見出し画像

「遊びこむ」ことから見出すこと

こんにちは。サボりすぎて放置していましたが、久しぶりにnote開封しました。前回の「こども園での絵の具遊び」の記事から2年の時間が経ち、このとき一緒に遊んだ子どもたちはなんと5歳に!卒園が近くなって最後のアートワークの時間となりました。
どんな内容にするか先生と相談しながら考えるのですが、その際に大切にしていることが2つ。

●こどもたちに毎日の生活とアートがつながっていると感じてほしい
●これまでの経験を活かしながら、新しいことにチャレンジする楽しさを感じてほい。
表現することの楽しさ、新しいことに出会うワクワクは毎日の中にたくさんあることを子どもたちにも先生たちにも感じてほしい、そう思うようになりました。


「100の色の紙コップをつくろう・あそぼう」

これまで絵の具遊び、色を探す遊びなどを行なってきたこと、そして今年は2000個の紙コップで遊ぶ活動にハマってるという話を聞いて、それらを合わせて色とりどりの紙コップを自分タッチで作って遊ぶ、活動となりました。

活動がスタートする前に、こどもたちに3歳の時の絵の具遊びの写真や紙コップで初めて遊んだ時の写真を見てもらいました。

3歳のころ 初の絵の具遊び
2024年 5歳児になって2000個の紙コップで遊ぶ

これまでの子どもたちの遊びの中から考えたことでもありますが、ヒントにしていたのはこの2つ。
1つは、幼児教育に携わる人で知らない人はいないであろうイタリア、レッジョ・エミリア市の幼児教育。「こどもたちの100の言葉」というワタリウム美術館で開催されていた展覧会のタイトル。
子どもたち一人ひとりの感性から生まれる言葉を大切にし、保育士との対話の中で創造的なプログラムが生まれていくことが記されています。
 
また、世界的に活躍されている建築家のエマニュエル・ムホーさんの作品たち。「100 colors」シリーズのインスタレーションは、色の美しさで見る人を一瞬で虜にします。東北芸術工科大学のプロダクトデザイン学科でご指導なさっています。
エマニュエル・ムホー

早速午前中の時間が始まりました。
好きな色を選んで、紙コップに乗せていく子どもたち。はじめは立体に色を乗せることが少し大変そうでしたが、だんだん慣れてきた様子です。

色をのせた紙コップを新聞紙の上に乾かしていくのですが、絵の具の濃淡によっても絶妙に変化する色が増えて、重なっていくことで、どんどん面白くなってきたようです。
職人の顔つき

これまでの色遊び・紙コップ遊びの経験から、「たくさんあるとおもしろい!」と、先をイメージして集中力がどんどん上がっていきました。絵の具を撮りにいく時に「〜〜君のきれい!」と友達の色を見てまた刺激を受けている様子も。
最終的には2時間くらい黙々と色を作り出していました。

一人ひとりの色の選び方、のせ方、混ぜ方に「その人らしさ」が滲みでているのを感じます。


午後の時間は、自分でのせた色を紹介してもらってから、みんなの作った紙コップを合わせて並べてグラデーションを作ろうと思ったのですが
 
「え!一緒にしたくない!!」
との意見が・・・。なんと想定外!
 
みんな自分の色紙コップに愛着があって、他の友達と混ぜたくなかったようです。それだけ楽しんでくれたんだな、との気づきがありました。
「他のお友達と一緒になって遊んでもいいよ」という子どもたちが、色ごとに並べてみる遊びをはじめました。

微妙な色の変化を感じ取って並べる

最初は赤、オレンジ、ちょっと黄色、・・緑がとっても多いね。
広い遊戯室の中に色の変化ごとに紙コップが並んでいきます。見てるとだんだん楽しくなってきて、紙コップを合わせることを躊躇するお友達も「一緒にやる!」と紙コップを合わせていきました。

白い紙コップが入ると色がよりはっきり見えてきます

そのあとは!白い紙コップも使って、もう自由に遊びます!今回使った紙コップは3000くらいになるのかな?色がついたことで、「これは山だよ」とイメージを膨らませることにもつながりました。

窓辺で光が透けて見える様子や影を楽しむチーム
望遠鏡のように覗くのも楽しい
自分だけの場所

「遊びこむ」ことでの変化

今回のアートワーク通して担任の先生方が、「こどもたちのこれまでが詰まった1日になった」と話してくださいました。
このクラスは、「紙コップを遊び」が好きで普段から何度も遊んでいるそうです。
 
遊びはじめた最初の頃は、少人数のグループごとで遊んでいたけど、だんだん多くの友達と一緒に遊ぶことも増えたそうです。その際、普段はあまり遊ばない友達とも、紙コップを渡すことで普段はあまり遊ばない友達との関係性を生み出したり、コミュニケーションが育まれていたそうです。
 
また、紙コップのタワーはちょっとした風で倒れたり、壊れてしまうもの。そうした事態になったとき、最初はと相手を怒ったり、責めたりしたこともあったそうですが、先生曰く「みんながそのことをのりこえた」、つまり『倒れてしまっても仕方ない、また作ろう』に徐々に変わっていったとのこと。同じ出来事でも、諦めずに粘り強く向き合い、「次があるよね」と前向きに捉えて向き合うことで、次のアクションが変わってきます。
 
どんなシンプルな遊びだったとしても「遊びこむ」ことで、遊び方が変化し、子どもたちがたくさんの気づきを得ていることを先生の話から考える機会になりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?