賛春

一雨毎の暖かさに 私の足がふと止まる
耳の中を掻き毟るような 私の好きな音

春浅き遠い霞を吸い込めば宵の薄紅鮮やかに

しとやかなりて肌闇の中 白冴えて浮き立つ心地
水鳥の羽ばたきのような 私の好きな音

菜を茹でた 仄く緑に染まる湯を 飲み干して今 我も春なり



薄桃山吹風来り

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