![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/100788879/rectangle_large_type_2_2a9352fde16822e616e0cbc99fa4f075.png?width=1200)
【週刊ブックレビュー】栗本斉「シティポップの基本がこの100枚でわかる!」
世界中を席巻する「シティポップ」の楽曲とアーティストを理解するのに最適の1冊
こんにちは。元バイリンガルITテクサポのオオタニケンジです。
今日紹介するのは、世界の音楽シーンにおいて現在流行している「シティポップ」について解説したディスクガイド本。
単なるシティポップについての概要説明ではなく、具体的なアルバム名をあげてシティポップの魅力について存分に語っておられます。
活気に満ち溢れていた80年代の音楽シーンをこの機会にしっかりと確認したいと思い、購入してみました。
「好景気」と「洋楽ブーム」がシティポップを生み出した
今になって流行しているこの「シティポップ」という一連の音楽は、80年代の洋楽の流行に影響されて日本の音楽に浸透していったトレンドです。
80年代の音楽シーンで重要なできごとといえば、なんと行ってもマイケル・ジャクソン「スリラー」のミュージック・ビデオが大ヒットしたこと。
MTVの放映が開始されミュージック・ビデオが盛ん制作された80年代。日本ではこの時期に「洋楽ブーム」が起こり、日本のミュージシャンもおおいに影響を受けました。
70年代に流行していたフォーク音楽とは一線を画し、洗練度の高い洋楽っぽい音楽を作り始めたのです。
また、当時の日本の社会的状況も反映していて、のちに「バブル経済」につながる好景気が日本全体をつつみ、とても活気のある時代の背景がありました。
こうした社会情勢と音楽トレンドにピッタリとはまったのが「シティポップ」だったのです。
注目キーワード
ここではっきりしておきたいのは、シティポップは明確な音楽ジャンルではないということだ。
異論反論のある方もいるだろうが、シティポップの源流をシュガー・ベイブと設定した上で本書をすすめていきたい
本当に稀有なヴォーカリスト二人が対等にフロントに立っていたことが奇跡的。そして二人の声とグルーヴィーかつメロウなサウンドが、輝かしい理想のシティへと連れて行ってくれるのだ
編曲家やミュージシャンを知ることで、シティポップの楽しみ方はさらに広がる
70年代に入り芽が出始めたシティポップ系アーティストは、歌謡曲やフォークが全盛だった日本の音楽シーンと差別化するために、とにかくスタイリッシュな洋楽のサウンドをお手本にしていった
編集後記
80年代当時の僕は「大学デビュー」を果たし、音楽系クラブに所属して、毎日音楽にどっぷり浸かった生活を謳歌していました。
レンタルレコード店からレコード盤を借りてきてはカセットテープに録音し、自分独自のスペシャルなコンピレーションアルバムを作っていたのです。
なかでも、山下達郎さんのアルバム「FOR YOU」に収録されていた「SPARCLE」を初めて聴いた時の「雷に打たれたような衝撃」はいまでもハッキリと覚えています。
冒頭から始まる達郎さんのテレキャスターギターカッティング。聴く者を一瞬にして温帯の日本から熱帯のトロピカル・アイランドに連れて行く世界観がなんともたまりません。
様々なアーティストによる楽曲は、古さなどまったくかんじさせない洗練された風を現代によみがえらせてくれます。
シティポップを知るためのアルバムが満載の1冊、ぜひ読んでみてください。
目次
はじめに
PART1 シティポップ黎明期
Column1 編曲家とスタジオ・ミュージシャン
PART2 シティポップ最盛期
Column2 シティポップ・サウンドのルーツ
PART3 シティポップ再興期
Column3 国内外のネオ・シティポップ
本書掲載アルバムプレイリスト
おわりに
引用動画・書籍
マイケル・ジャクソン:「スリラー」(Official 4K Video)
山下達郎:スパークル
関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。