自分で操作できないものが、つくるものに個性として宿る
私がつくる服は生まれ育った土地の気候に影響されています。
私が生まれたのは、岡山県岡山市の海側。
自転車で少し行くとフェリー乗り場があるような郊外育ちです。
夏の季節風は四国山地に、冬の季節風は中国山地に遮られるため、年間を通じて温暖小雨な岡山市。
自分のブランドでは、そんな”瀬戸内気候”に合う西日本産の生地をつい選んでしまいます。
雨や雪が多い地域に暮らしたことがないため、その大変さを親身に慮ることが出来ません。
私が運営するアパレルブランド、SAGYOやみんふに防寒アイテムが少ないのは、そんな理由があるからです。
もう少し器用だったら…と思うこともありますが、自分のアイデンティティに沿うアウトプットが一番自然で信頼性があると信じていますし、現に西日本の素朴で肌触りのいい生地が自分のつくるものにしっくりくるのです。
昨今、人を区分け、分類するような行為は敬遠される傾向にありますが、アイデンティティは区分け分類した先にある自分だけのものです。
世間の流れに迎合しすぎず、ルーツやアイデンティティを尊重したものづくりをしていきたいなという話でした。
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そんな暖地生まれの私ですが、軽い興味から調べはじめた、冬が厳しい地域で暮らす方々の生活の工夫や雪国独自の文化にものすごく惹き込まれています。
彼らの生活を知れば知るほど、安易に防寒着などつくれないなという気持ちになります。
あくまで個人的な感情ですが、襤褸を製作の材料に使うとか売り買いすることは決して出来ませんし、安易に「美しい」とは言えません。
こどもの手が離れたら大学に入り直して、日本各地の衣服の民俗研究をしたいです。
自分でも雪国に暮らしてみながら、役の立つ冬の衣服をつくれたらいいななんて夢想しています。
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