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【雑記】2023年度に見た映画【振り返り】

 4月になったので、2023年4月~2024年3月まで……つまり2023年度に鑑賞した映画を振り返っていこうと思う。これで第三回目だ。去年の記録は以下にまとめている。

 順番は見た順で、映画館で観たものと配信で観たものが混在している。また、1度過去記事で書いた映画は端折っている。





【1】クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲

 友神と話してるなかで話題に出て、ネットフリにあったので視聴。『郷愁』という言葉がこれほど恐ろしい敵になるとは……小さい頃に何度か見た記憶はあったが、感受性が上がった今見ると凄まじい映画だった。良いところだけ切り取った過去というのは、当然都合のいい改竄された記憶に過ぎないが、それ故に実際の過去よりも恐ろしいのだと思う。それでも郷愁はやはり倒すべき敵である。未来に進みたいという力は子供のみならず、かつて昭和を生きた者たちもまたそうしてきた……そういうR.E.A.Lが後半で勇気づけてくれる。名作と名高い本作だが、当然期待を遥かに超える面白い映画だった。


【2】劇場版ロックマンエグゼ 光の闇の遺産

 エグゼコレクション発売記念に期間限定配信していたので視聴。たしかデュエル・マスターズと同時上映された作品で、実時間は1時間にも満たない。それゆえ舐めた心があったが、ちゃんと面白い映画だった。
 黒幕のドクター・リーガルは、全世界の電脳化を目論んで暗躍していた。ネビュラ・グレイというスゴイ・ワルイ電子存在がそれを成し遂げようとしている。主人公の光熱斗と相棒のロックマンは、仲間たちと協力し、また宿敵だったフォルテとも手を組み、世界の危機に立ち向かう……そういう話だ。少年漫画らしい展開に聞こえるだろうが、冒頭で仲間たちが一瞬で電子ノイズに分解されたり(あとで蘇るが)、父親がエグい拷問を受けたりと子供向けと侮ると後悔するシーンがある。短時間のため話がサクサク進んでいくが、意外に急きすぎな印象はない。
 余談だが、本作はいわゆる強いAIと人間が共存する世界観を描いた物語だ。人々は一人一台PETと呼ばれるスマホ端末を手にしていて、生活の助けからウィルス退治までA.I=ネットナビの力を借りている。2020年代に見るとまた違った印象が得られるかもしれない。



【3】ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー

 国民的名作ゲームの映画化。うだつの上がらない配管工、マリオとルイージはある日土管に吸い込まれ……そんな話。ゲームの世界がそのまま映画になったような……というよりも、ゲーム的な”面白さ”がいい感じに反映されたキノコ王国が描かれていて、タノシイがとても凝縮されている。
 キャラクター造形もとてもいい。臆病だが粘り強いマリオ。失敗ばかりだがいざという時に動けるルイージ。勇敢なピーチ。ひょうきんなピノキオ。愉快だけど実は父親への承認欲求に飢えているドンキーコング。そして何より、滅茶苦茶コミカルに描かれながらも一切の凶暴さを損なっていない、暴力の化身クッパ大王。冒頭のペンギンの国を焼き滅ぼしたシーンもそうだが、ピーチ姫に心酔しているパートで部下にドン引かれているからこそ、一重に暴力性だけでカリスマ性を保っている魅力がとても素晴らしいと思った。そんな彼を最後に、様々な障害に何度も敗れながら挑んでいくからこそ、マリオのマリオらしさが詰まっていたのだと思う。マンマ・ミーア!


