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首は秋 胃は冬枯れに
娑婆吹く風は 目の高さを
天国模様の春で吹く
人々の首はつくしのように
その風の吹くたびに追いかけては伸びる
すかさずほんものの北風が
首と胃の腑をしめつける
これみよがしに涙の袋が
風を追う眼に堰を切る
しかし
娑婆吹く風は 目の高さを
やわらかなやわらかな
天国模様の春で吹く

     詩誌『駱駝』30号(1954年2月)
       (礒永秀雄作品抄から)

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