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情報社会を生き抜くための本56「オードリー・タン」その1 序章(オードリー・タン)

オードリー・タンの本が出版された。初めての著作だ。ネットを使ってやりとりしながら日本から出版したという。かねてから関心をもっていたので読んでみたが、読み止めて付箋を貼っていたらたいへんなことになってしまった。

オードリー・タンは台湾政府のデジタル担当相で現在39歳。12歳でPerl(プログラミング言語)を学び、15歳で中学校中退、プログラマーとして企業。19歳でシリコンバレーに進出し企業。2005年、Perl6開発。女性へ性別移行。アップルでデジタル顧問。Siriのプロジェクト参加、35歳で史上最年少閣僚。とツッコミどころ満載の経歴であるが、それはパーソナルなことと冒頭に書かれている。コロナ感染封じ込めに成功した台湾、そのリーダーとして世界中から注目を浴びている。

コロナ感染初期の台湾の対応に「凄さ」を感じた。成功したことばかりが伝えられるが、当初はやはりうまくいかないことがたくさんあった。それを素早く対応し、情報を連結し、対策をたて、実行に移した。そのスピードに驚いてしまう。

武漢から帰国した最初の感染者が確認されたのが1月21日。
武漢からの入国禁止が22日。
中国全土からの入国禁止が24日である。
同時に感染経路の確認と接触者に警告メールを出し、
マスク増産と政府が全買い上げの指令を出す。
まだ、世界的に騒動になっていないときである。
3日間で行うなんて、政府の仕事とは思えない。

マスクの配布も最初はいろいろとトラブルがあったらしい。一人でお店を渡り何枚も買ってしまったり、流通経路などで留め置いたりの現場レベルのトラブルだ。それぞれのトラブルを管轄する行政組織はバラバラだ。配布するときも最初はデジタル技術を利用してコンビニでの配布を行おうとするが、高齢者のデジタルデバイドの問題がおきる。そこで薬局に行って並ぶというシンプルな方式を取り入れる。また、マスクマップと誰が買ったかがわかるシステムを導入する。関連する行政組織(30以上ある)をデジタル化して一つにまとめオードリ・タンが担当した。情報の流れを制御し、透明化し、提供したのだ。また、市民からのアイデアを採用し、8000人以上のシビックハッカーの参加のもとでマスクマップを作成する。すべてが一元化され、しかも早かった。

オードリー・タンは「エンパワー」の概念で説明する。「エンパワー」とは、トラブルやハプニングに直面した時に、すぐに反応し状況を変えていく力。その力が台湾の人々に備わっていたというのだ。
「台湾の街中で誰でもつかまえて『なぜ石鹸で手を洗わなければならないか』と聞いて見て欲しい。間違いなく『ウィルスは石鹸を使えば洗い流すことができる』とこたえられるでしょう。この基本的な知識が重要です」
「手洗いの徹底」「ソーシャルディスタンス確保」「マスク着用」という政府の要請を市民が実行レベルで共有したことが一番大きなポイントであると述べている。

「少数の人のみが高度な科学知識を持っているだけの状態では、何が起こっているか理解していない人が多いということ。大多数の人が基本的な知識を持っているほうが重要である。」・・・日本では、マスコミによってさまざまなトラブルが報道され、正しい知識よりも「こんなことも起きた。あんなことも起きた。」と関心を引く情報が飛び交っていた。

まだ、序章しか読んでいないので、記事は「続く」