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はてしない石の物語#16~ボスの指令、そして「石徳五訓」~

ある日の「石の勉強会」が終わった時、K先生が「石の会議が開かれている」とおっしゃいました。「あなたにどんな恩返しができるかということが話し合われている」とのこと。そんな会議が開かれているということに驚いてしまいました。

とっさに「私はそれぞれの石が必要とされている人のところに行って、その人が石と一緒に幸せになったらそれが何より嬉しい」と答えたら、K先生が笑いながら「会議にはボスがいてね、そのボスが今指令を出したよ」「役に立ちたいと思っているのにどうしていいかわからない石たちを集めてこい!という指令だよ」とおっしゃるではありませんか!不思議なことにはだいぶ慣れてきた私もさすがに戸惑いました。先生は「どんどんいろんな石が集まってくるよ。面白くなるねえ。個性豊かな石のメッセージを伝えられるように語彙を磨いておかなくちゃ」と、とっても嬉しそう。私はわくわく半分、戸惑い半分、という気持ちでした。「いったい、どうなっていくのだろう・・・」と。
 
ボスの指令が出されたのは2023年9月25日。その3日後の9月28日に、ボスの指令は本当だったことを知ることになります。
 
まず、事の起こりはボスの指令から2日後の9月27日、高校時代の友人ケイさんからメールが届いたこと。9月21日にお母さんが亡くなり葬儀も済ませ明日は家に帰るけれど、その前に会えないだろうか?という内容でした。ほとんど年賀状のやり取りだけのお付き合いになっていたケイさんからの突然のメールに正直「なんだろう・・・?」と戸惑う気持ちもありました。
 
その後のやりとりで、実家はいまや誰も住んでいないけれど、両親が大事に住んでいた家で、お母さんもこの家が好きだったので、何かに利用してもらえる方法はないか相談したいらしい、ということがわかりました。そこで翌日の9月28日、ケイさんの実家を訪ねました。
 
久しぶりに会うケイさんといろいろ話して、家のことについては役に立てそうにないことを告げ、そろそろ帰る時間、となった時、「葬儀屋さんがちょっと不思議な人だった」という話をしてくれました。その方は葬儀の仕事が入る時、なんとなくわかるのだそうです。亡くなった人が訪ねてきたりすることがあるらしい。ケイさんの家でも、葬儀の時に必要なものを届けてくれた時に、亡くなったお母さんの姿が見えたらしいと。私は石の勉強で不思議なことを体験していたのであまり驚きませんでした。そういうこともあるだろうなあ、と思って、ふと石の勉強をしている話をしました。そしたらケイさんの顔がパッと変わって、「石?ちょっと2階に来てもらってもいい?」と言われました。「この展開はなんだろう?」とドキドキしながら2階についていきました。
 
案内された部屋にあったのが「石徳五訓」という額でした。永平寺の当時94歳の熊沢泰禅禅師が書かれたものだとのこと。「石徳五訓」は次のようなものです。
 
一、      奇形怪状無言にして能く言うものは石なり。
二、      沈着にして気精永く土中に埋もれて大地の骨と成るものは石なり。
三、      雨に打たれ風にさらされ感熱にたえて悠然動ぜざるは石なり。
四、      堅質にて大層高楼の基礎たるの任務を果たすものは石なり。
五、      黙々として山岳庭園などに趣を添え人心を和らぐるは石なり。
 
事の成り行きに心が追い付かないままその額を眺めていました。それでも「石のことをよく言い表しているなあ」と思いました。
 
その後、「母が残したアクセサリーがたくさんあって、でも私は興味がないのでどうしようかと思っていたの。見てもらってもいい?」とさらに話が展開していきました。
 
ケイさんはタンスの引き出し2段ほど抱えてきて、中身を見せてくれました。アクセサリーが好きだったとわかる素敵なものがたくさんありました。「この中の一部だけでもK先生に見てもらっていい?」と言われて、この想像もしていなかった展開にボーっとなりながら受け取り、家に戻ってきました。そして「ああ、これがボスの指令なのか・・・」と思ってさらに呆然となりました。
 
家に帰ってきてアクセサリーをテーブルの上に並べたら、娘がびっくりして「それ、どうしたの?」と。なぜアクセサリーを持ち帰ることになったのかを伝えたら「信じられない!本当に石が集まってくるなんて!」と心底驚いていました。そして互いに「ボス、すごすぎ・・・」と声を合わせてしまいました。
 
驚きはこれだけでは終わりませんでした。持ち帰ったアクセサリーはほとんどがペンダントだったのですが、指輪も混じっていました。その指輪こそ、伝えたいメッセージを宿していたとても意味のあるものだったのです。その感動のお話は次回お伝えいたします。

その後もボスの指令は発揮されていきます。その中からお伝えできるものは物語として綴っていきたいと思っています。

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