今、僕たちはオリンピックのマーケティング価値の転換点にいるのかな。

2020年から1年の延期となった東京オリンピック・パラリンピック。
COVID-19の影響は今なお続き、更なる延期か、それとも中止か、はたまた無観客で実施するのか、と日々世の中が悶々としていたら、森喜朗会長による不適切発言で一気に潮目が変わったように見えます。

ここではオリパラの実施是非というよりも、森会長の不適切発言によって見えてきたオリンピックのマーケティング価値の変化に着目してみたいと思います。

オリンピックが商業主義に転換したと言われるのが1984年のロサンゼルスオリンピックでした。Wikipediaによると税金に頼らずオリンピックの放映権、スポンサー協賛、大会チケット等の収入による公金から自立したオリンピックで黒字化した最初の大会と言われています。

僕も小学生の時のロサンゼルスオリンピックで初めて、アメリカのロサンゼルスというアメリカ西海岸の都市を知り、イーグルを模したマスコットのヨーヨーで遊んでたことが今でも思い出です。

この成功体験から、以降のオリンピックは商業オリンピックとして突き進み、一定の成果を出し続けてきました。

しかし、時代は変わり先進国を中心とした消費構造に変化が起きました。
よく言われる、モノからコト、というやつです。
これにより、今までのような商業的なオリンピック運営は当然行き詰まるはずですが、五輪マークの旗印の元では、まだまだその力は効果がありました。というより効果はあるはずだ、という認識のもとオリンピックスポンサーのマーケティング活動は展開されていました。

ところが、先日の森会長のジェンダー発言によって日本国内のみならず、グローバルレベルで袋叩きにあってしまい、IOCですら擁護してくれない事態が起きています。
オリンピックスポンサーの不買運動まで話題に登るのですから、ウン億円も協賛費を出しているスポンサーにとってはイメージ向上、売上拡大とは裏腹に広告やプロモーションなど何かやろうとしたらかえって大きな損失になりかねません。

これまで生活者は五輪マークやオリンピックアスリートの肖像をあしらった商品やサービスに「自分もオリンピックを応援する」もしくは「自分も時代の流れに乗っている」という思いでそれらにお金を払ってきました。つまり、モノ消費ですね。
ロサンゼルスオリンピックでイーグルのマスコットのヨーヨーで遊んでいた自分も同じようなものです。

今回、森会長発言によって見えてきたのは、そういった「モノ」の応援ではなく、オリンピア精神ともいえるオリンピックの背後にある歴史や思想、意義に賛同したり参画する「コト」への消費にマインドがシフトしていることが象徴的に表出したのではないかと思います。つまり、商業オリンピックも40年の歴史を経て、考え方をシフトするときが来たということなのかなと。

もちろんコト消費として絶対必要なのが試合の中継をはじめとする放映権です。
既存メディアがそれを担うかどうかはプラットフォーマー次第ですが、放映に関する商業性は当面担保されるでしょう。

しかし、それ以外のモノ消費はオリンピック精神に基づいたコト消費に切り替えないと今までのような協賛によるマーケティング効果は期待できません。
オリンピックの経験価値を売る新たなマーケティング戦略を構築する必要が出てきたということなんだと思います。

単に五輪マークをあしらった商品や広告だけでは、これからのオリンピックバブルの恩恵を受けることは難しくなったので、一層の知恵が必要になりそうですね。


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