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ガタゴトドラマ「無脳シリーズ」第15話〜まあどうでもいんですけどね。〜

投稿頻度あげるとは言ったものの、こんなに早く書くとは思いませんでした。本筋の夜行性OLもちゃんと執筆しています!!


  揺れる電車。アサは頑なに吊革に掴まり続ける。似合わないスーツが体のラインからぼやけて、しゅわしゅわ溶けていきそうな錯覚を覚える。吊革に掴まり続けるのは、まだ大学時代にしがみついていたいという現れなのかもしれない。

  大学時代、彼女はアサと同じキャメルを吸いながら、「でもね、私たちは働かなきゃ生きていけないんだよ。たしかにミカちゃんとかさ、実家がお金持ちの子は働かなくても生きていけるけどさ、私たちみたいな凡人は好きなことややりたいこと我慢して、会社に時間を売って生きていくんだよ」
と、アサに言った。
「あ〜あ、最悪すぎだよ」
「在学中にバンドで食って聞けなかったことを恨むんだね」
「なんで俺みたいにやりたいことあるやつが働かなくちゃいけなくて、ミカみたいなやつが働かなくていいんだよくそ」
「そんなもんだよ」
  大人とは、諦め方が上手い奴のことをいうのか。だったら、俺は一生大人になんてなりたくない。
  アサは今日も電車に揺られる。次は神保町、神保町。

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