新卒採用に関するミスマッチ仮説
人材市場に携わる者として、コロナ渦の一連の企業の採用活動・求職者の反応を見ていて考えたので形にします。
人材業界にいる中で関わるのは、労働市場です。この市場における要素は2つしかありません。「買い手(=企業)による需要」と「売り手(=求職者)による供給」です。
そして今回の景気後退によって起きているのは、「買い手有利(=供給多)」な市場への移行です。少し前までは逆の「売り手有利(=需要多)」でしたから、いかにこの市場が経済と連動しているかということが今回身に染みてわかりますね。
では、この双方において事象を具体的に考えてみましょう。
まずは、「買い手有利」の状況から。
この場合、人に対して仕事が不足している状態ですから、企業は余剰人員に対して法的に解雇が許される人材(期限付き契約社員)をカットし、必要な仕事に携わる人材を優先的に残します。
当然のように採用意欲は減退し、新規で人材を獲得するとすれば重要度の高い職務を任せられるもしくは長期的なメリットが一定以上見込める場合に限ります。
特に、新卒採用を継続される中小企業とお付き合いする中で、その多くが「会社の未来を任せられる人材」を人材要件として定義するケースが少なくありません。
それに対して求職者側は、「今現在の生活を守る」ための仕事を探します。
つまりここで言いたいのは、「買い手市場」の中では
企業=長期的志向
求職者=短期的志向
になるということです。
そして「売り手有利」な状況では。
先ほどの論の逆が起こりうるということですね。需給のバランスが逆転するということですから今度は、
企業=短期的志向
求職者=短期的志向
になるのです。
本記事で私が言いたいことは。
「人材業界」は、いつの時代も「未成熟市場」なのではないかということです。
多くの企業・学生が「ミスマッチをなくしたい」と考えるわけですが、その最適解を現状誰も知らない(もしくは現実にできていない)。
そして、景気変動による「買い手」「売り手」のインサイトを考えると、両者のギャップの埋めにくさが紐解けたのではないかと思います。
以上、あくまで仮説ではありますが、労働市場と人材業界に対する考察でした。