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思い出 | スノボ日帰りバス旅行

大学生の私は友達のケンタとカケルと一緒に、スノーボードの日帰りバス旅行に参加した。
バスは8時に地元の最寄り駅から出発し、10時頃にスキー場に到着した。
帰りの出発時間は16時なので、5時間30分は滑れる計算だ。
"出発時間に遅れたら置いて行くよ"と免責事項が書いてあった。

スキー場に到着し、私たち三人とも1、2回しか滑ったことのない初心者だったため、スキー場で装備をレンタルし、ワクワクしながら山に向かった。

最初はリフトから降りるときに三人とも転んでしまった。
雪の中で笑い合いながら何度もチャレンジし、昼過ぎにはようやく慣れてきた。
簡単なコースから少し難しいコースにも挑戦し始め、スノーボードの楽しさに魅了されていった。

昼過ぎには頂上のリフトに乗って、西側の少し難しいコースを滑った。
時刻は15時過ぎ、山の真ん中の休憩地点で「最後にもう一本滑ろうか?」と提案したのは私だった。

するとカケルが「時間がやばいからもう帰ったほうがいい」と真剣に言った。
普段はあまり強く言わないカケルがここまで言うのだから、しぶしぶ同意した。

私たちはこれがラストランと意気込み、休憩地点から山のふもとへ滑り降りた。
見慣れないふもとに降りてきた。

私たちは気づいた。

ここは西側のふもとだ。
東側のバス停に戻るためには再び頂上のリフトを目指す必要があった。

しかし頂上行きのリフトが見つからない。雪かきをしている係員の人に聞いた。
そして何度も乗り継ぎ、ようやく頂上に到着したのは15時40分だった。

ふと思い出した。

"出発時間に遅れたら置いて行くよ"。

私たちは滑った。
途中で転んでもすぐに立ち上がり、必死で滑り続けた。
全員の体力は限界に近づいていたが、バスに遅れたら帰れないという思いが私たちを駆り立てた。

15時52分、ようやく更衣室に到着した。
ここからバス停まで走れば5分で着く。
急いで着替え、レンタル用品を返却しようとすると、ケンタが「トイレに行きたい」と言った。
「トイレに行ったら間に合わないやん。我慢しろよ。」と私とカケルは心の中で思った。
私とカケルはケンタを置いてバスへ走った。

ケンタが遅れても、俺たちは遅れないように。
これでも20年以上付き合いのある幼馴染なのだから驚きだ。

バスについてガイドさんに謝った。
一番後ろの席に向かうまでの、全員の視線が痛い。
時計を見ると、15時58分。
なんだ間に合ったじゃないかと安心した。
謝る必要なかったじゃないかと。

ケンタも15時59分に駆け込んできた。
結局全員が間に合い、誰にも迷惑はかけていないよねと自分たちに言い聞かせた。

16時ちょうどにガイドさんがマイクを握り、
「こちらのニット帽、誰か忘れていませんか?」と尋ねた。

「あぁ、僕のだ」と私は静かに手を上げた。
はずかしがりながら前にいるガイドさんのもとに取りに行き、ペコペコしながら席に戻ると、カケルとケンタが笑っていた。

時計を見たら16時2分、バスはまだ出発していなかった。

窓に映った自分の顔は、火照ったままだった。
日焼けのせいだろう。


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