【4】岸辺露伴 ルーヴルへ行く

 NHKドラマ岸部露伴が映画に。謎の作品、『最も黒い絵』を巡って、漫画化岸部露伴と相棒の泉くんは色々なことに首を突っ込んでいく。道中、不可解な死や謎が起こり……露伴ちゃんの過去にも繋がっていくのだった。
 贋作とそれの売買を行う違法バイヤーの話に繋がるのは、とてもミステリー的で面白かった。それらの常識が”黒い絵”の力によって蹂躙される図も、露伴視点だとはじめ皆が勝手にのたうち回っているようにしか見えず、あとから怪異的現象が開示されるのも印象的だ。泉くんが性格的に無効化していたのもまたヨシ。
 強いていうなら、件の絵が保管されていたのが地下と言う事で、やはりルーブル美術館自体のシーンが少ないのは残念だ。天下のNHKのマネーパワーでもっとロケしてほしかった……それはそれで尺が足りなくなるかもだが。
 


【5】ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ

 映画ソニックの第二作目! 配信にきてくれたのでやっと見れた作品。宇宙から帰ってきたエッグヘッドと、恐ろしい存在ナックルズ。一方ぐうたらしていたソニックの元にテイルズが訪れ……マスターエメラルドを巡る戦いが始まる。
 アメリカンテイストなノリは相変わらずで、一方でしょんぼりするソニックの再起や奮闘も印象深い。だが、すべて吹き飛ばしたのは前作いじわるおばさんだったレイチェルの活躍だ。悪ノリや前作の被害者ポジションのイメージからの反転……色んなものが合わさった結果、はちゃめちゃに面白いシーンになった。ノイズかと問われるとそこまででもなく、総合的に、愉快でハチャメチャな奴らが大小迷惑をかけあいながらも楽しく生きている……そういう映画にまとまっていたのでとても良かった。


【6】NOPE

 未確認飛行物体型生物撮影作戦。コミュ障牧場主OJは人生を再起するため、そして亡き父の敵を取るため、妹や家電販売員らと共にNOPE撮影作戦を開始する……!
 あらすじだけを見るとB級っぽいが、人の死や恐怖に向き合っていて滅茶苦茶ちゃんとした映画だった。馬も人も死ぬ。何より怪異描写がとてもいい。最初に電化製品が使えなくなる描写があり……上から螺子やらなんやらが降ってくる描写があり……キャトルミューティングの描写が続くことで、あらゆるものを呑みこんで咀嚼できなかったものを吐き出す習性が明らかになる。OJが馬主経験から『見られたものを吸い込む』というSHY・GUY的な生物の修正を明らかにした事で、UFO正体を生物と看破したのも筋が通っていいい。最終版で明らかになったUFOのビジュアルは………………とても好みだった。


【7】きさらぎ駅

 領域型怪異攻略RTA! 事前攻略者の情報を元に、ループするきさらぎ駅を攻略せよ。最初にホラーをやって、次にRTA展開で笑わせてくる手法は『カメラを止めるな!』を感じた。
 最初の「ん? この人の家怖くない?」が最終版で帰ってくる展開も良かった。あの目玉はあからさまにB級でそれもそれでよい。人の業は時に怪異よりも恐ろしい時もあるが、最後に娘がきさらぎ駅に乗り込んでいてインガオホー感がある。きさらぎ駅は今もある。誤情報をわざと攻略Wikiに書いてはいけない。


【8】犬王

 南北朝時代のロックスター物語。盲目の琵琶法師と異形の踊り手がコンビを組み、室町幕府下でビッグサクセスしていく。踊り手、犬王はライヴの度に人の姿を取り戻していくが、それはヒトの倫理に縛られることも意味していた……。
 足利スーパーテクノロジーを以って描かれる時代離れした現代的なパフォーマンスが一つの見どころである。炎を出したり鯨を頑張って投影したり湖の上を飛んだり……明らかにオーバーテックである。一方、煌びやかな側面ばかりではなく、暗い一面がむしろ強い作品である。たとえば琵琶法師が失明に至った原因が幕府正当性を担保したい足利の思惑の過程であったり、犬王の異形の理由が父親の狂気的な能への執着であったり……後者は勝手に自滅し、前者は没落せず、そしてそうした背景に主人公たちは全く関与できない。一瞬の煌めきと、その後に待つ残酷な結末……そういう作品だった。



