見出し画像

認知症介護のオンラインコミュニティ『June Care』

『百花』という本が今年出版されました。著者は映画プロデューサーとして『君の名は。』『悪人』『電車男』など数々のヒット作を手掛けた川村元気さん。これまで、命、お金、恋など、人間の根源的な要素をテーマにして本を書いている川村さんですが、『百花』では記憶がテーマになっています。

結婚して妊娠している妻と一緒に住んでいる主人公の泉。遠方に住む母親が認知症だとわかってから、消えゆく記憶の中で母親と向き合う様が描かれています。本の構成も面白く、時間軸を行ったりきたりするため、まるで記憶の階段を上り下りするような感覚を持ちながら読み耽ってしまいました。

物語を通じて深く突き刺さるのは、認知症の哀しさでした。記憶もお互いを想う愛情もすれ違う中で、向き合ってるのは果たして自分の本当の母親なのか。そんな葛藤と戦いながらも介護に従事する物語を見て、背筋が伸びる気持ちでした。

今回見つけたのは、そんな認知症の家族を持つ人向けのコミュニティ『June Care』。

できることとして、まず認知症介護という同じ共通点を持ったひとたちのグループをつくります。そして8週間に及ぶ定期的なオンライン通話の時間を設けて、専門医がファシリテーションしつつ介護をする人たちが互いの情報をシェアしあいます。

こういったコミュニティやファシリテーションによって生まれるものとして、まず家族のストレス軽減があります。家族介護を始めると孤独でなかなか相談する機会がないという人も多いと聞きます。同じ境遇にいる人とコミュニケーションを取ることで、だいぶ精神的にも楽になるだろうし、具体的な情報も得られるので介護をする父親や母親に対してもより意味のある行為ができるようになります。

日本では超高齢社会を迎えて日が経ちますが、まだまだ海外では介護の重要性は顕在化していないように思えます。今後増えていくであろう高齢者に関わるサービスは引き続きチェックしたいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?