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「推し」を超える、「ずっと好き」な存在。お笑い芸人・磁石の単独ライブを終えて

「推し」という概念が世に広まってからというもの、私はかなり軽率に「推し」を増やしてきたと思う。

もともとミーハーでいろんなものにハマりやすく、気になったらすぐにとことん調べ尽くす。さらには面食い。
「今の推しは?」と聞かれたらだいたい毎回別の人やコンテンツを答える、みたいな感じだ。

でも、この人たちは「推し」と形容しようとするとなんか私の中でムズムズする、似合わない気がする。と感じる人たちがいた。
その人たちが私にとって何なのか、ようやくはっきり言葉にすることができた。

「ずっと好き」

これだ。この表現がぴったりだ。

***

お笑い芸人・磁石 

10月1日土曜日、四谷区民ホールで行われたお笑い芸人・磁石の単独ライブに行ってきた。

本当は2年前、結成20周年の節目に行われるはずだった磁石単独ライブ20th anniversary『Congratulations』。

それが中止になり、もう次のライブはいつになるのか……と気に留めることすら忘れていたが、ようやく開催の運びとなったのだ。

こんなの、観に行かないわけがないじゃあないか。

磁石の単独ライブは、気づけばもう5回目くらい。ちょっと記憶が曖昧だが、ゲットしていたライブTシャツが5種類くらいなのでそれぐらいってことで。


過去のライブTシャツ。ほぼ持ってました。

磁石と同期芸人でいつも同列として認識されていたのがタイムマシーン3号、流れ星(現・流れ星☆)、ハマカーンなどなど。
※個人の見解です。

後から結成された後輩芸人が売れ、お笑いのタイトルを獲得した先輩芸人が辞め、同じ舞台でネタを披露していた同期が辞め。

ファン目線では、磁石のふたりはまさにそんな中で続けてきたなぁって感じ。
※個人の見解です!! 

磁石のネタは面白い。

その面白さは、もうすでに芸人仲間やお笑いファンの間では厳然たる事実だと思っている。

上であげた同期芸人たちが次々とテレビで売れていき、いつになったら磁石もテレビ出ずっぱりになる日が来るのか…と悶々としていたのも、もうかなり前のような気がする。

青と赤が特徴の、客入り照明。
ライブ来たなぁ〜っていつも思う。


さて今回単独ライブを観て残った感想といえば、「辛くても苦しくても、お笑いを辞めないでくれてありがとう」しかなかった。


磁石は面白い。
ただ、たまーに女性を敵に回すようなネタなんかを持ってくるから、たまーーーにテレビに出るときは個人的に「やばいこと言わないかなぁ……」などとヒヤヒヤしていた。

でもそんないちファンの心配なんて吹き飛ばすくらい、磁石のネタは面白い。
それを思い出せた単独ライブだった。

何度でも言う。
磁石は面白い。

***

もうボケの永沢さんには永遠に「女ってほんと○○だよ!」って毒づいててほしいし、ツッコミの佐々木さんはそれにクシャッとした笑顔でツッこみ続けてほしい。
そして佐々木さんの離婚ネタのとき永沢さんは意気揚々としててほしい。

今の時代こんなんテレビじゃやれないだろ!ってブラックジョークや自虐、不謹慎ネタのオンパレードで、やれ女がどうだ年寄りがどうだとか。

昨今の風潮的に、そんなのに私自身も敏感になっていた節があって。

でも磁石のお笑いは、なんでだろう、もうずっと追いかけているからか、どんなブラックも「ネタだ」ってすでに理解できているから、私も安心して笑ってしまう。

「プレミアム席の方々は特別ですからね!」と、我々ファンですらチケット代の差で差別するくだりも、もはや「らしい」なって感じで最高。(ネタです!!)