【9】君たちはどう生きるか

 宮崎駿が殴ってくる映画……ではなかった。火災で母親を失った少年が、新しい母親との関係に悩み、生活に悩み……アオサギ(君生きバード)に誘われたいせかいを冒険する。色んな鳥に追い立てられた先に若い頃の母親と出会い……成長し……世界の存亡とかを託されるが……意を決し現実に戻る。とても刺さる映画だった。
 15の時に母を亡くしている身なので、私には特別刺さったような気がする。が、そこまでの経験がなくても来るものがあるかもしれない。現代を生きる人々が経験する様々な苦しみ、葛藤……そうしたものを否定されるのでなく、肯定と応援をもらうような映画だったと思う。実際、いせかいは人間にとっては恐ろしい場所だったが、一方で風景は本当に美しく、ユニークで面白い世界である。また、ジブリ的なおいしそうなご飯がようやく母親の家で出てくるのも印象的だった。
 アオサギもとてもいい。序盤は不気味な敵だったのに、くちばしの穴を埋めたシーンでなんともいえない協力関係を築き、最後はともだちになる。おれもアオサギと友達になれたのだろう。



【10】バイオハザード デスアイランド

 ゲーム版のバイオハザード6~7の間の時系列の話。拉致された売国博士を追うレオン。新型Tウィルスの出所を追うジルたち。両者の探索が交差する時、新たなBOWの脅威が訪れる。
 ウィルスの媒介を行うのは蚊であった。まったく傷を負っていない民間人たちが次々とゾンビ化していったりするシーンは中々良かった。また、ラスボスは鮫ゾンビで、合体する前後もその凶暴性を遺憾なく発揮していた。黒幕の理想がやや冗長だった分、最終戦はロケランを駆使したり明らかにQTEかなと思わせる部分があり、ゲーム本編から映画化した様子があって良かった。何よりレオンとクリスがどこか楽し気に戦っているのがとてもいい。スタイリッシュサバイバルホラーアクションのバイオハザードを描いた気持ちい映画だった。



【11】ファンタスティック・プラネット

 遠く離れた星イガムでは人類はペット存在として支配されていた!! 学習装置で賢くなった主人公は宇宙人の手から離れ、野良人間の集落と迎合し叛逆を企てる。ヘケッ!叛逆の物語なのだ!
 宇宙人の謎文化も面白いが、なによりイガムに暮らす生物たちのなんと奇妙でおそろしいことだろうか。矮小な人間は一歩道を踏み外せばたちまち死んでしまうだろう。恐ろしい世界に暮らす小さくてよわいやつ……ちいかわを想起してしまったのは私だけではないはず。1970年代とは思えない、こんな奇想天外な世界をよく映像に落としたな!? と驚愕する作品だった。



【12】アフリカン・カンフー・ナチス

 アフリカ! ナチス! カラテ!! 説明不要!! ……無軌道カラテ門下生アダーはぐだぐだ暮らしていたが、突如復活した第四帝国、ヒットラーによって恋人は洗脳され、ドージョーは壊滅してしまった。復讐を誓うアダーはカラテを鍛え……武闘会に臨むのだった。
 最後の銃撃戦のシーンとかところどころは低予算感を隠さず開き直っている。が、カラテ映画だけあって格闘戦描写はちゃんと力が入っていた。アダーの月影拳に、ゲーリングのカウンター型の強者溢れる戦闘スタイル……ちゃんと書き分けされていて、見応えのある戦闘が繰り広げられる。あとちゃんとフェイタリティもある。グロ苦手な人は注意。



【13】デッド寿司

 イタマエ! スシ! イヤーッ! 説明不要!! ……イタマエになれず家出した主人公は旅館で働くことになるが、元ズンビー研究者によってゾンビ寿司パニックが起きてしまう。元イタマエのおっさんやなんか仲間になったタマゴ・スシとの出会いが成長を促し……最後はイタマエとして完全覚醒する。そんな話。
 安っぽいCGに割り切ったホラーギャグとやはりB級感満載の映画だったが、狂った世界の中に懸命に生きようとする主人公たちの心が書かれてたように感じた……多分。



