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『90日で成果を出すリーダー』(マイケル・ワトキンス)ブックレビュー

夏も終わり、、、ってまだ暑いけど、とにかく9月になり、10月からの動画作成に向け今年もいよいよ残り読める本が少なくなってきた。そんな中選んだのは、『90日で成果を出すリーダー』。まぁ管理職試験に受かって正式に内示されたのが7月だからまぁまぁ90日は経っているんだけど、会社の社長が薦めていらっしゃったから、そんな本は必ず読むべきだろうと思っていて、ようやく読めた。
要旨としては、『新しい管理職は最初の評価が後々にも大きな影響を及ぼすから90日で成功しなくてはならない。ブレイクイーブンポイント(新しい組織に与えてきた価値が、組織から消費してきた価値と同等に達するポイント)にできるだけ早く達することが重要』(xⅳ)とのこと。
そしてその移行期間(=90日間)の過ごし方のポイントとして、以下を計画、実践すべきと語られる(P270)

1)新しい任務に合わせ、思考を切り替える
2)効率よく学ぶ
3)状況にあった戦略を立てる
4)上司との関係づくりをする
5)小さな成果を上げて流れを作る
6)組織のバランスを調整する
7)部下を評価してチームを作る
8)内外の支持基盤を確立する

上記に加え、後半の章では私生活の管理や会社としての移行支援体制づくりの重要性にも触れられているこの本。
レビュー、いってみましょう。


はじめに:最初の90日

・移行期の落とし穴に注意(xⅵ)
1)自分の知識にこだわる
2)行動強迫症にとらわれる
3)過度な期待を作る
4)多くに手を出す
5)初めから答えを持っている
6)誤った方法で学習する
7)横の人間関係を軽視する

→特に行動強迫症には注意だな。昔痛い目を見たことがある。

第一章:準備をととのえる

・過去を忘れ、新しい立場で果たすべき役割を受け入れよ(P3)
昇進するに従い、物事を進めるのに地位の力は意味を持たなくなる(意思決定が政治的なものになり、権力より影響力がものをいうようになるため)。したがって最前線で何が起きているのかを把握するためのコミュニケーションチャネルを新たに築く必要がある(P6)
・リーダーシップのありかたを理解し、実演して示すべし。『世界は舞台、人はみな役者』(byシェイクスピアの『お気に召すまま』より)(P6)
①明確に区切りをつける ②弱点を知る ③強みに用心する(「金槌を持っている人にはすべてのものが釘に見える」byアブラハムマズロー) ④学び方を再考する(得意なことばかりに注力しがち) ⑤ネットワークを作り直す ⑥足を引っ張る人に注意する ⑦支援を得る(P17~24)

→昇進するに従い、地位の力は意味を持たなくなるって記述、凄く面白かった。やっぱりコミュニケーション(人間関係)をきちんとしないとね。
あと、区切りをつけるって大切だよなぁ。よく「あの人は偉くなってから冷たくなった」とかいうマイナスの言葉を聞いたことがあるけど、捉え方によってはその人も優先度を別の方向にシフトさせているってことだよね。

 第二章:効率よく学ぶには

・学習(現状把握)の弊害が行動強迫症。理解したいという気持ちを表すだけで信用や影響力は高まる。(P30)
・学習の優先順位を明確にする(P33)
着任前から情報源を活用する(P40)
・一人ずつ面談する場合は、同じ段取りで行なうべし。丁寧に聞き、フォローアップせよ(P42)
・就任前~最初の1か月において学習計画(何をどうやって学ぶか)を立て、かつ自ら周囲に助けを求めることで支援を得る(P49)

→着任前から異動先のことを色々調べている方々を、僕は結構冷めた目で見ていたけど、重要なことだったんだな。あと、面談の仕方、凄く納得感があった。参考にしたい。

 第三章:状況にあった戦略を立てる

・新任リーダーが直面する『STARS』モデルに注意。それぞれの環境でやるべきことや望ましい方法が異なる。Strat up(立ち上げ)、Turn around(立て直し)、Accelerated Growth(急成長)、Realignment(軌道修正)、Sustaining success(成功の持続)(P55)
・成長を持続させるための鍵は、絶えずビジネスの諸要素を立ち上げ、成長させ、軌道修正すること。組織に広がっている心理をしかるべき方向にシフトさせよ(P59)
・優先順位設定→戦略的意図の定義→初期成果の見定め→チーム構築→味方の輪を広げる の順で90日間の流れを作れ(P63)
・状況に合わせ、リーダーシップのスタイルを英雄タイプ(力強く先陣を切って主導)か執事タイプ(前面に出ず、合意形成や地固めを優先)で使い分ける(P68)

