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SUMMER

東北に夏がやってきた。


小さな新聞社はこの時期、少しだけ敏感になる。

石巻日日新聞は夕刊紙のため、午前中の出来事は当日配られる紙面に入る。

当然、梅雨明けは夏を知らせる大事なニュースだ。

きょうは怪しいぞ、と記者が気象庁のホームページをチェック。「梅雨明けました!」で記事スペースの確保、写真を付けるかどうか、行数などが次々に決まっていく。くさらない取材ネタがあらかじめ準備出来ていることは珍しく、担当記者は大慌てで、夏っぽい話題を探し出す。


ちなみに今年は7月16日だった。

新聞風に書けば、気象庁は16日、東北南部が梅雨明けしたとみられる、と発表した。平年(7月24日ごろ)より8日早く、昨年(8月2日ごろ)より17日早い。16日の石巻地方は最高気温26.8度を観測し、爽やかな夏日となった。●●小学校では、プールから子どもたちの歓声が…。

などと、水しぶきと満面の笑みの子どもの写真を掲載できればニュースは完成だ。石巻日日新聞紙面もプールのネタを使っていた。


梅雨入り、梅雨明けなどの気象ネタ、立夏、夏至などの二十四節気
毎年、同じような内容が入るのだが、自分はこれらの取材が好きだった。


今は、夏は涼しく、冬は暖かくいられる。食べ物だって、お金さえあれば、スーパーにはいつもふんだんな食材がある。


そんな便利な世の中で、地域から季節を見つけ出すことが楽しい。


春。ワカメ刈り、ふのり摘み、シャコ、小女子(コウナゴ)漁。

初夏になれば、カツオの水揚げ、

夏はウニ漁、ホヤも始まる。

秋は女川港でサンマの水揚げ、最近は石巻のサバも人気だ。スルメイカや穴子もかくれた名産。カキむきも始まる。

冬はタラ、キチジ。



水産が専門だったので、思い切り偏ってしまうが、このほかにも、豊作豊漁に感謝する秋祭りのお神輿、冬の日差しに干し柿を吊るすおばあちゃん。

一枚の写真で、風のぬるさ、空気や水の冷たさ、香りを感じてもらえるように頑張る。ローカル記者の醍醐味だろう。


その中で、夏は、「梅雨明け」という明確な始まりがあるのが面白い。


空、雲、山、海、川、それぞれが持てる色で一斉に主張を始める。

自分の影すらも濃くなるように感じてしまう。


自分が暮らす石巻では、お盆が過ぎると夏の終わり。9月の彼岸が過ぎればすっかり秋の気配だ。海風が冷たくなると、少し寂しくなる。


梅雨明けの昨日もそう。浜で感じる夏の終わりもそう。

季節を感じ、深呼吸をしたくなるようなこんな日、あんな時。


良い気分になるのもいいもんだと、たまに思っている。



ちなみにこれは、先日、近所で売っていたカツオ。半身で新鮮で安かった。

船乗りの親父のところに持っていくと、料理になって返ってくる石巻の夏。

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以下、お知らせです。

あーそうそう。石巻日日新聞では、皆さまの夏の思い出を募集しています。

夏祭りとか、さまざまなイベントが中止となる中で、みんなで夏の思い出を語り合えればいいなと企画しました。

石巻日日新聞、情報誌んだっちゃ、新聞社のSNSとか、いろいろ展開しています。気軽にコメントしてください。ヤバい思い出は、メール送ってきてもいいですよ。匿名での発表になるので、安心してください。ペンネーム的なものでもOKです。

ちなみにプレゼント(抽選)は、豪華!映画券です。よろしくおねがいいたします。









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