【14】SANDLAND

 鳥山明先生枠。尊大ながら純粋な悪魔の王子少年と戦車乗りだった元軍人オッサンのコンビ物! 水不足であえぐ過酷な砂漠の地、水資源を独占する圧政王朝……そんな中オッサンのラオは魔族と手を組み、幻のオアシスを目指す。途中一向は戦車を盗むわけだが、王国は過剰な戦力で追撃してきて……。
 オッサンと戦車を描きたかったという言葉通りに、オッサンと戦車がちゃんと供給される。変なヤツから面白いヤツまで色々と供給される。王子のベルゼが破天荒に暴れ回る作品と思いきや、物凄く力の入った戦車戦が繰り広げられるシーンがあり……味方がみんな活躍する。なにより、過酷な現実に縛られるラオと、純粋な心のまま世界を生きるベルゼの関係性がとても良かった。↓のブログをなんとなく思い出した。

 シリアスな世界観とコミカルな作風が味わい、カラッとした爽快感に溢れた名作映画。『THE SERIES』はまだ見れてない……。



【15】劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語

 次回作の前に見ちゃおう! ということで観た。見滝原の魔法少女たちはナイトメアとの戦いを頑張っていた。ところが実は彼女たちが戦っていたのは魔獣で……その前は魔女で……この世界なにかがおかしい! というお話。
 偽物の見滝原が舞台装置としてとても良くできている。ところどころ怖く、犬カレー次元になっている。キャラクターも魅力的。杏子は本編には見られなかった学生生活をエンジョイしているし、一方でマミさんはちゃんと強い。あとさやかちゃんが滅茶苦茶つよい。
 インキュベーターのインキュベーター節も相変わらずだ。そして、それを上回るほむらの思いとは……円環の理とは……久々に見ても滅茶苦茶面白かった。



【16】ジョン・ウィック コンセクエンス

 ジョン・ウィック最終章。いきなり観ちゃった。数々の裏社会ルールを破ってきたジョン・ウィックに裏社会のボスも激おこ。なので人質を取って彼の友人をけしかけるのだった。
 大阪、闇カジノ、ニューヨーク。殺し屋は活動場所を選ばない。それどころかニューヨークでは闇ラジオが突然賞金額の釣り上げを放送しちゃうので、与太者たちもどんどんジョンを襲うようになってしまう。
 スーツの男が派手に殺し合うエンターテインメント! 途中見下ろし型アクションになったり後半の坂道だったり最後の決闘だったり……どれも絵面がバチバチに決まっている。それでいて殺し屋が背負うカルマにも向き合っていて、とても格好いい映画だった。



【17】ジョン・ウィック

 最初のジョン・ウィックも見たよ。妻の形見、愛犬を殺されたのでジョン激怒。バカ息子とその友達を殺すためだけにマフィア界を巻き込む壮絶な殺し合いが始まる……!
 4から観ちゃったせいで、スーツの耐久度が低いな!? と感じた。それゆえに傷を負いながら決して歩を止めないジョンの恐ろしさがあったと思う。ゲーム中に殺されるやつがいたり、画的な面白さもちゃんとある。最後の大親分とジョンの戦いも中々好きだった。



【18】ゴジラ-1.0

 戦後日本、復興を頑張っている東京にゴジラの脅威が迫る……!! 一方、戦争から逃げのびてしまった元隊員の主人公は生活を取り戻そうとしている反面、後ろめたさから死に場所を探していた……。
 ちゃんと勝てるくらいに調整されたゴジラがとても良かった。コングと闘ってるやつと比べると明らかに動きは鈍いが、その分尾びれをガコン! させながらゆっくりと放たれる熱線の火力は圧倒的である。銀座を吹き飛ばした威力は圧巻。
 ミリタリー的な要素も本当に熱かった。ニワカでも、雪風が登場したことで生還できる希望も見えてくるし、試作機として日の目を浴びなかった特攻機、震電が活躍するのも滅茶苦茶熱い。最後の、一騎打ちからのオチは分かっていてもやはり熱くなるものがあった。