ブラックなネタを、ちゃんとネタとして受け取る準備がこちとら12年前から整ってるんだよ!って感じ。
私のお客さんとして「笑う」行為それ自体にも、私の中で長い歴史を築いてきたのだ。

たとえばちょっとテレビで観ただけの人に、「こんな不謹慎なネタやるな!」とか言われたくねぇ。
そんなふうに思った。

サンドウィッチマンからの花束、
いつもあるのが嬉しい。

ここまで書いて勘違いされそうなのだが、もちろん不謹慎なテレビでやれないネタばかりされてたわけじゃないです。笑
ただ私が「このネタもうテレビとかじゃ無理やろ笑」って感じる瞬間が多かったから書いてるだけ。

磁石の漫才は、マジで面白い。 
ネタの手数は多いし、演技が上手いからコントも上手い。

今回、公園で出会った2人の男性(磁石)が、学歴や職業その他もろもろでマウントを取り合う、「マウント」というコントがあった。
佐々木さんの演技の上手さは以前から磐石だが、今回は特に永沢さんの演技がすごく自然で。

アフタートークで、「あれ(マウントのコント)は素の永沢さんですからね?」と佐々木さんが言っていたので、「あ、それなら上手いはずだわ!演技じゃないんだもんね!」と納得してしまった。
こういうネタも、単独ライブだからガッツリ観られて嬉しかった。

以前と同じ切り口の漫才でも、前と違った笑いを提供してくれるからそこは強いな〜と思う。

そもそも私が磁石を好きになったのは、磁石のネタを初めて見たとき、全てのボケ・ツッコミが私のツボだったから。

この人たち私のツボ絶対外さないじゃん!やば!と小学生の私はお腹を痛くしながら笑いすぎた覚えがある。

私にとって磁石の笑いのツボは絶対。
特に漫才中、彼らが面白くない瞬間など一度もなかった。

これだから古参の面倒なファンはよぉ〜って思いましたか?大丈夫、私も思いました。
でも私も新規のファンに「これだから新参者はよぉ〜」なんて言わないからさ、ちょっとくらい許してちょうだいよ。

もう12年も好きなんだもの。気持ちや笑いに念の一つも入るわそりゃ。しょうがない、許せ。
どんなブラックも、どんな不謹慎も、どんな自虐も、たまには誰にも配慮せずゲヒャゲヒャ笑わせてほしいよ。

きっとこんなに笑ってしまうのも、私は彼らだけだと思うから。
それだけ「ずっと好き」ということなのだ。

私は彼らをずっと好きだった。
2人とも背が高くて、漫才してる姿がすらっとしててかっこいいから。初めてハマった芸人だから。M-1のラストイヤーで決勝に行けなくて、観てただけで悔しくて、何度も泣いた思い出があるから。

何より、磁石は面白いから。
いつだって私を絶対に笑わせてくれるから。
だから、ずっと好きだった。

そしてきっとこれからも。

結局アクスタ買ったわ。

客入れで流れてきたユーミンも、20周年(ほんとは22周年)の磁石の2人を祝している気がして、また勝手に泣きそうになった。

今はわかるの 苦い日々の意味も
ひたむきならばやさしいきのうになる

いつの日か かけがえのないあなたの
同じだけ かけがえのない私になるの

明日を信じてる あなたと歩いてる
ありふれた朝でも 私には記念日

青春を渡って あなたとここにいる
遠い列車に乗る 今日の日が記念日

松任谷由実
『ANNIVERSARY〜無限にCALLING YOU〜』

そうだね……2人で辛い日々を乗り越えてきてくれたから、G1グランプリも優勝したし、またこうやって単独ライブが出来たんだね……!!

そして私たちファンがまた、漫才をする2人の姿を見られたんだね……!!
ありがとうありがとう、ほんとうにありがとう……

と思うと普通に泣けてきた。
なんだこれエモだ。エモエモだ。
エンダアアアアアアアアアアアアアアアイヤァアアアアアアアアアアアアアアアアウィルオオオオオルウェイズラアアブユウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアア

展示コーナー。認定漫才師の証。


20周年(22周年)おめでとうございます。
これからもずっと、大好きです。


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