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完全在宅派遣社員の憂鬱

吾輩は完全在宅派遣社員である。名前は秋海まり子。

今の派遣先に入って半年ほどである。大して長くもないが、私よりあとに入った人が10人ほどいる。そのため、最近は専ら新人教育業務が増えている。恋人には「いつも中堅になるのが早いね」と言われた。ちなみに前の仕事は入社2ヶ月のときに上司が鬱で辞めた。

新人教育のさなか思うこと。新人さんは3歩進んで2歩下がる毎日だなあということ。その2歩分をカバーするのがこちらの仕事である。「私もこんな調子だったのか」。トイストーリー2でバズがNewバズに会ったときの気分になる。

もちろん、新しいことを覚えるのは大変だと思う。今の新人さんは、私が入社したときよりも速いスピードで業務を詰め込まれてる感じがする。見ててこっちがつらくなるときがある。

でもこちらもきついときはきつい。「人に教えるのってこんなに神経使うのね」と、退勤後はいつもぐったりしている。

新人教育の業務が増えたからといって、通常業務は一向に減らぬ。溜まる通常、終らぬ教育。

少しずつ遅れる業務を取り戻そうと地道に進めていると、突如として他部署からの催促が飛んでくる。心に余裕がないので「あぁん?」となる。在宅でよかった。

「あなたはこちらからの連絡(2週間前に送信済み)を一切返さないのに、こちらへは催促するフレンズなんだね!!激おこ」

心の中で悪態をつく。
6秒待って怒りを鎮め、「お手数おかけしております💦対応しますので少々お待ちください!」と返信。Slack上ではつとめて、「普通」であるかのように振る舞う。

最近私が思う、派遣社員のメリットはこうだ。

●メリット

・定時で上がれる(最近は残業がデフォだけど)

・正社員より比較的休みやすい(最近は業務が忙しくて出なきゃいけない日ばかりだけど)

・月によっては正社員よりお給料が高いこともある(時給制なので月によってムラがあるけど)

・完全在宅勤務ができる(今の会社は正社員は週3で出社である)


反対に、デメリットも感じる。

●デメリット

・やりとりをしている他部署の人が、どんな人なのかさっぱり分からない。 

...

上記のデメリットが、今の私を憂鬱にさせる要因である気がする。

私は基本的に、周りの人や環境に多大なる影響を受けるタイプだ。それが非常に疲れるので、前の会社を離れるとき「次働くなら絶対完全在宅勤務……!!」と決めていた。

働いている人と適度な距離感を保ちたくて選択した在宅勤務ではあるが、実現したらしたで「会社の人、人となりが分かりにくい……」と悩むことになるとは。人間とはわがままな生き物だ(主語デカ)。

……と言いつつ、周りからの影響で疲れやすい私は「完全在宅」の甘い蜜を捨てる気にもならない(基本的に今は、面倒な人間関係があるわけでもないし)。何より、私には在宅勤務が合っていると思う。

それでもたまに「いつか、画面の向こうの人に『役に立たない』と思われたら即クビを切られるんだろうな」と思いながら、PCを睨んでいることがある。

疲れているのかもしれない。遅れてきた五月病なのか気圧のせいか、とたんに虚無感に襲われる。

現在新人教育も任されてはいるが、どれだけ尽力したってしょせん私は派遣社員。ただの労働力。会社の売上が上がってもボーナスなどはない。昇給もたぶんしばらくない。派遣先から求められるレベルに達してないと思われたら、即切られる。ただの労働力。自分の時間を使ってお金をもらっている。ただの労働力。

会社の業務そのものに興味を持とうと、派遣である限り根幹の部分には携われない。そんな今の状態を気楽だと感じつつも、「自分が主体的になって関わりたいと思える仕事が、この世にあるのだろうか」と考える。どれだけ仕事をこなそうと、どれだけ物わかりの良いビジネスパーソンを演じようと、そんな気持ちがまとわりついて消えない。

日々の思うことを綴ります。エッセイ大好き&多めです!