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TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPS 採択企業インタビュー「株式会社ライトライト」

事業承継は、島を大切に思う人同士をつなぐこと。
誰もが好きな場所に暮らせる世界をめざして


株式会社ライトライト 
代表取締役 齋藤隆太さん
地域戦略推進チーム 松田稜平さん

「地域に、光をあてる。」をミッションに掲げ、地域の事業者と地域の未来を担う人をオープンにつなぐ事業継承プラットフォームを提供するライトライト。本拠地である宮崎県から遠く離れた東京の島々とふれあい、大島町や各支援団体との連携協定を見据えて取り組みを進めている代表取締役・齋藤さんと地域戦略推進チームの松田さんに、意気込みを伺いました。(インタビュアー:株式会社TIAM/伊藤奨)

――ライトライトさんは宮崎を拠点として活動されていますが、TOKYO ISLANDHOOD with STARTUPSに興味を持たれた理由はなんでしょうか?

齋藤:僕たちは事業承継のマッチングプラットフォームである「relay」を運営している会社で、事業を譲り渡したい売り手様と、事業を譲り受けたい買い手様をつなげるような場所を作っています。大きな特徴として挙げられるのがオープンネームの考え方を取り入れていること。売り手さんがお顔を出して、どんな事業をどんな思いでやってきたか、どんな方に譲り渡していきたいかを取材して記事にして公開するという、これまでになかったサービスを提供しています。

3年ほど運営していますが、事業承継を通じて移住者が増えたり起業する人材が増えたりしていることから、最近では地方自治体様との連携が増えています。そうしたなかで「東京でも事業承継の課題を解決するべきだ」といったお話をうかがう機会があり、東京での課題感を考えているタイミングで偶然TOKYO ISLANDHOODのことを知ったんですね。

離島で事業承継の課題が大きくなっていくことは理解できていたので、離島へ踏み出すいいきっかけになるのではということと、東京の離島という特異性も面白いのではないかと考えました。なにより「事業承継」がこの事業のキーワードとして明確に出ていたので、僕らが行かないわけにはいかないな!と。


「好きな場所で働くことが大事」と語る齋藤さん

――呼ばれてる!みたいな感覚あったんじゃないですか?

齋藤:それはありますね。なぜ僕たちが宮崎にこだわっているかというと「好きな場所に住み続けながら働いてほしい」という思いがあるからなんです。働いているメンバーも北は盛岡、南は沖縄まで全国でフルリモート勤務しています。みんなその場所が好きで、その場所で働けて、『relay』のようなことがやりたいという人たち。僕が宮崎にいるのも大切で、好きな場所で創業していることが大事だと思っています。

ベンチャーキャピタルの方に「東京に来たほうがいいよ」と言われることもあるんですが、東京に出てくるメリットって明言できないと思うんですよ。宮崎だといろいろなカテゴリの人に出会えないので、たまには違う人とも話さないといけないな、と考えるぐらいです。離島も、全然ハンデにはならない時代だと思うんですよね。


――10月の現地見学で伊豆大島に来られた松田さんは、現地ヒアリングや事業説明という目的で島に来ていただきましたが、島に行く前と行った後でイメージの違いはありましたか?

松田:我々が取り組んでいる「事業承継分野で情報をオープンにする」ということに対して、島では懸念があるということを耳にしていたので、正直かなり不安がありました。でもフタを開けてみたら、役場の皆さんも事業承継に関して動かれた過去があったと伺ったり、役場としても課題はしっかり取り組んでいきたいという前向きなご意見をいただいて、予想外にいい形で進むことができたことは大きな収穫でしたね。

事務局の方ががっつり間に入ってくださって、「こうやったらいいんじゃないですか」と提案してくださったり、「ここにおつなぎします」と積極的に動いてくださったことも助けになりました。一緒に4時間くらい缶詰になって町長への提案書を協議してくれたり、面会に同席してフォローしていただけたりと、親身になってバックアップしていただける体制が心強かったです。

「一人で島に入ったので、何も動かなかったらどうしようと不安だった」という松田さん


――これから実際に事業を進めていくにあたり、壁になりそうだと想定していることはありますか?

松田:まず1件目の事例を作るところが、最初の壁になると思っています。拠点が離れていますので、島のみなさんにとって信頼のおける方々のご支援が必要不可欠になってきます。事例ができると島内での雰囲気も変わってくると思いますので、まずは事業者様に安心していただける協力体制づくりをめざしたいです。

齋藤:エンドユーザーになる事業者様に、我々がやろうとしていることをご理解いただけるかどうかですよね。事業承継やM&Aって拒否反応が出てしまう言葉だったりしますが、我々がやりたいのは事業承継を通じて町が良くなっていくこと、そして住民サービスの質が落ちないように維持していくこと。そこを理解していただけるよう丁寧に説明していきたいですし、商工会のみなさんと密に連携を取ってやっていきたいと思います。


大島町商工会のみなさんと作戦会議


――事業承継って単純な事業の売り買いではなくて、島にとってどんな意味があるのか、その人がどんな思いで事業をやってきたか、そこを無下にされたくないという部分がありますよね。

齋藤:本当に信頼がおける人しか譲りたくない気持ちはわかるんですよ。親族が後継者に決まれば一番いいし、島の中で信頼できる方に事業を預けられるならそれでもいいんです。でも、それでは絶対数が足りないんですよね。情報をオープンにすることによって、島に縁がある人や、島に住みたいという熱い想いがある方々に届けることができないと、廃業の加速度に耐えられなくなると思っています。


――まずはひとつでも事例を出すことを最初の目標として、その先の展開イメージはありますか?

齋藤:『relay』は地方の小規模事業者が取り残されないサービスとして始めたんですが、離島は利便性の問題もあり、施策から取り残されがちじゃないかと思っています。離島でもしっかり事業承継ができるんだということを知らせていきたいという気持ちがあります。東京の島だけではなく、全国の離島で活動されている事業所様にも同じお悩みはあると思うので、発展的に離島での取り組みを続けていけたらと思っています。

―本日はありがとうございました。


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