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『#作家は経験したことしか書けない』というタグから思い出したこと
『#作家は経験したことしか書けない』というのは、Twitterで広まっているというタグです。
作家さんの反応がこちら。
#作家は経験したことしか書けない
— 綾辻行人 (@ayatsujiyukito) March 5, 2023
うんうん。なので僕なんかはデビュー以来、なかなか大変だったのです。殺人とか殺人と殺人とか殺人鬼とかAnotherなら死んでたとか。いやほんとにね、何事も実際に経験してみないことには!
――んなわけ、あるはずなかろ。
「経験したことしか書けない作家」はいないだろうし、「作家は経験したいことを書くのだ」というのもピンとこなくて、私が思うに――。
— 有栖川有栖 創作塾 (@sousakunet) March 5, 2023
小説の主成分は「作家が経験したこと」「経験したいこと」「経験したくないこと」の3つでは。
(有栖川)#作家は経験したことしか書けない
さらにアニメ界の大御所も。
#作家は経験したことしか書けない
— 大張正己 /Masami Obari最新画集発売中 (@G1_BARI) March 5, 2023
月面対決は日常茶飯事です pic.twitter.com/pihMdlonEL
あくまで大喜利の一環だと思いますが、世の中には本気でそう考えている人もいそうで興味深いタグです。
で、このニュースを見て思い出したことがあります。
それは「女遊びは芸の肥やし」という言葉です。
元々は、
江戸時代に歌舞伎の女役を演じた役者がいかに女性に似た仕草をすることを追求するかというのが「女遊びは芸の肥やし」であると言われています。
女遊びとは、いわばごっこ遊びであり、役として演じるには女性になりきることが重要であると昔の役者の方は考えていたのです。
という意味だったのに、いつの頃からか芸能人の浮気や不倫を正当化する胸糞悪い言葉になってしまいました。
”一流の役者は数多くの恋愛をこなしてなんぼ。そうでなければ説得力のある演技などできぬ。”
とでも言いたいのでしょう。
いやいや、体験しないと演じられないなら、それは二流以下でしょ。
自分の想像力のなさと節操のなさを棚に上げて、昔の言葉を都合のいいように使うなよ大根役者!
……なんてトゲのある言い方になってしまうぐらい嫌いな言葉です。
最近ではさすがに耳にしませんが、昭和な感覚を捨てきれないオールドタイプな人間はどこかで口にしているのかもしれません。
表現者は想像力勝負。
体験しないと表現できないのであればお話にならない。
経験を積むことを完全否定する気はありませんが、あくまで経験は補助的なものだと思います。
一流の作家であれば、人を殺めたことがなくても素晴らしいミステリー小説が書けるでしょう。
一流の俳優であれば、不倫をしたことがなくても鬼気迫る修羅場を演じることができるでしょう。
一流のアニメ監督ならば、行ったことのないファンタジー世界の冒険を描くことができるでしょう。
「作家は経験したことしか書けない」だったり「女遊びは芸の肥やし」なんて言葉を本気で言っちゃってる人がいたら、距離を置くことを推奨します。
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