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TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS 採択企業インタビュー「エアロセンス株式会社」

場合によっては命に関わる離島物流の大問題。
ドローンで、その不便を解消したい!


エアロセンス株式会社
取締役 嶋田 悟さん

国産ドローンとAIクラウドを活用し、農林業や物流をはじめとする社会インフラの現場作業を自動化する産業用ソリューションを提供しているエアロセンス。TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPSでは、物理的課題が大きい離島におけるドローン物流の可能性を探っています。実際に島へ入って情報収集された嶋田さんに、伊豆諸島での展開について伺いました。(インタビュー:株式会社TIAM/伊藤奨)


――エアロセンスさんの事業は「人間ができないことをロボットで実現する」という、非常に可能性の大きな事業だと思います。TOKYO ISLANDHOODに応募された理由は何だったのでしょうか?

嶋田:国産ドローンのお客様は官公庁や行政だと考えていたので、以前から自治体と効率的に会える場として東京都の取り組みである「NEXs Tokyo」(全国各地のスタートアップと大企業、地方自治体、支援機関等を繋げるコミュニティ)に会員として入っていたんです。たまたま有楽町にあるNEXs Tokyoの拠点で仕事をしていたら、隣のスペースでTOKYO ISLANDHOODの説明会が行われていて、飛び入りで参加したのがきっかけでした。

そのなかで神津島の方が「島は不便だからいいんです」と言っているのが聞こえてきて。反骨精神がある僕としては「本当か⁉ ドローン物流で島を便利にできるぞ!」という気持ちが湧いてきてしまって(笑)。僕自身、伊豆大島に家族旅行で訪れたこともあり、島しょ部はとてもいいところだなという気持ちもありましたし、TOKYO ISLANDHOODという面白そうな取り組みが始まるんだなということにワクワクしました。

ただ同時に「島が便利になることが、本当に島の人々が望むことなのか?」という疑問も湧いてきて。最後のMEETUPに参加し、登壇していた山下賢太さんに質問したところ「自分の知っている島の人がドローンによって命を救われた、ということがあるかどうかが重要」とお話をされたんです。伊豆諸島のことはまだわからないことが多いので、島の人のことを知るきっかけづくりとして参加しようと思い、エントリーしました。


――10月に島への現地見学を体験されて、新島、式根島にも足を運ばれましたが、現地はいかがでしたでしょうか?

嶋田: 新島村役場の方をはじめ、新島、式根島それぞれの診療所の方にもインタビューできる機会がありました。特に島の医療について予習をしようと『ドクターコト―診療所』を見てから行ったので、式根島でまさにリアルなドクターコト―診療所!という現場を見ることができたのが印象的でしたね。


新島村役場の職員にドローン物流の仕組みについて説明する嶋田さん

新島村は2島1村で、診療所の本拠地は新島にあるため、式根島の診療所は新島に比べて薬の在庫も多くないし、装置も限られています。処方箋も式根島では出せないなど、何か欲しいというときタイムリーに手に入らない場合が結構あるということでした。また、働いている看護師さんたちも「どういう薬をどのくらいの量で在庫として持っておくべきか、薬の管理に悩む」とおっしゃっていました。

そこをドローンで新島と式根島を結ぶことができれば、薬を管理するというファンクションが丸ごといらなくなります。そうすれば看護師さんは看護に集中できるでしょうし、ドローンがお役に立てそうなことはあるなという手応えがありました。


――TOKYO ISLANDHOODで実施している事業化支援について、どんなことが役に立ったでしょうか?

嶋田:通常の観光では決してめぐりあうことのない方々と出会うことができ、ライトパーソンにしっかりお話できたとことが一番ですね。また、他のスタートアップはどんな人がどのような事業に取り組んでいるのか、知る機会ができたことも参加してよかったことです。挑戦している人たちなので、それぞれの挑戦と苦労を間近で見ながら、互いに共感しあえる場になりました。こういう形で企業同士が横につながる機会はなかなかないので、新鮮な体験でしたね。

それぞれ異なるフィールドだからこそ、事業を通じてつながるポイントもあると思います。一緒に式根島へ行ったFLOATBASEさんの医療ボックスも、リモート診療後に薬が必要となったときに、うちのドローンで薬を届けるという具体的なコラボも見えました。アイランデクスさんの引っ越し事業も、引っ越しはシーズナリティがある事業ですから、シーズンオフにドローン物流というビジネスができれば、というお話もありました。


――すでに連携のお話が出ているのはすばらしいですね。今回のつながりをコミュニティとして継続できたらと考えているのですが、どのような場があればよいでしょうか?

嶋田:弊社はドローンやクラウドといったツールを開発していますが、そのツールを活用するのは島の方たちなので、一緒に取り組まないと先に進めないと思っています。島の外にいる、私たちのようなツールを持っている人と、ツールを使う島側の人が、一緒に集まれる場があり続けるといいなと思っています。


新島村商工会にて。今後も連携を継続する予定

――最後に今後の事業展開について、道筋などありましたら教えてください。

嶋田:今回は短期間だったので、予算を取るというところまで行き着くことがきませんでした。今後も継続して予算の確保に挑戦していきたいですし、島の方々とコミュニケーションを重ねていきたいと思っています。とりあえず島でドローンを飛ばしてみる、というところまで持っていきたいですね。

エアロセンスだけでは完結できない事業ですので、島の方もそうですし、アイランデクスさんのような島でのプレイヤーや、ドローンを活用した物流に取り組んでいる大手企業とも一緒にやっていくことで、離島でのドローン物流を実現するための座組みを整えていきたいなと思っています。


――実現を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

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