第2回 近世アジアの経済発展
第2回 近世アジアの経済発展
概要
近世(およそ15世紀〜18世紀)には、アジア各地の経済がインドのムガル帝国や中国の明・清王朝の秩序の下で発展しました。市場経済の拡大、分業の進展により人口増加、生活水準の向上、商品生産の増大が見られました。
1.大分岐論争
西洋中心史観:ヨーロッパは経済的に優れていたため資本主義経済が生まれた。
修正:ヨーロッパと中国の経済力は18世紀までほぼ同等。産業革命はなぜヨーロッパで起きたかの研究。
回答:ヨーロッパは新大陸にアクセス。地理的要因が重要。
2.東アジア
(1)中国の明・清王朝
人口増加:17世紀以降急増、20世紀初頭には6億、2016年には約13億に。
商業経済の発達:18世紀に急速に発展。内陸河川、運河の整備、海外からの銀流入、茶・絹・陶磁器の輸出。
朝貢貿易体制:中国を中心に周辺国が貿易。民間貿易も盛んに。
(2)日本の江戸幕府
1603年、徳川家康が幕府を江戸に置く。
貿易体制:4つの港に制限。人口増加と限られた土地での収穫増加による自給自足。
3.南アジア・東南アジア
(1)インド・ムガル帝国
一次産品生産拡大:穀物、砂糖、インディゴ、アヘンの生産と国内流通、海外輸出。
綿布産業:綿織物の発展、インド綿布の世界的輸出。
インド洋交易圏:アラビア湾、インド、東南アジアが商業ネットワーク。スパイス、砂糖など輸出。
(2)東南アジア・港市国家
マラッカ王国:胡椒や綿布などの交換拠点。オランダなどヨーロッパの貿易拠点。
「商業の時代」:15世紀〜17世紀の繁栄。スパイスや砂糖の輸出が世界に広がる。
4.イスラーム経済圏
イスラーム文明圏の形成:イスラームの広がりと独自の経済体制。
オスマン帝国:トルコを中心に商業発展。地理的要因、アラブ商人の活動などによる国際商業ネットワーク。
要点:
近世アジアの経済は中国やインド、日本、東南アジアなどで発展。
産業革命の背景には地理的条件、交易ネットワーク、商業発展などがあった。
朝貢貿易やインド洋交易などがアジアの経済を形成。
東南アジアは「商業の時代」を迎え、世界貿易に重要な役割を果たした。
イスラーム文明圏やオスマン帝国も独自の経済体制と国際商業ネットワークを持っていた。
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