JALの新しい会員プログラムとJGC会員になる意味はどこにあるのか
JALの新しい会員プログラムの内容がかなり明らかになってきました。
生涯実フライトマイルを点数化した「Life Statusポイント」という制度ができました。これが一定以上あると直近の搭乗実績とは無関係に、JGC(JALグローバルクラブ)会員にしてくれるんだそうです。
最初に私の会員ステイタス歴を書いておきます。私はJGCを5、6年、JGCプレミアを2年維持した後に、コロナの2年ちょい前にJGCとJALカードを退会し、それ以降ずっと平会員です。JALの生涯フライトマイルは27万マイルです。
Life Statusポイントが2,520ポイントだと、JGC Three Starという上から4番目のランクです。
そこで提供されるベネフィットはこうなっています。
ただ現時点では「ラウンジサービス」としか書いてないので、詳細がわかりません。24年春には公開するというので、何故時間がかかってるのかわかりませんが、時々チェックはしようと思います。
さて、ではそもそもJALの上級会員のメリットは何でしょうか。いくつかのポイントについてその意義を考えてみます。これはあくまでもJALの話であって、ANAのSFCもほぼ同じ状況だと思いますが未確認です。JAL以外の他のエアライン、アライアンスの話ではないですのでご注意ください。
ではフライトプロセス順に上級会員に提供される特典を検証します。
・優先チェックイン
これは混雑している空港で、大行列に並ぶ必要がないのはとっても助かります。しかし最近の国内線ではカウンターでチェックインすることは殆どないので、あまり意味がありません。むしろ朝の羽田などではJGCのセキュリティポイントのほうが混んでいることさえあります。
海外ではJALが直接オペレーションしていない空港や、ワンワールドのエアラインのカウンターでチェックインする場合には、タイミングによってはプライオリティーチェックインのほうが列ができている例もしばしば見かけます。たとえばラスベガスのアメリカン航空とかです。
・ラウンジの利用
ラウンジのメリットは空港ごと、さらにタイミングによります。羽田の国内線ですと、サクララウンジは朝夕は激混みです。確かにタダ酒が飲めるのは私のような呑兵衛には大きなメリットではあります。ファーストクラスラウンジもそこそこ混んでいます。そしてあちらは「俺は偉いんだ風情」の方が非常に多く、はっきり言って雰囲気悪いです。私は数回入って嫌気が指したので、ずっとサクララウンジを使っていました。
羽田はカードラウンジであるパワーラウンジのほうが心地よいことが多いですよ。あそこにはキャリアラウンジに入れない人たちの「俺はどうせサクララウンジ入れないし」という自虐的な空気が共有されているので、妙な連帯感があるんですよ。喫煙所コミュニティーに似た感じですね。
国際線ではサクララウンジは国内線以上に激混みです。特に夕方以降は北米とハワイ便とかも重なるので子連れも多く、ラウンジが珍しい人も多いため、食事は争奪戦とまでは言いませんが、みんなカレー目当ての列ができることもしばしば。そしてラウンジ中にカレー臭が漂って全く心地よくはありません。一方ファーストクラスラウンジは国内線のそれとは全く異なり、落ち着いていい雰囲気です。ヒラJGCでもビジネスクラスでも入室はできず、JGCプレミアとファーストクラス搭乗者しかいないからだと思います。カレー臭もしません。(正直そこまで美味しいですか??)
・優先搭乗
国内幹線では300人中250人が上級会員で優先搭乗の列に並んでたりします。全く無意味ですね。早く席に着く意味はよく考えればほぼありません。あるとすれば荷物棚を確保できることくらいです。国内線ではリゾート路線以外には意味ないと思います。その点では、会員種別による優先搭乗がないスカイマークは非常にスマートです。スカイマークの搭乗順は、窓際、真ん中、通路という順番だけです。会員種別や優先搭乗をステイタスだと思っている乗客が多いJALとANAではまず実行できないと思います。
・預け入れ荷物の優先扱い
これも確かに荷物が先に出てくるのはありがたいです。ですが国際線の場合には、海外到着時の荷物のピックアップは通常入国審査の後ですから、入国できた頃には全員の荷物が到着していることのほうが圧倒的に多いので、優先で荷物が出てくるの意味は全くゼロです。国内線では荷物を預けないことが多かったり、使用機材が大きな路線は沖縄などを除いて、そもそも預ける人も少なく、また日本の荷役は極めて迅速なので、荷物が出てくる時間差はそんなにないです。
日本帰国時、特に成田では意味があると思います。最大で2,30分くらい荷物が出てくいるまでの時間に差が出るからです。これによってバスや電車が一本あとになるという事態を数え切れないくらい経験しています。
海外ではむしろプライオリティータグが付いている荷物の方が乱雑に扱われる、という話や例もよく聞いたりします。
・座席のインボラアップグレード
ここでのアップグレードは、オーバーブッキングなどによるエコノミーからビジネスなどへの航空会社都合による無償アップグレードのことです。俗に言うインボラアップグレード(インボランティア、自発的ではない)です。かつてはこれは上級会員ステイタスが結構有効でした。私もインボラアップグレードでビジネスクラスに乗ったことは15回以上あります。というかビジネスクラス搭乗の半分以上がインボラUGです。
これはめちゃくちゃありがたかったです。個人的に上級会員を維持していた理由はほぼこれだけです。インボラUGはある程度狙うことができたからです。
なのですが、最近はインボラUGは激減しています。特にコロナ以降は皆無に近いようです。理由は航空券の販売価格や運行システムが非常に高度化していて、オーバーブッキングが発生しないようにシステム化されているからです。またそもそも満席のフライトがあまりないという現実もあります。コロナ以降は空席が目立つフライトはあっさり欠航にしてしまいますので、ますますインボラUGは発生しません。
ということであくまでも私の経験と判断基準では、エアラインの上級会員のメリットというのは以前はともかく、いまでは想像するほど多くはありません。特にコロナ前から、コロナ以降は更にですが、上級会員に対するサービスは年々劣化していて、一方で毎回ちゃんとお金を払ってくれる優良乗客を重視する方向にシフトしているのは明らかです。
SNSでラウンジカレーの写真がアップされるのを見る機会も多いと思いますけど、本質的な意義やメリットって本当はとっても少ないです。マイル修行する意味ははっきり言ってないと断言します。
そもそも、LCCが増えてきたことによって、JALのようなメガキャリアによるフルサービスを選択する理由は相当薄れていると思います。JALの100%子会社であるZipAirが、JALと同じ渡航先に半額の運賃でサービス提供をしています。そしてそれで両方とも成立しているという点が重要です。ANAがAirJapanをスタートさせますが、同じ仕組みだろうと思います。(AirJapanはANAマイルの扱いがZipAirにおけるJALマイルとは異なります)
様々な選択肢があること、その選択肢があることを知らない人、わかった上で都度選択している人などがいるわけです。そして結果的にはそれによって売上や利益は最大化するのだろうと推測します。
話を戻して、JGCに再入会するにはクレジットカードであるJALカードを保有する必要があります。これには最低でも年間11,000円がカード会員の会費としてかかります。
私はプライオリティーパスという、世界の空港ラウンジに入室できるもののカードを持っています。これは楽天プレミアムカードに付帯しているものです。これの年会費が同じ11,000円です。JGCはJALまたはワンワールド加盟航空会社のフライトを利用したときにのみ有効ですが、プライオリティーパスはエアラインには依存しません。サービスに違いはありますが、ことラウンジについて言えば、汎用性はプライオリティーパスが勝ると思います。
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