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ビッグモーターの不正事件|調査報告書を読んで学んだこと|他人事ではないかも、割と簡単に起き得る

ビックモーターが起こした不祥事が世をにぎわしています。
保険金の水増し請求から端を発している今回の騒ぎ。

ただ少し違和感を覚える。ビックモーターの味方をするわけではないのだけれど、報道が出している断片情報で偏った見方が広がっているような気がしてならない。

6000名の社員数を誇るビッグモーターという大企業。
不正を行った社員もいるけど、企業風土が経営陣への妄信&忖度があるようだけど、全員がそういうわけでもないはず。
むしろ家族のため、お客様のために一生懸命に働いている社員さんも多いのだと思う。

自分も勤務していた会社が評判になったことがある。(どちらといえば負の方)中にいる側からすると、なんでこんなに騒ぐの?と思ったこともあった。中と外では捉え方が全く異なるのである。

特に第三者にとっては、報道やSNSが情報元となるので、どうしても一方向に誘導されやすいと感じる。

そこでビッグモーターの調査報告書と、記者会見(フル)だけ見て、事態の感想を述べたい。これは、7月25日時点の情報で、以下2つ以外の情報は見てないのでトンチンカンなことを言っていたらすいません。

まず、ビックモーターには、今般の不祥事をうけ第三者の調査機関が入って調査をしています。その調査報告書が文書で発表されている。(←こちらが文書)

ビッグモーターサイトに掲載されているので、検閲を受けている可能性はあるものの、ここは信じたいと思う。そう思う理由は、後半部分は、経営陣にとって、かなり耳の痛い情報も書かれているからだ。

そしてこちらが会見の様子ノーカット版。ニュースや編集されたものの方が分かりやすのだけど、提供者の意思が入っているので誘導されてしまう。冷静に見るには何も解説が無い方が良いからこちらにしました。


【とりあえず次のことは横に置いておく】経営陣が悪い、責任は下に押し付けている、辞任しても影響力はあるから意味ない・・・は。

ビッグモーターのイメージはとても悪くなっているようだ。開店していてもお客はきてないということをTwitterで見た。これだけ騒ぎになっているのだからお客が来なくてもおかしくない。

ただ、先にも述べた通り、ちょっと加熱しすぎているような気もしている。確かに経営陣に非があり、会見の経営陣の知らないところで起きている言い方は他人感ありすぎ。だけど、調査報告書が真実とするならば、経営陣の反応はそんなに変ではないと思われた。

調査報告書によると、経営が掲げている行き過ぎた目標を現場の長となる工場長や事業部長が受け止めて、なんとかしようとしていた。悪い方向にいったのは昇格・降格乱発の人事。うまくいかないようなら自分が降格とかなるので必死であった。だから不正に手に染めたという書かれ方がされていた。

現場を見ない役員は、実際はよくいる。上ばかりみて下を見ない役員は実際にいるのである。上には自分をよく見せようとし、そのために不要な事業や施策を現場を使ってやらせるのは、あるあるだと思う。

創業の当時も不正だらけだったのだろうか。いやそうは思わない。何もないところから、会社を創業してここまで大きくしてきたことは、社長や社員をはじめ、やり方は万人受けではないけれど、そのやり方が時代とあって事業拡大をしてきたのだと思う。

拡大時期は、売上史上主義は大事なのかもしれないが、6000名の会社ともなると大企業なのだから、売上以外の目標を掲げることをしてもよかったのかもしれないと感じている。

「不合理な目標設定」が招く不正|売り上げ至上主義は車修理部門には確かに不合理といえる

ビッグモーターの保険の水増し請求は、不合理な目標設定にあるとされた。その不合理とは売り上げ至上主義にある。考えてみると確かに不合理だと思えた。

売上〇〇円必達!
売上目標前年比△△アップ!

などはよく聞く目標である。

ただ、不正が起きたいのは車の修理業である。
車は壊れないほどよく、故障しないように改善が重ねられてきたのではなかったか。お客様が喜ぶ修理は、早く・安く・確実にである。

お客様が喜ぶ修理案件をたくさん引き受けることも目標にすれば売上げを目標にすることはギリ通りそうだが、パイが限られているので厳しい戦いになる。

本来であれば、次のような目標がふさわしいのだろう。

再修理の発生〇〇%必達
修理不具合発生件数〇〇件以下

実際、品質管理の部門などは、このような不具合が起こらない方向の目標をかかげることが多い。

こんな中で売り上げを上げようとするなら、修理をたくさんこなさなければならないのであろう。修理する案件も少ないから不正にも手を出してしまう。

IT化が不正を冗長させたかもしれない

もともとは、修理工場では、見積もりと修理を各工場で行っていた。しかし、取引量が増えるが人が追いついておらず、業務過多となっていった。
人はある程度入っていたのだが、熟練した技能者を育てるには時間がかかるため、詳しくない人がどんどん増えていく状況だった。

