石森裕人@独立・新規事業支援

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建設業における発注者のコンプライアンス 契約金額編

1.不当に低い請負代金の規制建設業法第19条の3は、請負代金が不当に低い場合に対する規制を設けています。この規制の目的は、下請負人が適正な報酬を受け取ることを確保し、建設業界における公正な取引を維持することにあります。具体的には、元請負人が予算のみを基準にして下請負人との協議なしに契約を締結することが問題とされています。これには、契約の際に下請負人と十分な協議を行わず、単に予算の範囲内で契約を進める場合が含まれます。また、契約が未締結の段階で取引不利を示唆するような行為も該

    • 建設業における発注者のコンプライアンス 工期編

      前回に引き続き、建設業のコンプライアンスについての内容です。 今回は契約における工期についての留意点を解説します。 1.工期の設定と短期間にするリスク工期の設定は、建設工事において重要な要素のひとつであり、適切な工期を確保しないことは、労働者の長時間労働を引き起こす恐れがあります。それにより、事故や手抜き工事のリスクを高める要因にもなり、信用問題や余分なコストを発生させる事に繋がります。発注者が請負人に対して著しく短い工期で請負契約を締結することは、建設業法第19条の5に違

      • 建設業における発注者のコンプライアンス 見積〜契約編

        社会的意識の高まりによる法令遵守の要請は建築業界においては特に厳しく求められます。 元請け、あるいは一次請けなどの立場として請け負った工事を外部へ発注するにあたっては留意すべき点があります。 今回は見積段階から契約までの部分における留意点を解説します。 1.見積条件の提示について(建設業法第20条第4項、第20条の2)建設業法に基づき、元請負人は下請負人に対して、工事内容や見積条件を適切に提示する義務があります。しかし、以下のような行為は違法とされる可能性があります。不明確

        • 建設業許可における専任技術者要件について解説

          1: 専任技術者の役割と必要性建設業許可を取得するためには、各営業所に「専任技術者」を配置することが必須です。専任技術者は、工事の品質と安全を確保し、法令遵守を徹底するために重要な役割を果たします。その営業所に常駐し、技術面を総合的に指導・監督できる者が専任技術者と認められます。  2: 一般建設業許可における専任技術者の要件一般建設業許可の専任技術者は、学歴や資格に応じた実務経験が求められます。指定の学歴を持つ者は3~5年、学歴や資格がない場合は10年以上の実務経験が

        建設業における発注者のコンプライアンス 契約金額編

          電気工事業に必要な届出

          1: 電気工事業者に求められる届出の重要性電気工事業を営む事業者にとって、建設業許可とは別に「電気工事業法」に基づく登録や届出が必要です。この手続きは経済産業大臣または都道府県知事に対して行うもので、怠ると罰則が科される可能性があるため、非常に重要です。多くの電気工事業者がこの届出を見落としているのが現状ですが、登録が済んでいない場合は早急に手続きを行うべきです。 2: 建設業許可の有無による手続の違い電気工事業者が行うべき手続は、建設業許可の有無によって異なります。建

          解体工事業登録と建築業許可としての解体工事業

           1: 解体工事業の概要解体工事業とは、建築物や構造物を取り壊すための解体工事を請け負う事業を指します。この業種には、元請としての工事だけでなく、下請けとして他の業者に工事を任せるケースも含まれます。解体工事を行う事業者は、事前に都道府県知事の登録を受けなくてはなりません。  2: 登録が必要な事業者解体工事を営もうとする事業者は、元請・下請に関わらず、解体工事を行う予定の区域を管轄する都道府県知事に登録申請を行う必要があります。たとえ営業所を設置していない都道府県でも、

          解体工事業登録と建築業許可としての解体工事業

          世界で求められる日本の建築技術

          1.日本の建築技術の強みと災害対策日本は、地震や台風などの自然災害が多発する国として、長年にわたり災害に強い建築技術を発展させてきました。その背景には、歴史的な地震災害からの学びがあり、これに基づいて建築基準法が制定され、特に耐震、免震、制震技術が高度に進化してきました。 これらの技術が組み合わさることで、日本の建物は非常に高い耐震性能を持ち、災害時においても安全性が確保されています。これらを含む日本の建築技術は、国際的にも高い評価を受けています。 2.日本の災害対策建築

          世界で求められる日本の建築技術

          建設業許可のために知っておくべき事業目的の重要性

          1.建設業における法人の事業目的建設業を営む会社を設立する際、特に重要なのが「事業目的」です。事業目的とは、会社が行う具体的な建設業務を示すもので、商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や定款に記載されます。建設業許可を取得するためには、事業目的に許可を受けたい業種に対応する工事内容が具体的に記載されていることが求められます。この記載が不十分であると、許可を取得するために定款の変更や変更登記が必要になる場合もあります。 2.建設業許可取得と事業目的の関連性建設業許可を取得す

          建設業許可のために知っておくべき事業目的の重要性

          建築業界の現状分析と今後の展望

          1. 建設業界の現状:需要と課題 現在の建設業界は、業界規模としては持続的な成長を見せる一方で、労働力不足などいくつかの課題に直面しています。 人口減少や環境問題への意識の高まりなどにより業界全体で様々な変革を求められています。特に、日本国内における人口減少は、労働者の不足のみならず、将来的に全国的な住宅需要の減少などをもたらすと予想されます。 都市部での老朽化した街の再開発プロジェクトが増加していることで業界全体では拡大傾向ですが、地方の建設需要は停滞気味です。 さら

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          建設業許可の29業種の一覧

          1.建設業許可とは?建設業許可とは、建設業を営むために必要な許可で、国土交通省や都道府県知事へ申請します。この許可を取得することで、一定の条件を満たしている事業者として認められ、一定額以上の大規模な建設工事も受注できるようになります。また、小規模な工事のみ請け負う場合でも建設業許可を取得することで、取引先や顧客からの信用度が高まります。 2.建設業許可の29業種一覧建設業許可には、以下の29業種があります。 (1)土木工事業 (2)建築工事業 (3)大工工事業 (4)左

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          建設業許可の申請と要件

          1. 建設業の許可とは我が国において、一定規模以上の建設工事のを請負う為には建設業法に基づいて許可が必要と定められています。無許可で一定規模以上の建設工事を請負う行為は法律で禁止されており、違反すると罰則が科されることがあります。 2. 許可が不要な工事の範囲原則として工事を請負うには建築業の許可が必要ですが、以下のいずれかに該当する場合は軽微な工事として、許可なく行う事が出来ます。 建築一式工事において、延べ床面積が150㎡未満の木造住宅工事あるいは、一件の請負金額が