「イシマン家のクリスマス」


 昨年(2020)に開催された「クリスマス」。
 世にも奇妙なイベントであるとイシマンは理解しておりますが、皆様におかれましてはクリスマスというモノをどのようにとらえていらっしゃるのでしょうか?

 イエス・キリストの降誕祭とされてはいますが、その実は不明な点が多くとどのつまりはよくわかりません。


 クリスマスとは

 「キリストのミサ」という意味で、一部の教派が行うイエス・キリストの降誕祭。
 あくまで誕生を祝う日であって、イエス・キリストの誕生日ではない。
 毎年12月25日に祝われるが、正教会のうちユリウス暦を使用するものは、グレゴリオ暦の1月7日に該当する日にクリスマスを祝う。
 ただし、キリスト教で最も重要な祭と位置づけられるのはクリスマスではなく、復活祭である。(イースター)


 日本の子供たちにとったら重要なイベントです。

 「サンタクロース」から「プレゼント」をもらえる。

 しかしだ、

 家庭の事情や経済状況によってはこのイベントが必ずしもまかり通るとは限りはしない。

 これは日本だけではない。

 「なんでウチにはサンタが来ないの?」

 そんな切ない質問を子供にさせてしまい、回答に戸惑ってしまうのは親のせいでもなく、政治のせいであり、資本主義に毒された社会のせいであり、我々が企業に誘導されて選択してしまった未来でもある。

 そんな話を最終号でしたいわけではなく、我が家のくだらなくも愛おしいクリスマスについて。。。


 24日、翌25日には子供たちの枕元にクリスマスプレゼントがひっそりと置かれているその前日である。

 仕事を終えて帰路に就くイシマン。
 時刻にして22時半。

 最近は再発中の腰痛のケアのために仕事終わりのプールでひと泳ぎして帰宅すると少々様子がオカシイことに気が付く。

 いつもなら出迎えすることもない奥さんが、縁側近くでコートを羽織ってうろついている。。。

 ん??

 散歩帰りなのか?それとも月がきれいだから散歩でも行こうかとイシマンを誘ってくれようとしているのか?

 否。

 そのどちらでもなかった。。。


奥さん:「あっ。。。イシマン。大変だったんだよ〜」

イシマン:「えっ!?どうした?なにかあった?そんな恰好で、こんな時間に」

奥:「クリスマスプレゼントが……」

イシ:「あぁ。長男のハムスターと、次男の犬の件……ね。我が家の条件では無理だよね〜しょうがないよ」

奥:「その件は解決して、おもちゃのドローン(ラジコンヘリコプター)と、ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)に誘導済みなんだけど……おもちゃ屋さんにプレゼントを引き取りに行くのを忘れていて」

イシ:「!まじか」

奥:「で、何とかお願いしてお代済みのモノは引き取れたんだけど、ピアニカが買えてなくってさ」

イシ:「え?いま夜の十時過ぎてるよ……おもちゃ屋さんも気の毒に。でピアニカはどうしたの?」

奥:「やってるお店を色々調べたんだけど、さすがに無くってね。しょうがないからコンビニを数件まわってみて何とかそれらしいものを見つけたんだけど」

イシ:「コンビニで?ピアニカ??それっぽいものって何?それ?」

奥:「ほら。ムック本ってあるでしょ、付録がついてる雑誌」

※ムック本
 (マガジンとブックの造語、昨今はブランド品の付録などがつくことが多い。付録付き雑誌)

イシ:「あぁ、コンビニなら売ってるね。ムック本。でもさすがにピアニカが付録のムック本は、きびしーよねー。あのサイズ感のピアニカが付録として雑誌についているなんて、すでに雑誌としての体が崩壊してるわけで、ピアニカに雑誌が付録としてついている。そんなもんあるわけないでしょ〜。」

奥:「まぁ〜、ピアニカは無理だったんだけど。音が鳴るし。色も赤で可愛い感じだったから。これだっ!って感じで買ってきたのよ〜。この一連がようやく終わってホッとしていたところが、今なのよ」

イシ:「えっ〜。コンビニでピアニカの代替品が手に入るなんて、世の中便利になりすぎじゃない?すごいね〜なかなかの窮地を乗り越えたんだ〜、お疲れチャン

 で……、何を買ったの? 何を?」


奥:「……。ほら。音が鳴るからイイかな〜ってことで

 真っ赤な……。

 キッチン……タイマー 」

イシ:「えっ!?全然、違うでしょ!ピアニカと?キッチンタイマーが?同列??
 いや〜明日の朝は事故の予感しかしないよ…。」

奥:「え〜、そっかな〜?かなり天才的な解決だったんだけどな〜。キッチンタイマー見つけた時に、私、天才って思っちゃったくらいなんだけと」

イシ:「いやぁ〜、確かに1%のヒラメキは重要だけど、【問題:ピアニカの代品】への解がキッチンタイマー。さすがのエジソンでも出せない答えだと思うよ」

奥:「ダイジョブ、だいじょぶ〜。」

イシ:「まぁ、クリスマスに興味がないイシマンがゴタゴタ言っても、なにも解決しないわけだし、明日の無事を祈るよ。キリストに」


 そして、クリスマスの朝。
 目を覚ました長男が、次男を叩き起こして枕元のプレゼントに気づかせ、二人で包装紙を開け始める音で目が覚めたイシマン。


長男:「リクー!起きて起きて、クリスマスプレゼントが届いてるよ」

次男:「ぅん。起きる〜。」

長:「リクが欲しがっていたピアニカ、来てるかな〜?僕のドローンも来てるかな〜」

次:「わぁ。プレゼント来てるね〜」

長:「やったー!ドローン入ってたー!リクのも開けてみよう」

次:「あけよう!あけよう!シュウマンあけて。リクのプレゼントも」

長:「あ……。アレ?」

次:「ん〜。なになに〜。何が入ってるの?」

長:「き、、、キッチン? キッチンタイマー?」

次:「キッチンタイマーってどんなヤツ?見せて見せて〜」

(寝たふりしながら、笑いを必死にこらえるイシマン)

長:「ほら、リク。これだよ。キッチンタイマー」

次:「わぁ。。。」

長:「真っ赤なキッチンタイマー」

(笑いが漏れかけているイシマン)

次:「……。」

(時が止まり、音がない、空っぽな時間が3秒ほど訪れる)
(イシマンはこれから訪れる『事故』を想像している)

長:「リクが欲しかったのって……」


次:「あー!これ、リクが前から欲しかったヤツだー!!!」

(笑いをこらえきれず、飛び起きるイシマン)


長&イシ:「え〜〜!前から欲しかったの!?」

次:「うん。これ前から欲しいな〜って思ってたんだよ。なんて言うんだけ?コレ?」

イシ:「キッチンタイマーだよ。(名前も知らないのに、欲しかったのか?)」

次:「よかった〜。これ欲しかったの忘れてたんだよ〜」

イシ:「サンタって……スゴイね。忘れてた欲しいものをプレゼントするなんて」

次:「だって。サンタだもん」


 日本にサンタはいません。三太夫(さんだゆう)しかいません。
 つまり、「毒蝮三太夫」(どくまむし さんだゆう)です。

 しかし、たまにはサンタがいる体で、劇の中に入ってみるのも一興あることを気づいた2020年のクリスマスでした。


 天才とは、1のひらめきと99の努力である。

 もとい、

 我が家のサンタは、100のヒラメキで「天才」であることをまた証明してしまった。

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