1.0 不動産投資デビューから開発投資に至るまで

不動産投資に関わって2020年で約12年になります。リーマンショックからバブル超えまで不動産サイクルを一巡してきました。もともと、新卒で投資会社に入ったのですが、不動産なんてほとんど興味ありませんでした。なぜ、不動産の道に進んだかと言うと、「給料が高く独立できそうな仕事」だったからです。2003年当時、就職氷河期世代だったせいか、同世代で会計・英語ができる人材が非常に少なく、人材マーケットでは引くてあまたでした。知人が資格を取って、外資系ファンドや証券会社に倍の給料で転職していく姿を見ていました。その姿を見て、この時期から、やりたいかどうかの軸で考えるのではなく、需給バランス見てニーズがあるかどうかを軸に、何をするか考えるようになりました。最初に転職した日は2008年9月16日。この日は、外資系投資銀行が運用する不動産ファンドに採用が決まり、最初に出勤した日です。実はリーマン・ブラザーズが倒産した翌日で、幸か不幸か一生忘れられない日に不動産業のキャリアをスタートしました。当時、世界最大のプライベート不動産ファンドで、運用規模は1兆円超。2004年に1,400億円で取得したビル内をはじめ、2008年に2,500億円で取得したホテル、1,180億円で取得した銀行ビルなど、1,000億円を超える大型案件に投資し、かなりバブっていた状態でした。ファンドの特性上、集めたお金は運用しないといけないため、不動産が高くても買わないといけません。しかし、これだけの物件を次々に買うには、高い価格で提示しないと買えないというジレンマがありました。しかし、低利回りの物件を短期のハイレバレッジで買った結果、リファイナンスできない、利払いができないと事態に陥りデフォルトしたのです。高値で買っていれば、こうなるのは必然でした。ファンドに入って初めて分かりましたが、ファンドというのは金融機関や富裕層から集めた他人のお金を運用する、あくまで「業者」です。身銭を切って自己投資している投資家とは全く違います。運用会社の報酬は、購入するとアクイジションフィーという多額の報酬が発生します。当時は「いい安く買って利益を出すか」ではなく、「いかに規模を大きくするか」を重視していました。大型物件を取得して数億円ボーナスが出た人たちを目の当たりにしました。

個人的な投資は、2006年頃から本格的に考えはじめましたが、属性が低く2011年にようやく始める事が出来ました。そもそも、きっかけとなったのは、2002年に豊島区東長崎にあった50平米の区分マンションに遡ります。父親が勤める会社が保有していた物件に父と私の二人で住んでいたのですが、その部屋を会社が処分することになり、格安の800万で売りに出していたのです。その頃は不動産投資の知識も興味もなかったので、直取引できたにも関わらず、スルーしてしまいました。しかし、後になって考えると破格の値段だったことに気づいたのです。なぜ買わなかったのかと随分、後悔しました。その経験があり、次こそは絶対買うぞという気持ちが日を追うごとに高まっていきました。不動産投資セミナーに足しげく通い、物件資料を請求し、準備は万全でした。しかし、いざ投資しようと思った2008年にリーマンショックが起こりました。融資環境は最悪です。実績がない人が金融機関から借りれられる状況ではありませんでした。なかなかローンを攻略できず、こうした状況がしばらく続き、紋々とした日々を過ごしていました。不動産投資はおろか、自分の仕事でさえ、いつ無くなるかも分からない不安な状況でした。

その後しばらく経って、「ついにこれは!」と思う物件に巡り合いました。初めて不動産投資をしたのが、忘れもしない2011年3月11日。当日朝10時に決済が終わり、達成感で満たされたその4時間後、午後2時に東日本大震災が発生。なんとも運命的なタイミングで不動産投資デビューしました。当時は周りには個人で不動産投資に興味がある人はほとんどおらず「そんな古い木造物件買って大丈夫か?」と心配されましたが、私は自信がありました。築40年の築古戸建てでしたが、渋谷区の都心にも関わらず坪単価120万という今では考えられない価格で買えたからです。リフォームして綺麗にして貸せば、どんなに低く見積もっても利回り10%は切らないと試算しました。ローンもLTV70%で借りて、返済比率は40%以下だったので、デフォルトすることはないだろうと確信しました。苦労して物件を見つけた初めての不動産は、結果、利回り20%超という優良物件になりました。その後、物件を少し買い進めたのですが、アベノミクス効果でみるみるうちに不動産価格が上がってしまい、買えない価格帯になってしまいました。2016年から土地を探し始めて、2017年から本格的に土地から企画して一棟を開発する投資法にシフトしたというのが経緯です。

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