【19】過去のない男

 フィンランドの映画。電車に乗ってはるばるやってきた男は、早速悪漢たちに襲われて記憶喪失になってしまう。ホームレスに介抱された後、男の新しい人生が始まる……。
 苦労しながらも生活基盤を整えていく姿にそういうゲーム的な面白さを感じてしまった。あの悪徳警官も頭の中で某タヌキが過ぎってしまう。名前がないことで職が見つけにくかったり、口座を作ろうとしたら銀行強盗に出くわしたりと色々起こるのも良い。
 後半に自分の経歴が判明し、折り合いにつけにいくわけだが、その後に選んだのが記憶喪失後の人生だったのもとても良かった。あとやっぱり電車でスシ食べてるのが印象に残り過ぎた。


【20】首

 時は戦国、織田信長の隆盛期。信長は狂王であった。彼に振り回される家臣たちの中には叛意を抱く者もあらわれ、やがて本能寺の変に至り、信長亡き後も狂った世界が続いていく……。
 R15なだけあって普通に人が死ぬし、何なら斬首のシーンで普通はカメラが切り替わりそうなところ、噴水めいて血を流して斬られるところまで鮮明に描かれる。そんな過酷な世界ではあるが、シリアス一辺倒ではなく、秀吉や家康など、飄々と生き延びていく者たちもいる。あるいはそう生きようとして、結局死んでしまう者も……。戦国を舞台に様々な人物が入り乱れる、そんなおはなし。



【21】エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

 さまざまな夢を諦め、コインランドリーの経営者になり……しかし税金滞納で怒られ中の大ピンチ主婦。しかし別次元の夫からのコンタクトによって、いきなり全次元を賭けた戦いに巻き込まれてしまう。次元全体の脅威は関係が上手くいっていない娘だった……。
 しっちゃかめっちゃかな設定に聞こえるが、中盤の奇行を取ることで別次元の自分とリンクして力を得る設定がまず滅茶苦茶面白い。敵も同じことをしてくるので、敵の奇行を妨害しつつ自分は様々な奇行をして……という攻防がとてもユニークだった。各次元もまた面白い。指がソーセージになっている次元、アライグマを乗せた料理人の次元、カンフー次元……そうした面白おかしい要素から一転、最後は自分自身の問題に向き合うことになる。
 間違いなくこの映画でしか見れない絵が見れたし、最後の、石の次元の話とかかなり好きだった。色々な要素が楽しめたSF映画。下ネタは……まあ苦手な人は注意。


【22】窓ぎわのトットちゃん

 黒柳徹子の自伝が映画化。テレビを見ない民なのであんまり氏の事を知らなかったが……特に知らなくても楽しめる映画だった。
 時は戦前。お転婆と好奇心が過ぎて学校を追い出されちゃったトットちゃんは、個性を大事にするトモエ学園に入学することになった。好奇心の赴くまま色んなことを楽しんだり、青春をしたり、時には人を勇気づけたり……しかし世情は段々と変わっていて、張り詰めた空気や熱が少しずつ日常に変化を及ぼしていく。英語が禁止され、鮮やかな服が着れなくなり、裕福な家庭でも満足な食事ができなくなる。過酷を増す社会、更には学友の死をきっかけに、トットちゃんは徹子へと成長していくのだった……。
 創作的な話もあるのだろうが、戦争の影響が及ぼしていく迫力はとても恐ろしいリアルを感じた。進行する兵隊を避けて細道に入ると泣いている母親がいたり……子どもの目線で、言葉を使わずに表現された歪な現実がとても良かった。



