ZipAir潰しと航空運賃やマイレージについて
2023年夏休み真っ最中の東京ーロサンゼルスの運賃についてのお話です。コロナ以降は現在でも航空運賃は高騰が続いています。もちろん燃料費が高いということもありますが、話はそんなに単純ではなさそうです。そんな中、日本の夏休み期間中の国際線航空運賃の動きを見ていて様々なことを感じるのでそこを書いてみたいと思います。
結論を先に言います。3月後半から3月31日まで、デルタ航空が羽田ロサンゼルス線限定で、7.6万円という価格で販売をしていました。この金額は運賃に加えて燃油サーチャージや諸税などをすべて含んだ金額です。そしてこれが航空会社によってあまりにも違うというか、デルタのZipAir潰しが露骨なので共有しておきます。
最近の航空運賃は座席指定の可不可、預け入れ荷物、食事、マイレージの加算などの条件によって大きく異なります。そこで夏休み中のある日の価格を比較してみました。
比較の前提条件
・確認をしたのは2023年3月28日
・8月2日日本発、8月8日日本着(前後日程でも基本的に同じ)
・全て東京(羽田または成田)からロサンゼルスの直行便
・エコノミークラス
・デルタ以外は予約時に座席指定をした場合
・23キロまでの預け入れ荷物(Zipは1個、他は2個)
・食事(Zipは1回、他は2回)
・燃油サーチャージや諸税などを全て含む総額
・フライト出発時刻はまちまち(普通の人はさほど関係ないでしょう)
各航空会社の料金 3月28日時点
・デルタ 羽田 75,890円(デルタ航空公式サイトでの料金)
・ZipAir 成田 144,055円
・アメリカン 羽田 197,990円
・シンガポール 羽田 207,460円
・JAL 羽田ーロサンゼルス 263,170円
・ANA 羽田ーロサンゼルス 312,857円
・ユナイテッド 羽田ーロサンゼルス 321,800円
デルタのこの料金は座席指定が24時間前、マイレージは一切たまらないという条件が付きますが、この金額差はいったい何なんでしょうか。飛行機なんて機体はどの航空会社もB788か789、B773、A333、A359か351と、どれも決定的な差はないわけです。
この時点のデルタの燃油サーチャージは、3月31日までの発券分は日米間で片道47,000円と公式サイトでアナウンスされています。4月1日以降は33,000円です。つまりデルタの75,890円という料金は、サーチャージの合計94,000円よりも18,110円も安いのです。これに本来は諸税などがさらに2万円弱追加されるはずなのです。燃油サーチャージって一体何なんでしょうか?こうした意味不明の実態に対して、どこかでチェックが入ってもおかしくないと思われます。
さらに興味深いのは、全く同じ日程で逆方向、ロサンゼルス発羽田行きだとだと193,578円なのです。
そして私がこのデルタの運賃を見た3月28日に予想したとおり、4月1日からこの日程の料金は214,010円になりました。一夜にして2.8倍です。
この傾向はLCCであるZipAirが就航を始めてからよく見かけることなのです。ZipAirは片道38,000円程度で販売しており、これらに座席指定、食事や預入荷物を追加が8,800円ほどで往復で10万円弱で購入できていました。同じ時期の他社は15万円以上の設定だったのです。
これだけの差があると、利用者の中にはZipAirを選択する人も当然ながら多くなります。私もこの1年間の渡米では2回、ZipAirを利用しています。理由は価格と内容を比較してZipAirにメリットを感じたからです。もちろんここは個人差というか考え方は人によって異なります。
ZipAiaには若干のポイント制度はありますが、他のLCCと同じくマイルは加算されません。そもそも現在の航空マイレージというのは、昔とは違って各社とも払った金額に連動していますから、僕みたいに年に3、4回しか欧米に行かないレベル(これでも一般的には十分多いですよね)では上級会員やその維持はコロナ以降本当に無意味な気がしています。
確かにラウンジが使えるというのは大きなメリットです。それなら楽天カードとかでプライオリティーパスなんでしょうが、このプライオリティパスも国内空港はどんどん使えなくなっていますし、そもそものゴールドカードを維持したところで、コロナ以降にはカード付帯の旅行保険の補償内容は手薄すぎて結局毎回別途加入しないと危ないですから。
