【五十路MAN日記】「サバイバル・トレーニング」としての忘れ物
忘れ物が多くて困っている。
つい先週の金曜日も、アルバイトに行く途中で財布を忘れたことに気づいた。
30日は3月最後の出勤日で、しかも金曜日だったので、つい気分が緩んで油断していたんだと思う。いつもなら、前の晩にはカバンの中の物を全部出して、翌日に必要な物を確認しながら準備しているのに。
直前まで自宅でライティングの仕事に没頭していたこともあり、普段より30分ぐらい遅くにあわてて外出したのも迂闊だった。
最寄りの駅の券売機で小銭で乗り換え駅までの切符を買い、いったん下車したあと再び梅田行きの急行に乗ろうとして、そこで初めて家に置いてきたことに気づいた。
紙幣も小銭もまったく持ち合わせはない。梅田経由でなんばまで行くのには、手持ちの電子マネーに頼るしかない。残額はざっと1,000円ぐらいか。
往復でも1,000円近くかかるので、行きは良くても、果たして帰って来れるのか。不安だったが行くしかない。とりあえずは仕事場まで行って、帰りは帰りに考えることにした。
さて、仕事が終わって梅田まで帰ってきたのはいいが、そこではたと気がついた。複数の電子マネーの残額を出せば帰りの電車代くらいは出るのだが、どの電子マネーも残額が1,000円を切っており、ATMから引き出すことができないのだ。
唯一の頼みの綱は、LINE Payカードだった。ここにはその時1,200円ほど入っていたので。これを引き出せばなんとか電車に乗れる。
しかし、実際にATMでやってみると、何回やっても「このカードは使えません」みたいな表示が出て、引き出しができない。
ここで僕はない頭をフル回転させて考えた。「帰れないなんてことがあるはずがない。何か手があるはずだ」と。この現実を何とか頭の中で否定し、容赦ない現実に立ち向かおうとした。まるでかのスティーブ・ジョブズが「現実歪曲フィールド」を駆使して状況を180度変えてしまったように。
そして、思い出したのだ。LINE PayでATMから現金を引き出すには、スマホでPINコードを入力しないといけないことを。そして恐る恐るスマホを操り、もう一度ATMで試してみた。
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無事に家に帰り着いてから、今日の出来事を振り返ってみた。
何か、見えない力が自分を試し、そして学びを与えているように思える。そう、これは「訓練」なのだ。追い込まれた状況で、ハンデのある僕がいかに冷静に対処することができるのか。これは、自分一人で生き残って行くための「サバイバル・トレーニング」なのかもしれない。
【追伸】
発達障害の人間の特徴として、「よく忘れ物をする」ということが指摘されています。健常者からすると「不注意だからそうなるんだ。障害のせいにするな」ということになるんでしょうが、これは注意する・しないの問題以前に、本人自身ではなかなか対処が難しいものなんですね。
具体的な対処法として思いつくのは、ざっとこんなところでしょうか。
1.前の日にカバンの中を必ず確認する
2.定期入れに予備の紙幣を入れておく
3.電子マネーに多目の入金をしておく
僕は障害の程度がまだ軽い(と自分では思っている)ので、何とか自分だけで対処できますが
重い人はおそらくこうはいかないと思います。どうか、皆さんのまわりにこんな友達がいたら、少し気を配って注意してあげてくださいな。
関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。