーム弾」(p.197)
ベトナム戦争において米軍が、ナパーム弾を使って、森林の広範囲な焼却を行ったことも、暗に、人間が死んだだけでなく、森に棲む動植物も死んだことを含んでいるのではないか。

後藤(寄生獣)「見たとおりさ・・単なる野生生物だよ・・・」山岸「生物・・・だと?」 後藤(寄生獣)「お前らこそ何なんだ?」(p.225)

8章


ミギー「シンイチ・・・ 一番始めに君に出会って・・・君の脳を奪わなくて良かったよ・・・おかげで友達として・・・いろいろな楽しい思い出を・・・」(p.32)

美津代(田舎に住む老婆)「あんたには誰か心に・・・気にかかる人はいないのかねぇ・・・たとえ見ず知らずの相手でも1度かかわりをもっちまえばほうってはおけない・・・それが人間てもんなんだ」(p.103)

泉新一「増えすぎた人間を殺すため?地球を汚した人間を減らすため?そりゃ確かに人間の出した毒が生き物たちを追い詰めているのは知っている 生き物全体から見たら人間が毒で・・・寄生生物は薬ってわけかよ 誰が決める?人間と・・・それ以外の生命の目方を誰が決めてくれるんだ?」(p.178)

泉新一「殺したくない・・・正直言って必至に生き抜こうとしている生き物を殺したくはない・・・そうだ・・・殺したくないんだよ!殺したくないって思う心が人間に残された最期の宝じゃないのか」(p.179)

泉新一「人間に害があるからいって、その生物には生きる権利がないっていうのか 人間にとって不都合だとしてもそれは地球全体にしてみればむしろ・・・」(p.180)

泉新一「おれは寄生生物の立場に立つことはついに出来なかった そうとも元々そんなことはできっこない 違う生き物同士時に利用し合い時に殺し合う でもわかり合うことは無理だ・・・イヤ相手を自分という種の物差しで把握した気になっちゃダメなんだ 他の生き物の気持ちを解った気になるのは人間のうぬぼれだと思う 他の生き物は誰一人人間の友達じゃないのかもしれない でも・・・たとえ得体は知れなくとも尊敬すべき同居人には違いない 他の生き物を守るのは人間自身がさびしいからだ 環境を守るのは人間自身が滅びたくないから 人間の心には人間個人の満足があるだけなんだ でもそれでいいし それが全てだと思う 人間の物差しを使って人間自身をさげすんでみたって意味がない 人間自身を愛さずに地球を愛するなんて結局矛盾してるんだよ」(p.211-212)

泉新一「それで寄生生物が目立たない いや・・・もともとさほど目立ってなかったのかもしれない 人殺しも猛獣の食餌と言ってしまえばそれまでだし・・・あいつらは狭い意味じゃ「敵」だったけど広い意味では『仲間』なんだよなァ みんな地球で生まれてきたんだろう?そして何かに寄り添い生きた・・・」(p.213-215)

浦上「寄生生物なんざ必要ねえのさ!人間はもともととも食いするようにできてるんだよ 何千年もそうしてきたんだ!それをいきなり止めようとするから70億にも80億にも増えちまう このままじゃ世界がパンクしちまうぜ!」(p.234)

発見者「あっちにも3人倒れてるぞ」泉新一「・・・3人だって」村野「いっしょにされちゃった」(p.258)

終わりに

 「環境保護も動物愛護もすべては人間を目安とした歪な物ばかりだ。なぜそれを認めようとせん!人間一種の反映よりも生物全体を考える!!そうしてこそ万物の霊長だ!!正義のためとほざく人間!!これ以上の正義が何処にあるか!!人間に規制し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば人間どもこそ地球をむしばむ寄虫!!いや、寄生獣か」

総括

食物連鎖の頂点に立つ人間である。そのことは疑いようのない現実である。この作品が提唱している数々の文面は、他の生き物をわかった気でいるばかりではなく、人間同士もわかった気でいるのではないだろうか。

太古に時代には、命を頂くことは命を懸けて獲ることにより正当性が生まれてきた。自然からの恵み、自然がないと得ることが出来ない、故に自然に感謝をしてきた。
しかし、近代の捕食方法は、絶対的な武器による優位な戦いで得られ、家畜を飼うことにより安全に捕食することができる。故に、命を頂く重要性が薄れている結果だろう。

「人間は、あるがままの事態を正当化し、合理化するよう動機づけられている。その結果、既存の社会的、経済的、政治的な制度配置は公正で正当なものと見なされる傾向にある(Jost and Hunyady、2005)」

事実、戦争を含むさまざまな争いは繰り返えされ、国内という枠組みでさえ争いは絶えない。

すべてこの地球上にする人間が引き起こす事象である。

つまり、ヒト=ホモ・サピエンス・サピエンスという種のなかでの出来事である。

リンネは、ヒトは形式でHOMOは人、Sapiensは知を意味すると提唱した。

自己を認識「汝自身を知れ」にたどり着くのではないだろうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます😊

参考文献


岩明均(2003)『寄生獣(完全版)全8巻』講談社

Jost, John T., and Orsolya Hunyady,(2005)‘Antecedents and Consequences of System-Justifying Ideologies’ Current Directions in Psychological Science, Vol. 14, No.5, pp.260-265.


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