「ラウンジが使える、カレーが食べたい」というのもわからなくはないですが、今やJALやANAは4,500円くらい払えば誰でもその航空会社のラウンジが利用できますから、前述のカード維持費を考えると年間の渡航回数次第かと思います。羽田の国内線なんか混雑して慇懃無礼な客が多いキャリアのラウンジよりパワーラウンジの方が空いてて快適だったりします。
ちなみにデルタ航空は上級会員とビジネスクラス利用者以外はお金を出してもラウンジには入れません。(正確にはラウンジだけに入れる有料の会員組織はあります)
話を元に戻して、ZipAirが安くないと言うよりはデルタが全力で潰しに入っている、嫌がらせしているということだと思います。こうした動きに、まもなく就航するANAの子会社LCCであるエアージャパンさんはどう対応するんでしょうか。
こうしたZipAir潰しは2022年から顕著です。とくにデルタとユナイテッドが口裏を合わせるかのように、交代で激安運賃を東京ロサンゼルス線に限定して出しています。2023年1月にはLAX-HNDをユナイテッドがLAX発を全部込みで4万円台で出していたので、私は往路はZipAir、復路はユナイテッドを利用しました。通常では往復で購入した方が安いのですが、このところの北米線、特にLAX線については片道ごとに運賃を確認したほうがかなりの確率で最安値で購入可能です。
最近のBAあたりの会員ランクの大幅な見直しを見ていると、このようなマイレージ至上主義な「情弱な顧客」はだんだん減っていくとわかってるんだと思います。JALの今年発表する新会員制度はどこに行くのか。よく考えればJALがなんでZipAirなんかやってるのかってことだと思います。もちろんとりあえずはマイル消費促進なんでしょうけど、JAL Pay開始とかマイレージをグローバルウォレットで高還元させるとか、全て先を見据えている気がします。
マイレージが意味がない例をもう一つ書いておきます。
先日、私の家人宛にJALから1枚のハガキが届きました。そこで判明したのは、彼女が保有する2万マイルちょっとが3月末から徐々に失効していくようなのです。毎月3から500マイルくらい消えていくのです。2026年に全部消えます。
そこで漸減していく2万マイルの扱いをどうするかです。ポイントに変換すると2万円相当にはなります。ちょいと工夫すると実は2.3万円になります。2万マイルをフライトで使うと羽田から宮古島と石垣島に行けます。那覇は1.5万マイルです。普通に考えると宮古島か石垣島に行くべきなのですが、成田からのLCCならいつでも6,000円くらいで買えるわけです。でもいま現地のレンタカーが大変ですけど。
海外はどうかと言うと、確かにソウルは1.5万マイルで行けるんですが、サーチャージと諸費用で追加で必要で1.95万円もかかります。これじゃあ意味ないですよね。ソウルもLCCならいまでも全部込みで2.7万円からあり、需要回復に応じて徐々にもっともっと下がるはずです。
このように、いまマイレージの使い勝手や意味が本当に薄れていると思います。なのでコロナ前から私はマイル加算は基本全く気にしていません。あくまでもその時の価格と内容だけで決めています。やはりマイレージって意味あるのかという疑問が湧いてくるばかりです。サービスが違うと言ったところで、どうせボーイングかエアバスしか飛んでないんだから、ぶっちゃけ普通のキャリアなら大した差異はないです。
そして会員制度もマイレージサービスもないスカイマークに注目が集まっていくような気もします。欧米のキャリアを見ていてもそう思います。またJALは「マイル修行僧」と「飛ばない上級会員」を排除するために、来年から制度を変えるようです。今後は暦年の実績ではなく生涯マイルが重視されるようです。それは当然ですよね。そしてJGCやSFCにも来年以降は手がつけられるんだと思います。すでにメンバーの方はカードを保持してる限りは、当面は権利剥奪はないとは思いますけどそれも5年は持たないでしょう。
そしてその頃には飛び恥が更に加速するんでしょう。でもニッポンからは飛ばないと外にいけませんから大変ですしね。色々と見直しをするべきタイミングなのだと思います。