そこで見積もり専門の部門をつくり、各工場からは修理状況の写真をiPod touchで撮影すると、見積もり専門部門が閲覧できそれで見積もりするようになった。

ITで効率よく情報が伝わるようになった代償|伝えるべき情報が伝わらなくなった

ITシステムの導入で見積もり担当は、現場の車を見るのではなく、送られてくる見積写真を見て行うように変わった。一見効率の良い方法と思わるが、画像だけで見積もりを取るのは情報が限られる中で見積もりをするので新たな支障が発生する。

写真だと情報が限られるから、よりリスクを見て高めの見積もりになる

見積もりをして保険会社からお金をもらいそれで修理をする。もし、項目が抜けてたりすると再見積もりでお金をさらにもらうというのは難しい。
普通に一般消費材でも仕事でも、追加見積は依頼する方も受ける方もイヤで面倒なものなのである。

だから、少し高めの見積もりにする(リスクを考慮に入れるのだ)
現場を見ればわかることも、写真だけではわからないのだ。

さらに、現場の誰が修理にあたれるかも現場の様子を知ることができないからわからない。ベテラン技術員ならその人の技術力でスムーズにできる仕事が、まだ慣れてない技術員だと、多くの工程や機械を使ってする作業に代わる作業にもなる。(高い見積もり)。

しかし現場作業はベテラン技術員が対応できたので、コストのかからない方法で実施。つまり、結果として水増し請求。こんな事案もあったようだ。

写真で見積もるなら、ひどく見せれば見積もり額は上がる

先ほどは、システム化による弊害による水増し請求の例だったが、それを逆手に利益を上乗せする事案も少なからずあったようだ。

さきも述べた通り、ビッグモーターの修理業務の目標は、売上額の必達が水増しを増長させたのは想像にかたくない。

工場側の売り上げも高くしたいので、写真の撮り方を工夫することで、少しのキズも大きなキズに見せることができる。こうすることで売り上げ貢献にも役立つし、ある意味堂々と(修理工場側サイドだけであるが)に見積もり額があげられる

見積もり専門部署も高負荷労働&業務に詳しくない人が実施

見積もる側も写真で見積もるとは言え、プロ中のプロもいる。そんな人にはキズをひどく見せた写真はなんとなく「怪しい」と思うものである。プロ意識を持つものなら、その写真の撮り直しを要求するだろう。

しかし、見積もり業務をする部署も慢性的な人不足だったようだ。限られた時間で見積もりをこなさないといけないので、明らかに怪しい写真もそれで割り切って見積もりをしていたようだ。

上層部の一声で人事の昇進・降格が月次で起こる

実力あるものが昇進し、伴わなければ別の方にやってもらう。一般企業ではよくあることだ。ただこれは仕事のモチベーションに深くかかわるので無暗にやるものではない。

昇進って人生で意外とビックなイベントなので、その後を考えた昇進をその後を考えてすべきであり、降格するのもその後を考えるべきなのである。実際は昇進をしたらしばらくは様子をみるものなのだ。

ビッグモーターでは、昇進・降格を経営陣のさじ加減でかなりフレキシブルに行っていた。ビッグモーターの就業規則では、降格は3番目にあたる懲戒になるようだ。それゆえ、降格対象者には弁明の機会が与えられるされていたが経営陣は無視していた。(規則をないものとしていたぐらいに)

この降格は、基本給が下がるだけなく、転勤となり引っ越しが発生したりするから社員さんへのインパクトはたまったものではない。

こうなると、工場長は事業部長は経営層ばかり目がいくようになり、そこによく映ろうとする。一般社員から経営陣へ直訴など、何度も降格されて地の底についてしまうくらいのインパクトだ。

だから、下にはそうさせないし、上とのコミュニケーションがあるとまずいのだ。

このような組織では現場で発生した悪い情報が経営層まで伝わるような風通しが良い組織になるわけがない。

まとめ:ビッグモーターから僕らは学ぶことができる|対岸の火事ではない

ビッグモーターの不祥事から、ぼくらも多くのことを学ぶことができる。
ここで学んだことは、

目標設定は、業務に合わせて適切に組まないといけないこと。
そうしないと、意欲も削がれ、やる気がなくなる。やる気がなくなるだけなら業績減衰になるだけだが、現場が恐慌政治のようになっていると不正をしてでも達成する風土となり、犯罪のようになっていくことを学んだ。

最近は、IT化・DX化は超最近のトレンドワードであり、DXこそ至上!これからの経営はデータドリブンなどと声高に言われている。
それは、スピード感を持つことは競争に勝つには大事なのだけど、便利になったことによる副作用も必ず見るべきだと学んだ。

WIN-WIN
三方ヨシ

が良いとされているが、大きな改善の裏にはどこかに副作用となる引き換えたものがあるはず。それが何か見ておく必要がある。

一度、世間からバッシングを受けて立ち直る企業もある。6000人の従業員が幸せになり、お客様も幸せにできるのなら、ビッグモーターの復活もあっていいと思うし、そうなってもほしい。

そして、自分の業務も、何かなーなーにしているところはないか振り返ることをしようと思う。


#3行日記  : 健診もう行きたく無いなぁ

昨日は検診でした。年々先生が若くなっていく。つまりは、自分が年を取っていっているのだ。すると、はぁ~と何とも言えないため息がでた。

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