レイノー現象の7〜8割に基礎疾患はない?リウマチ専門医が解説

レイノー現象は、寒冷刺激などにより、手足の指の血管が攣縮して皮膚の色が蒼白になる現象です。手足の指の皮膚の色が、くっきりと境目のある蒼白になるのが特徴です[1-3]。レイノー現象と聞いて、全身性エリテマトーデス(SLE)や全身性強皮症(SSc)といった膠原病をイメージしませんか?実のところ、膠原病を基礎疾患にもつレイノー現象は全体の2〜3割で、7〜8割のレイノー現象には基礎疾患はありません。

今回は、レイノー現象についてリウマチ専門医が解説します。

レイノー現象とは

レイノー現象には、厳密な診断基準はありません。診断は基本的に臨床診断で、寒冷曝露によって四肢末端が白や紫、赤色などに色調変化がある場合に診断されます。ただ冷えて皮膚の色が白いのはレイノー現象とはいいません。

レイノー現象は、SLEやSScなどの膠原病で認められる症状のひとつです。しかしながら、レイノー症状があるからといって、全員が膠原病疾患をもっているわけではありません。

レイノー現象の約7〜8割は基礎疾患がない原発性

レイノー現象は、基礎疾患がない原発性と基礎疾患のある続発性にわかれます。内訳は約7〜8割が原発性で、残りの2〜3割が続発性となっています[1]。原発性から続発性に移行する症例は、年間1%程度です[3]。

レイノー現象がある場合、膠原病など続発性の背景の検索は必要

レイノー現象の多数は原発性ですが、続発性の初期症状の可能性があるため、基礎疾患の検索は必要です。膠原病的な背景としては以下の疾患が対象となり、それぞれに対応した検査をおこないます[3]。

  • 血管炎:MPO-ANCA、PR3-ANCAなど

  • SLE:抗核抗体(ANA)、抗DNA抗体、抗Sm抗体、補体

  • SSc:ANA、抗Scl-70抗体、抗セントロメア抗体などSSc関連抗体

  • MCTD:ANA、抗RNP抗体

  • 炎症性筋炎:ANA、抗ARS抗体など筋炎関連抗体

  • クリオグロブリン血症:クリオグロブリン

持続的な虚血症状、皮膚潰瘍の既往がなければ、軽症例はまず非薬物療法

持続的な手指の血流低下がなく、皮膚潰瘍の既往もない場合は、以下の非薬物療法をまずおこなうことが強く推奨されています[2]。

  • ①寒冷曝露忌避

  • ②精神的ストレスを避ける

  • ③血管収縮作用のある薬剤を中止

  • ④禁煙

非薬物療法でも症状がよくならないなら薬物療法へ

レイノー現象の治療の目標は、レイノー現象の頻度を減らす、もしくは発作時の症状の緩和です。完全に発作を無くすことは基本的に困難とされています。レイノー現象の薬物療法は、以下の通りです[2,4]。

①カルシウム拮抗薬:アムロジピン(一般名:アムロジン®️)、ニフェジピン徐放剤(一般名:アダラートL®️)など
アムロジピン:5mg/日で開始。7〜14日間使用しても症状改善が乏しい場合は、10mg/日に増量。6〜8週間の治療でも満足な改善がなければ、②の治療へ。
ニフェジピン:20mg分2/日で開始。効果に応じて80mg分2/日まで増量。

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