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ニューヨーク駐在記録「USオープンテニス」

突然、夫が「USオープンテニスの決勝戦を観に行こう」と言い出した。それも試合前日に。というのも、大坂なおみ選手が決勝に這い上がってきていたからだ。自分たちがアメリカにいる間に日本人が決勝に出ることなんて滅多にない。こんな直前にチケットなんて取れないだろうと思っていたが、調べてみると一番安い席が空いていた。しーんと静まり返ったテニスの試合会場で子供達が大人しくしていられるだろうか?と一瞬考えたけど、息子も娘も大人しい性格で、外出先で騒ぐようなことはしないタイプ。そんなわけで、チケットを購入し、地下鉄を乗り継いで、家族4人、会場に向かった。
女子決勝が行われるのは夕方だったけど、時間を勘違いして、かなり早めに到着した。
その日はあまり天候がよくなく、9月のわりには涼しくて、試合前はわずかながら小雨が降っていた。
我々は試合前の腹ごしらえをしようと、決勝会場のアーサー・アッシュ・スタジアムに入る前に、売店を覗いてみた。すると、どれも高い!!それに、ヤンキーススタジアムに比べて、Dean&Delucaやお酒の売店が多いなど、ファミリー向けというより大人向けなお店が多い気がした。さすが、テニスは紳士淑女のスポーツだわと思いながらも、売店の高さに若干ため息をつきながら、我々は軽食を取った。
その後、試合会場の中に入ると、思っていた以上に全然子供がいなかった。まぁチケットも高いし、子供でもじっと静かに座っていなければならないので、子連れのハードルは高いかもしれない。
席に着いて暫くすると、ついに決勝戦が始まった。テレビで見るのと同様に、当初は本当に静寂で、神聖な時間が流れているような気がした。が、しかし!ニュースでも伝えられている通り、中盤からブーイングの嵐。とにかくひどい。なんの試合を見に来たのか忘れそうなくらいだった。報道では、観客のブーイングは大坂なおみ選手に向けられたものではなく、相手のセレーナ選手に対してのものだとされているが、実際の会場ではそのようには思えなかった。自国の人気選手であるセレーナではなく、日本人である大坂なおみに向けられているように感じた。
大坂なおみ選手はアメリカ育ちで、第一言語も英語だが、国籍は日本。日本にいるとわからないが、アメリカでは、日本はマイノリティーな国だ。駐在とはいえ、アメリカに暮らす日本人として、同じ日本人の大坂なおみ選手がアメリカ国民からブーイングを受けている姿に、なんともやるせない気持ちだった。また、観客のマナーといい、審判に抗議したりラケットを投げつけたりするセレーナ選手を見て、「テニス=紳士淑女のスポーツ」という概念が見事にぶっとんでしまった。歴史的な勝利ではあったが、なんとも後味の悪い試合だった。

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