関西クィア映画祭2021

先週の三連休日曜にかねてより気になっていた「クィア映画祭」に行ってきたんですよ。
ちょっとネタバレありの内容なので、当該作品をこれから見られる予定の方はご注意で。

https://kansai-qff.org/2021/

3日間大阪と京都で開催されていて、3日間行きたかったけど、時間の都合上1日だけ参加してきました。

セクシャルマイノリティをテーマにしたという催しは多くなく、それが地元でやってくれていたのでこいつは見に行かねばと。
何より興味があったのが、当事者をテーマにした映画というのは世の中には結構あるけれど、当事者が制作したセクマイ映画というのは少ないのではないかと。
映画の後には製作者インタビューもあるというので、いい機会だと思って行ってきました。

今回拝見したのはこの2作。

https://kansai-qff.org/2021/film-list/i-am-here-we-are-here-together.html

https://kansai-qff.org/2021/film-list/the-world-for-of-the-two-of-us_preview.html

ドキュメントとフィクションで、それぞれ特性の違うものを続けて見られるのもちょうど良かったです。

どちらもああそういうことね、ああそういうことあるよね、という確認みたいな、現状世の中に蔓延っている事情をちゃんと映像で目にしたような感じ。
私、物書きの仕事を目指しているくせに感想文を書くのが苦手なので、端的にいうと、どちらもそれぞれ伝えたいことははっきりしていて面白かったです。

「I am here」については、体の性転換を今の法律(戸籍の性別変更)に準ずるためにやっているのではないかという投げかけもあって。その発想、意外となかったなとハッとさせられた部分がある。
ジェンダーがもし違うと気が付いたなら、体も変えたいと思うのが普通だと思っていたが、またここで「普通」とはと思い知らされてしまった。
所詮「普通」という概念は思い込みでしかないのだ。
ちなみにこの性別変更の条件が色々矛盾だらけだという話を、ちょっと前に当事者の方々ともしたばかりだった。
ただその矛盾も時間はかかりながらも少しずつ見直しがされている。
適切な条件になるまでは協議が必要なのは間違いない。
法律はできて終わりではないという現状を改めて知る機会となった。

その後のトークショーも、質問コーナーもあってなかなか興味深い内容だった。
どちらも共通して上がっていた意見だったような、当事者かつ数々の映画を見慣れている方々だからか、もっと新しいもの、世間が知らない事情も描いて欲しいというご意見があった。
わかる、わかるが、私はまだまだこういう基礎編みたいな映画が必要だと思う。
じゃないと、某お●さんずラブなどをみて、マイノリティ知った気になっている人も少なからずいそうだし、別に私はその作品を批判したいわけでもなくむしろ好きな方ではあるが、でもコメディの前には現実があることを知っておいた方がいいのではと思うのです。
少なくとも地上波で公開されている作品で、ああそうだよねえ、そうなんだろうねえと納得できる作品は全然少ない。ただ、こういう人いてくれ頼むと思うのは逃げ恥の沼田さん(ただの好みだ!)

ミッドナイトスワンも違和感を抱いていたというお話も上がっていて、高評価印象で見ようと思っていた(まだ未視聴、そろそろ見たい)私からするとそうなの?! と意外に思ってしまった。

確かに当事者からすると、あれもこれもと気になることがあるのは当然ある。
それはセクマイ作品だけじゃなくて、他の作品でもある。
例えば、某倍返しスピンオフで、あまりにセキュリティガバガバな会社がセキュリティに関する仕事をしていて、ツッコミどころ満載だったが、多分私やその手の仕事をしている皆さんは、事情を知っているので気になってしまうのである。
知らない人からするとどうなのかとなると、案外気になっていないのかもしれない。結局は、そんなことよりも製作側のテーマがちゃんと伝わっているかどうかが重要となってくる。
でも、そのあたり当事者にも気にさせない技術があってこそ優れた作品になっていくんだなというのもわかる。確かに私の推し脚本家はそこんとことても上手い。
先日もキャラがちゃんと確立されていれば、多少の矛盾は気にならなくなるなんてことも教えられた。
もちろん事実を歪めるのは絶対ダメだけれど、それより言いたいことはこれだということをまずちゃんと伝えるのが必要なのだというのは、すごく勉強になった。

そういった観点でいくと「フタリノセカイ」を見終わった後、「そこまでして子供って欲しいのかな?」という感想が一番だったのだけれど。
そうしたらトークショーで監督さんが、そう思ってもらえたら狙い通りというようなことをおっしゃられていて、やられた! 大成功! とドッキリの如く脳内で看板を掲げてしまった。
このシナリオ技術が私にはまだまだないなと思い知らされた。
日々精進が必要だ。

そういう発見もたくさんあるので、製作者のトークイベントがある催しは率先して行った方がいいと思う。
元々好きだったけれど、本当に勉強になる。

そういえば、シナリオを書くようになって、純粋に作品を見るより制作の観点で見るようになってしまった。
これは反省点だけど、きっとそういう職業病の人もたくさんいそうだ。
私も職業病と言えるようになりたいのである。

それはともかく、来年もやって欲しいのでアンケート答えてきます。


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