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M-1グランプリで、「好き」があふれ出す

M-1グランプリ敗者復活戦をテレビで観て、恐れながら出場組すべてのネタに点数をつけさせていただいて、特に応援したい3組に投票させていただいた。

本当は全組面白かった、と大手を振って言いたいが、そこはやはり好みがあったり、「いい加減報われてほしい」とおせっかいな情があったり、笑いの数では判断できない「なんか気になる」漫才師がいたりして、自分の中の感情がかなりぐちゃぐちゃで高ぶっている。勢いのままnoteを書いている。

この中で、何組の芸人が「売れた」といわれる地点までいくのだろうか。5年後10年後、なんだったら3年後も解散せずに、お笑いを続けている組は何組だろうか。裏方に回るようになる人はいるのだろうか。いやそもそも、お笑いとは全く別の道を歩む人もいるのかもしれない。

何を背負って、相方とセンターマイクの前に立っている?
それを一人一人想像しただけで、もう順位なんかどうでもいいからみんな売れてくれ、最悪売れなくていいから幸せになってくれ、と本当におせっかいなことを思った。それくらい、お笑いはファンも熱くなれる。


***


M-1グランプリでいつも思い出すのは、ずっと応援している漫才師・磁石のことだ。
ラストイヤーで決勝に行けなかった2010年のあの日が、今私の中では懐かしい思い出として残っている。

10月に、磁石の単独ライブに行った感想noteを投稿した。
改めて今読み直しても、私の感想の大部分は変わらず「磁石をずっと好きでよかった」なのだった。


先日テレビ番組の『アメトーーク!』に磁石が出演し、ボケの方の永沢さんが「長年続けていて実績もあるのに、仕事が来ない。もうどうすりゃいいんだ!」と嘆いていた。

それに対してバナナマンの設楽さんが、「ネタは面白いし『こんだけすごいことやったんだ!』って実績もあるのに、好きな人たちが見えてこない」と評していた。

これはかなり傲慢だと思うのだが、『アメトーーク!』で設楽さんに「好きな人たちが見えてこない」と言われる磁石のふたりを観て、「もっと『磁石が好き』って言っていればよかったなあ……」と、ちょっとした申し訳なさを感じてしまった。
私一人が言いまわったところで何の足しにもならないとは思うが、この声が枯れるくらいに「磁石が好きです!!」と言えばよかった。そう思えて仕方なかった。

好きならば好きだと言おう!と、全盛期のAKB48から習ったではないか。

お笑い以外に好きなものがたくさんあるミーハーな私だが、どんなにたくさんのものや人にハマっていても、私の心の中にはいつもふたりの漫才師がいた。多くの魅力的なコンテンツに心を奪われても、磁石が私の脳内から消えることはなかった。絶対に私を笑わせてくれる磁石のことを、本当の意味で忘れたことはなかった。これだけは自信を持って言える。

10月に単独ライブを観て、「ずっと磁石が好きでよかった」と実感した。その気持ちをすべて、noteに書いた。
そしたらあのライブを観た、同じようなことを考えていた磁石ファンの人たちに届いた。嬉しかった。ご本人にも届いた。

ああやっと届いた、届けることができた。
まだまだこれからも「好き」を届けたいと思った。

***


ふと時計を見る。18時21分。
2022年のM-1グランプリ決勝戦まで、あと15分を切っている。

出場している芸人は全員、他にも幸せになれる道があっただろうに、お笑いで「人を笑わせる」ことを、少なくとも今は選んでいる人たちだ。
それだけでもう優勝じゃないか。その気持ちに順位なんてつけられなくないか?決めなくていいんじゃないか?「みんな面白い!終了!!」でじゅうぶんじゃないか?

……そういうわけにいかないのか。
それでも心の底から、「全員売れろ」と思ってしまうんだよなあ……。


せめて私たち観客も、悔いのないよう「好き」を伝え続けていきたいと思う。


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