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No,72.コロナのDV「コロナ自粛とDV(ドメスティック・バイオレンス)について」
コロナで自粛と叫ばれる中、経済的損失や感染、死亡といった事象以外に、自粛によって家族間では新たな問題を引き起こしていることについて、つらつらと書いてみる。
コロナ自粛とDVの関係性および背景について
リモートを使った在宅勤務や仕事が終わって道草切食ってた旦那(嫁)が草も食わずにまっすぐ帰ってくる。
通常であれば、リカルド・ロペスのようなアウトボクサー夫婦(適度な距離感)が、いきなりマイク・タイソンのようにインファイター(近い距離感)で戦うことになる。そうなれば混乱して戦えないよね(今までと違う距離感)。
といった事が原因で、DV(ドメスティックバイオレンス)が増えている。
東京新聞(2020年10月9日 06時00分)によると「政府や地方自治体の相談窓口に寄せられたドメスティックバイオレンス(DV)の5、6月の相談件数が、前年同月比でそれぞれ約1.6倍に増えていたことが分かった」
この問題は日本のみならず、世界的にも問題視されている。
新型コロナウイルスで経済不安が高まったことを背景に、世界各地で家庭内暴力(DV)が急増している。国連ウィメンによると、ロックダウン(都市封鎖)が実施されてからDVの件数が25~30%増えた国もあるという。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のジリアン・トリッグス高等弁務官補佐官は4月20日、「女性や少女は家に閉じ込められている。加害者と距離を置くことも、外部にサポートを求めることもできない」と警鐘を鳴らした。
引用:ganas 新型コロナは世界中でDVを急増させる、「フランスは30%増えた」と国連が警鐘 https://www.ganas.or.jp/20200428corona/
しかし、コロナ自粛の有無に関わらず、何故DVをするんだろう?
1.DV(ドメスティック・バイオレンス)がおこる要因
とりあえず、DV行為をするものを加害者とし、受けるものを被害者として説明します(以下:加害者、被害者)。
運悪く加害者の以下の①②の特性的な性質と③が合わさることでDVに発展するといわれている。
① 攻撃性の強さ、乱暴的な性格(促進因)
※すぐカッとなる人
② 馬鹿にされているなどと受け取る認知(引き金因)
※勝手に馬鹿にされていると思い込む人
③仕事などで疲れているなどで自己抑制が枯渇している( 抑制因子 )
※仕事や寝不足などで疲れている時
つまり、①のすぐカッとなる人がDVをするのではなくて、③の疲れやストレス状態の時と、①と②が合わさったときにDVをするらしいです。
DVは繰り返しおこなわれることが問題視されているけど、そこで疑問が残る。
2.なぜDVが繰り返されるのに、別れたり、逃げたりしないか?
これは、「加害者の被害者意識」と「被害者の加害者意識」にあるといわれている。
具体的要因
●加害者側は「イライラさせるから暴力を振るうしかなかった」と思う。
●被害者側は「自分が至らないから暴力を振るわれてもしょうがない」と思う。
こういった心理的要因から関係性が継続されるらしい。
そして徐々に、精神的なも(暴言やモラハラ)のから身体的な暴力(蹴る殴る)へとエスカレートしていくといわれている。
重要なのは、DVにあったら被害者が加害者意識ではなく【被害者意識!】を持つこと。
つまり、ちゃんと「嫌なことをされたら嫌!」ということです。
3.なぜDV被害者なのに私が悪いから暴言を吐かれるといった加害者意識をもつ(認知する)のか?
※認知とは人それぞれの受け止め方のことです。
人の受け止め方には「抽象的」、「具体的」な解釈があると言われているんだけど、
例えば、「会社にどうやって出勤してますか?」と聞かれた場合
●抽象的パターン
「車やバスなどの交通機関」と答える。
●具体的パターン
「プリウスでどこの道を通って出勤している。又は、なになに交通の何時行のバスで出勤している」と答える。
そのことを踏まえて、DVで暴言や暴力をふられた場合
●抽象的パターン
「許せないと伝えるために、私のために殴ったんだ」と正当化する余地が生まれる原因になる。
●具体的パターン
そうではなく具体的に「このように暴言を吐かれた!この人に3発殴られた!」と具体的に認知することで、嫌なものだと受け止めて傷つけた相手から離れるといった行動に移れるらしいです。
実際に、抽象的に受け止める人は暴言や、暴力をふられた場合、具体的に受け止める人に比べポジティブに認知する傾向がある。
加害者からの暴言・暴力(ネガティブ)
↓
被害者が抽象的に受け止める
↓
被害者は「私のために言ってくれている、私が至らないから(ポジティブ)」
この受け止め方が、【被害者の加害者意識】につながると言われている。
また抽象的に捉える人は、この人とは運命でつながれているんだ!みたいな固定的に捉える傾向(運命信念)が高い人ほど、DVをされても好意的に受けとるといった結果もある。
つまり運命的に結ばれていると思っている人は、恋人に嫌なことをされても正当化するような抽象化的な受け止め方をしやすい。
まとめ
被害者がDVにあわないためにはどうすればいいのか?
① 暴力を振るう人は、暴力がエスカレートし慢性化する可能性がある。
② 抽象的に捉えず、具体的に捉える(嫌なことは嫌だと認知する)。
③ 運命的だと思わずに、相手とはともに成長していくことを考える。
人は分かりたい、分かってもらいたい。しかし自分の気持ちが100%分かるならもはや自分自身は存在しない。相手の苦しみのすべてが分かるのなら自分の呼吸できなくなる。一方で、自分の心の動きを100%理解してもらえるなら、もはや自分自身の自由は存在しない(伊藤、2017)。
つまりお互いに適度に理解して、適度に理解しないといったバランスが大事。
人に色があるとしたら、赤い色の人、緑色の人、黄色の人などがいて、さまざまな人で成り立っている。
そういった違った人と関わり、理解することはその人と同じ色になるということだが、交わればどちらの色になることは不可能だしね。
結局は、互いに違った色をいかに理解するのか、つまりグレー(グレーゾーン、よくわからない色といった意味)の中で、いかに理解しあえるのかが重要じゃないだろうかと思う。
ちなみに、人間が認識できるすべての色を混ぜたらグレーになるといった話があるので、よくわからないものが答えかもね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
引用文献
相馬敏彦・伊藤言(2017)「暴力的な絆はなぜ生じるのか-DVの予防に向けて-」『日本応用心理学会平成29年度公開シンポジウム』第44巻、第3号、pp.193-217
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