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No,41.今更ながら「嫌われる勇気」

アドラーの「嫌われる勇気」についてつらつらと書いてみる。

ちなみに、フロイト・ユング・アドラーは心理学の3大巨匠といわれている。

この本の重要ポイントは、目的論という考え方で、対比としてフロイトの原因論も挙げている。

目的論と原因論の違いを説明すると、


目的論とは、現状から変われないことを過去のせいにしている


原因論とは、トラウマなど、過去が原因で今がある

著者がカウンセラーなので、本の内容もコンテクストから読み取れるので少し深堀しようと思う。

確かに、過去が原因で今がこうなってしまっていると考えるの場合(フロイト:原因論)と、満足できない現状から脱する勇気や、踏み出す勇気がないことを、過去の問題として捉えて逃げているだけ(アドラー:目的論)と考える場合では、今現在の行動や考えも違ってくるだろう。

つまり、原因のみを追究したところで「で?どうすればいいの?」と立ち止まって先には進めない。

しかし、「今の自分を納得するために過去のせいにしているだけ、だから今と過去の出来事は関係ない」と考える方が前に進めるだろう。

こういったことから、アドラーはトラウマなんてないと述べている。

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確かに、アドラーのいっていることが重要であることがわかる研究があったので、引用しつつ、

辛い過去の経験から成長(post traumatic growth)するには、自己成長を率先した行動(personal growth initiative)が重要だといわれる(Robitschek et al., 2012)。

個人的な成長といった自己成長を率先した行動(personal growth initiative)を持つ人はうつ病や苦痛のレベルが低いと報告されている(Robitschek & Kashubeck, 1999)。

また、ルワンダの大量虐殺の影響を受けた集団の中で、自己成長を率先した行動(personal growth initiative)は心的外傷後ストレスとうつ病に負の関連があり、機能障害に対する保護因子として役立ったとされる(Blackie, Jayawickreme, Forgeard,&Jayawickreme, 2015)。

フロイトにせよ、アドラーにせよ、トラウマがあろうが、なかろうが、確実なのは自分の人生は過去も現在も未来も時間軸でつながっている。結局は時間軸上にある自分を成長させる(成長しようとする)気持ちが重要だろう。

引用文献

岸見一郎・古賀史健(2013)「嫌われる勇気」『ダイヤモンド社』

Blackie, L. E. R., Jayawickreme, E., Forgeard, M. J. C., & Jayawickreme, N. (2015). The protective function of personal growth initiative among a genocide-affected population in Rwanda. Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy, 7, 333–339. doi:10.1037/tra0000010

Robitschek, C., Ashton, M. W., Spering, C. C., Geiger, N., Byers, D., Schotts, G. C., & Thoen, M. A.(2012). Development and psychometric evaluation of the Personal Growth Initiative Scale–II. Journal of Counseling Psychology, 59, 274–287. doi:10.1037/a0027310

Robitschek, C., & Kashubeck, S. (1999). A structural model of parental alcoholism, family functioning, and psychological health: The mediating effects of hardiness and personal growth orientation. Journal of Counseling Psychology, 46, 159–172. doi:10.1037/0022-0167.46.2.159

Yuki S, Blakely L, Dominika B, and Christine R(2016)Function of Personal Growth Initiative on Posttraumatic Growth,Posttraumatic Stress, and Depression Over and Above Adaptive and Maladaptive Rumination. Wiley Periodicals, Inc. J. Clin. Psychol. 73:1126–1145, 2017.


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