見出し画像

元教師・現SaaS企業人事が、子どもから教えてもらった3つのこと (後半)


これはEventHub Advent Calendar 2021 - Adventarの 18日目の記事です。昨日は大坪さんの「カメラという趣味を通した私の成長」でした。こちらもぜひ!


前回の記事から、「先生」という仕事を通して教えてもらったことについて、前半・後半に分けてお届けしています。前半の記事では、私がファーストキャリアで先生という仕事を選んだ背景や、そこでの困難についてお話ししました。 (前半の記事はこちらから) 

本記事では、先生という仕事を通して学んだ3つのことについて、お伝えしたいと思います。

1.  「当たり前」は「当たり前」でないということ


特に「公立学校」の先生になると、子どもたちを通して、いろんな世界が見えてきます。それぞれの子どもたちが置かれている経済的な状況や、家庭環境、保護者の方の考え方など、「多様」な世界に触れました。

自治体の支援に頼りながら生活をされているご家庭、 諸事情により引っ越しを繰り返されているご家庭、給食費を滞納してしまうご家庭など、様々な家庭の形があるということを目の当たりにしました。

そんな状況の中で、私が「当たり前」としていた前提は、限られた人々の中での価値観であり、全く「当たり前」ではないということを教えてもらいました。

当時私が教えていた、クラスでトップの成績をキープしていた女の子 (中学3年生) と、高校卒業後の将来の話をしていた時のことです。


「大学行くって人おるけど、なんで高校卒業してまで勉強せなあかんの?」
「てか、大学なんていくお金ないと思うし」
「うちの親も高卒だから、別にええんちゃうの?」


そうやって、不思議がって私に訪ねてきた彼女の表情を、今でも覚えています。その子は、とても勉強が出来る子だったので、私はきっと高校卒業後も大学や専門学校などの高等教育機関に進学をして活躍するんだろう、という私自身の「当たり前」の前提をもって会話をしていましたが、彼女はそもそも、その選択肢すら持ち合わせていませんでした。

いかに自分の「当たり前」としている前提が、「当たり前」と思えていたのは、私自身がたまたまそのようなコミュニティの中で生まれ育ったからということ、そして、その「当たり前」は、いかに限られた人々の価値観によって形成されているものなのかということを、教えてもらいました。


2. 人間としての価値は、みんな同じ


特にビジネスの世界において、やれ「XX大学を卒業した」とか「XX会社に勤めていた」とかで、一般的に言われる「市場価値」が高いとみなされがちですよね。

でも、それはあくまでも、「市場」における「価値」であって、「人間」としての「価値」ではない。日本においては特にかもしれませんが、学校教育の中で、「学歴」や「偏差値」で格付けされる経験を持っているので、一部の方においては「市場価値 = 人間としての価値」と混同されている方もいらっしゃるような気がしています。

もし、そう思われていらっしゃる方がいたとしたら、私は「人間としての価値は、マジで、みんな一緒だ」ということを声を大にしてお伝えしたいです。

私が大阪で出会った子どもたちの中には、そうした「市場価値」から見たら、そもそもその土台にすら乗れない子たちもたくさんいると思います。

でも、私が出会った子どもたちは、それぞれの置かれていた環境の中で、必死に生きていました。

親から「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われ続けていたり、15歳で家から本気で追い出されたり、本当は高校に行きたいのに親が高校に行かせてくれなかったり、保護者の方の精神的病を支えるために不登校になっていたり。少なくとも、私は経験してこなかった「これでもか」という困難を、すべて背負いながらも、必死に生きていました。


「この子たちこそ、日本の宝だ」



って、本気で思うくらい、私が出会った子どもたちには一人一人へのリスペクトしかありません。むしろ私自身が、彼らから人間として教えてもらうことの方がたくさんありました。

市場価値って、あくまでもその人の 「have」(=何を持っているか) と「do」(= 何ができるか) によって価値づけされるものであって、その人の「being」(= ありのままの姿) としての価値を決めるものではないということを、本当に、声を大にして伝えたいなと思います。


3. 子どもたちは、大人の鏡だということ


想像以上に、子どもたちは周りの大人のことをよーーく見ています。
そして周りの大人たちから、想像以上に大きな影響を受けて育ちます。

先ほどご紹介したクラストップの女の子も、ご両親が高等教育を受けられていなかったから、その子自身が将来、大学に進学するというイメージを持てていませんでした。

子どもにとって、周りの大人たちの考え方や思考の仕方や、ひいては大人のあり方そのものが、そのまま子どもたちに影響すると思っています。

実際に、元気な先生が担任のクラスは元気のいいクラスになり、落ち着いた先生が担任のクラスは落ち着いたクラスになり、やる気のない先生のクラスはやる気のないクラスになりと、大人の「あり方」が、そっくりそのまま学級という「鏡」となって現れていました。

このことから、日本の子どもたちを元気にしたいのなら、大人たちがまず元気になることが重要だと思っています。

生き生きと働いている大人たちの姿を、子どもたちに見せ続けること。
そうすることで必然的に、子どもたちも大人になることを楽しみになると思っています。

最後に、人事としてのミッションについて


そんな大切な3つのことを子どもたちから教えてもらった私ですが、2021年1月から、1人目の人事としてEventHubにジョインしました。

まず、一緒に働いている「いきいきとした大人たち」が、ますますいきいきと働けるように、環境や制度を作っていくことに邁進していければと考えています。

まだまだ人事としては駆け出しで、未熟ですが、このミッションを忘れずに、日々の仕事に向き合っていきたいと思っています。
(最後決意表明のようになってしまいましたw) 


次のアドベントカレンダー19日目の記事は、エンジニアのOkamotoさんに書いていただきます😀


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?