【23】ヴァチカンのエクソシスト

 お仕事エクソシストもの。時は20世紀、スクーターを乗り回す破天荒聖人ガブリエーレは、旧教会から少年の身体に乗り移った悪魔を祓う事になる。悪魔は強大だ。エクソシストの過去のトラウマを抉り、幻覚を見せ、超常パワーで抵抗してくる。そんな中、旧教会にいた優男の神父と協力し、遂には教会に眠っていた秘められた闇と対峙することになる。
 昨今物理的な殴り合いバトルに発展されがちな悪魔祓いだが、この映画では大真面目に取り組んでいる。超常の力によって物理・精神共に追い詰めてくる悪魔アスモデウスに対し、ひたすらに主への信心によって対抗していく。迫力があり、とても茶化すことができない戦いがそこにはあった。主人公が凄いタフなので安心して見れるのも良かった。



【24】パルプ・フィクション

 裏社会ごたごたオムニバス会話劇。マフィアを擁する街が舞台だが、完全に支配が及んでいるわけでもない町で、裏社会の様々な人物の視点で物語が描かれる。
 殺し屋コンビがまず面白い。獲物のハンバーガーを食べたり、車に乗ってる最中はずみで撃っちゃったり、クリーニング専門家を呼んで結局半袖短パンで帰ったり……そのうちの片割れがボスの妻と遊びに行ってまたひと悶着あり、それが片付いたと思ったらボクサーに殺されたりする。因果が巡っている。
 ついなにか忘れたとか、つい薬キメちゃったとか、つい殺っちゃったとか、偶然の出来事が積み重なって物語を動かしていくのがとても味があった。そんな中で偶然弾が外れたことを奇跡と信じ裏社会から足を払おうとして、それなのにすぐにレストラン強盗に出くわしたりして……色んなことがある。そういう映画だった。


【25】デューン 砂の惑星 PART2

 令和の星戦争その2。暗黒帝国から逃げ惑う主人公ポール。砂漠の民フレメンとユウジョウを築き受け入れられようとして、夢に見た美女チャカとも仲良くなっていくが、むしろフレメンたちには救世主リサーン・アル=ガイブとして認められていってしまう。母親はむしろ子ワームの血で覚醒しちゃい、どんどんカルト的な外堀を埋めて行ってしまう。そうしてポールはまんまと救世主になってしまうのだ。
 宿敵、ハルコルネン家も強い敵を用意してくる。不気味花火モノクロ帝国の闘技場で、自分の息子にあえて殺し合いをさせ、ハルコルネンの英雄にさせたのだ。登場人物たちが砂漠の星DUNEに集い、銀河皇帝にも起こしいただき……そして最後の戦いが始まる。
 IMAXで観たのは本当に正解だった。押し寄せてくるワームたち……シャイフルードの群れの迫力が凄まじい。そして最後に、第一作目同様に決闘で幕を閉じることになる。その辺りの再話性は意図的な物だったと思う。救世主になる事で自由に恋愛さえできなくなるのも、前作で父親から告げられた「統治者とは求められてなるものだ」というセリフが負の側面的に響いてくるのもとても良かった。原作曰くまだ続きがあるらしい? ので期待だ。



おわりに

 1年に25作!? すくなっ……と思ってしまったが、見返したりした分はカウントから外しているので、まあこれくらいに収まるか。映画館にも2月に1・2回は脚を運べているので、2024年度も色んな映画を摂取したいと思う。勿論配信もね。

 もし『こういう映画気に入るんじゃない?』とか、『コノ映画……観ロ……サモナクバ死ネ……』みたいなオススメ映画があれば、ぜひTwitterなどで教えていただけると幸いだ。今年度もよろしくお願いします。


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IS
スキル:浪費癖搭載につき、万年金欠です。 サポートいただいたお金は主に最低限度のタノシイ生活のために使います。

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