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ラジオを聴けばいつでも地元を近く感じる

朝、radikoで地元広島の番組を聴くようになってから1ヶ月が経つ。

最初は何となく、ラジオでも聴こうかなと、適当にやってる番組を調べただけだった。

そしたら聞き覚えのある番組名を見つけ、「あ、この番組まだやってるんだ。そういえば意識して聴いたことなかったな」と思い、流してみたのが1ヶ月前の朝8時。

『本名正憲のおはようラジオ』

中学・高校生の頃。
朝が弱くてたまに寝坊したせいで、母親に学校近くまで車で送ってもらうことが多々あった。(ありがとうお母さん)

わが家はたいてい車内でラジオをかけていたので、本名正憲アナウンサーの朝番組はそれなりに馴染みがあった。

だいたいは遅刻ギリギリの8時頃に流れていたので、
「『日本全国8時です。』この番組はキューピー、ほか各社の提供でお送りいたします」という、遠藤保子さんのナレーションが耳に残っている。

遠藤さん、今と昔でほぼ声のトーンが変わってないのでは!?
ぐらいの相変わらずっぷり。

朝番組だけでなく、たまにこちらの番組も視聴している。

『名曲天国!ミュージック・ア・ゴーゴー!』

これは私が地元にいた頃にはなかった番組。
以前、この番組のパーソナリティ・青山高治アナウンサーがずっとやっていた音楽番組が好きだった。

それがこちらの『秘密の音園』という番組(2012年3月終了)。

私の場合、音楽趣味の礎はこの番組で築かれたといっても過言ではなく、くるり、サカナクション、Base Ball Bearなど、私の青春の日々を象徴する音楽はこの番組きっかけで知った。

現在青山アナウンサーはRCCテレビ(中国放送・地元広島の放送局)の夕方情報番組を担当している。

なかなか姿を観ることも声を聴くこともなかったのだが、ふとこの番組を見つけたときは「青山さんまた音楽ラジオ番組やってるんだ。嬉しいなあ」と、遠くの東京で一人喜んだ。

今では平日、ほぼ毎朝ラジオを聴いている。
radikoプレミアムに入ってるので、時間をずらしてお昼すぎに仕事しながら聴くことも。
せっかくのサブスク、利用しないともったいないよね!
ってことで、7月に入ってからは特に時間など決めず、朝の番組を昼過ぎに聴いたり、週末夜の音楽番組を平日夕方に聴いたり。

とにかく自由に、聴きたいときに聴きたいものを聴くようにしている。

***

地元のラジオを聴いて変わったことは、
離れた場所にいても地元を前より近く感じられるようになったことだ。

この情勢になり気軽に帰省というわけにもいかず、もともと私はかける時間とかかる費用、それに対する地元での滞在時間との折り合いが付けづらい方(3日いれば「滞在期間長いね」認定される)だったので、さらに地元から心理的にも遠ざかった。

でも、行けないとなったらよけいに懐かしく思われるのが故郷というもの。
そんな私の懐古心を満たしてくれたのが、地元のラジオを聴くことだった。

馴染みのあるフレーズ、ジングル、声、コーナー、単語。
全然変わっていないようでもあり、ところどころ変化してるんだろうなと思う瞬間もあり。

私が特に好きなのが、交通情報。

懐かしい土地名出まくり。
雰囲気も、昔とほぼ変わらない落ち着きを持っている。

何より、10年ほど前から変わらない道路交通情報センターの担当の方。
さすがにこれには驚いた。
(こういうのってそうそう変わるものでもないのかしら?)

「時刻は午前7時48分を回りました。交通情報をお伝えします。日本道路交通情報センターの田下さんお願いします」
「はい。お伝えします。…」

バイパス名、インターチェンジ、ジャンクション、高速道路など、小さな頃から慣れ親しんだ土地や名称を音で聴けて、
ひとりで「懐かし~」ってなってる毎朝。
「今朝も西広島バイパス混んでんのかよ!」って言う。

***

私がラジオから感じるのは、ズバリ地元に住む人の暮らしだ。

私がいなくなった後も、地元で暮らす人はたくさんいて、その人たちも日々の営みを続けている。
私がいてもいなくても地元は晴れるし、ときには雨が降るし、カープは試合に勝ったり負けたりするし、朝のバイパスは混むし、地域のスーパーは特売をしている。

「ここからは気象情報です。今日は…雨がひどいですねぇ」
「そうですね、現在中国地方全般に雨雲がかかってまして、これが今夜まで残り続ける見込みなんです。…」

「昨日、カープ勝ちましたねぇ。喜びのメールたくさん届いています、こちらラジオネーム安芸のカープファン。『勝てた!素晴らしい!文句なしのサヨナラでした!』ほんまじゃね、昨日はもう文句ないでしょう」

「いや〜昨日はね〜…なんで勝てんのんよそこで…!ってね、思っちゃったよね、うーん(苦笑)」

「本日の特売はなんですかー?」
「はい。本日は生鮮食品がおすすめですね!」

そんな地元で起きているあたり前を想像し、地元の景色を思い出して過ごす。
そのたびに、自分には故郷があるんだなと実感する。

故郷があろうとなかろうと、人によってはどちらでもいいんだろう。
ただ私は、思い出すと目の奥が熱くなるような、目だけでなく、耳からも懐かしさを感じられるような、そんな場所があってよかったなあと思う。

***

人と雑談する機会が減り、その反動でラジオをよく聴くようになった。

声優さんのネットラジオも好きだし、キー局のラジオもたまに聴き「今度このお店行ってみよ」などの情報収集もする。
仕事の休憩中に、芸人さんの深夜ラジオを気ままに流しておくのも、いい気分転換だ。

それでもやっぱり、地元のラジオはほかの番組とは違う、特別な雰囲気を持っていると思う。
この感覚は、私が18年間広島で育ち、日々の暮らしを営んでいたことを証明している。
地元では私にしか分からない地元の時間が、たしかに流れていた。

そこにしがらみがないわけではない。

ただ、物理的に遠く離れた場所で地元のラジオを聴く。それが心地よい距離感で、地元と向き合える良い時間になっているのだろう。

明日の朝も、きっと私は広島のラジオを聴く。

西広島バイパスは、きっと明日の朝も渋滞している。

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