【週刊ネタバレビュー】えんとつ町のプペル:魅力的キャラクターに欠ける王道アニメストーリー
「あーあ、やれやれやっとおわったか…。」
しびれを切らした足をさすりながら、ボクは重い腰をあげた。
本当はもっと早くに劇場から逃げ出したかったのだが、ちょうど列中央の座席に座っていたのと、横にいる親子のじゃまになってはいけないと思い、結局最後まで見してしまった。
一日遅れてしまったが、自分としては不本意ながらきのう時間をつぶして見た「えんとつ町のプペル」を取り上げることにした。
作品の背景:西野亮廣の地道なプロモーションが実った作品
「えんとつ町のプペル」は、よしもと漫才コンビ「キングコング」の西野亮廣が制作した絵本の映画化。
2020年12月25日に初公開され、今回はハロウィンの時期に合わせたリバイバル上映ということになる。
それにともなって、各劇場で西野自身の舞台挨拶も行われた。
西野氏が25歳からレギュラー番組以外のテレビの仕事を止めてまで打ち込んだ絵本の世界。
その映画化ということで相当気合を入れてプロモーションを行ったそうだ。日本各地の映画館をまわって挨拶したりチケットを自ら売ってまわったという。
そのかいあってか、公開以来5ヶ月以上のロングランに加え興行成績23億円を叩き出し、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞したという。
キャストや音楽も豪華な陣立て。声優には窪田正孝、芦田愛菜、立川志の輔、小池栄子を揃え、オープニング主題歌にHYDE、エンディング主題歌にはフランス人のロザリーナが参加。
立体音響の臨場感はよいがキャラクターの魅力に乏しい
これだけ豪華な声優陣と西野本人の努力はたしかに素晴らしい。実際に数字的に結果も出しており、数々のタイトルも受賞している。
しかしそうした「泣けるバックグラウンドストーリー」を脇において作品自体の出来を見てみると、お世辞にもおすすめできるとは言えない。
実は西野氏はボクの実家のすぐ近くの出身で、そういう意味ではとても親近感を感じる。
しかしそれを間引いてみると、子ども向けの映画というふうに考えてもムリのある映画の仕上がりなのだ。
疑問:ありがたい世界観がこめられているようだが…
発達障害の本領発揮で心のまま衝動的にチケット買って見た話題の映画。しかし、ひとことでいって何も心に伝わってくるものがない。
西野氏の舞台挨拶のYouTube動画にある「挑戦者が笑われる世界を終わらせにきた」ということで、確かにうっすらそういうメッセージは感じたけど心をグッとつかまれるほどのストーリーになっていない。
それはおそらく、次のような疑問が次から次への頭の中に沸いてきたせいやないかと思う。
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