→STARSモデルによって、しかるべき振る舞いが変わるってことね。意識しよう。

第四章:上司と成功条件を交渉する

・上司を積極的に交渉して合意形成し、十分な資源を確保せよ(P77)
求められていることを確認する→主体的に関係作りする→行動計画作成の時間を確保する→上司にとって重要な分野で初期成果を目指す→上司が尊重する人から高評価を得る(P80)
新しい上司のスタイル(報告方法、判断基準、優先事項)に合わせそのうえで成果を出すことで良好な関係を作る(P94)
・自身に対する評価をある時点で確認するべし(P96)
・90日計画は紙に書く。優先事項と目標、中間目標をあげ、上司に見せ賛同を得る(P99)

→リーダーとその上司の認識が一致していて同じ方向に向かっていればいるほど、部下は働きやすいよね。
あと、上司のスタイルに合わせるっていうの、大事だと思う。僕は今の上司のK部長のスタイル(頻繁な報連相による共有に拘りがある)が元々性に合っているんだけど、たとえそうでなくても『合わせにいく』ことが大切だよな。

第五章:初期の成果を上げる

連続的に波を起こす。第一の波は、初期成果を上げることが重要。第二の波は組織を改造させるための根本的な問題を解消すること。第一の波は、「長期的な目標の土台となる」「短期的に流れを作る」という二つの役割がある。(P108)
・初期成果を上げる際は、①分野を絞る ②上司にとって価値があるものにする ③正しい方法を用いる ④STARSポートフォリオを考慮する ⑤文化に合わせる(P113)
・自分の評判を知っておくべし。人は自身の核心に合致する情報に目を向け、合致しない情報は無視する傾向にある(=『確証バイアス』)ため、妥当性がない評判が現実になるリスクもある(P114)
・誰とどのようにつながるかを考えよ(P118)
・組織を変えるには文化を変える必要があるが、既存の文化を打ち壊し最初からやり直すべきではない(すべてを変えるには人にも組織にも限界がある)(P126)
・予測可能な不意打ち(トラブル)を未然に避けよ(P128)

→初期成果については、今のK部長の上司のNさんの動きが当初それに該当したと思う。突発的にわかりやすく“目立てる”方向づけをして、実際それを達成して勢いに乗ったんだよね。やっぱり凄い人は凄いなぁ~ロジカルに成功を収めている。

第六章:組織のバランスをととのえる

・外部環境を踏まえ、以下をととのえる(P139)
1)戦略的方向性・・・達成に向けたミッション(なにを)ビジョン(なぜ)戦略(どのように)を計画
2)構造・・・ユニット(部下をグループ分けする単位)、統合構造(報告と責任のライン)、権限、評価システム
3)コアプロセス・・・各構造が機能するためのオペレーションシステムやプロセス、ツール。
※人体でたとえると、構造が骨格や筋肉、コアプロセスは呼吸や消化。
4)スキルベース・・・個人のノウハウ、関連知識(目標への理解)、コア技術(顧客データベース)、メタ知識

→ここはなかなか難しい話だったし、まだ僕がどうこうする段階にはないかもだけど、理解はしておこう。

 第七章:理想のチームを作る

・最初の90日間で、人材に関する決定(誰を評価して、誰と誰を交替するか)(P162)
・次の落とし穴に注意。①前任者の批判 ②既存チームをそのまま放置 ③安定・変化のバランスを無視 ④良い人材を手放す ⑤すべて一人で行うetc(P166)
・メンバーの能力を把握する(信頼できる人に聞くのもよし)(P169)
・ポストが核となるところにはAクラスの人材を登用する(P171)
部下をするため、面談では質問のテンプレートを用意し、比較しやすいようにする(P172)
・部下に質問した時に、論理的に断定的な回答ができるかで判断力を試せる(P174)
・チームの編成を検討している段階でも、すべてのメンバーに敬意を。フェアでない行動は不信感に繋がる(P177)
・チームの動機付けにはプッシュ型(目標・インセンティブ)とプル型(ビジョンなど)のツールを使う(P178)
・明言したビジョンを実践するよう気を配る。ビジョンにはみんなの意見を反映させること、反復して浸透させること、ビジョンを広めるためのチャネルを作ることが重要(P184)
・チームを主導する前提として、これまでのやり方の理解と有効性の判断が必要(P187)
チームのコアミーティングに適切な人数、人員を参加させるべし(P189)
・意思決定には「相談・決定アプローチ」(助言は求めるが最終決定はリーダーが行う)と「コンセンサス形成」(全員一致ではなくコンセンサスが目標)がある(P190)
・メンバーは①自分たちの意見と関心が考慮され、 ②決定に関する理由が説明されたら 決定を支持してくれやすい(P192)

→理想のチーム作りの章、とても面白かった。質問のテンプレートが記載されたP172はぜひ活用したい。
あとね、コアミーティングへの参加者設定の話、これも思い当たる話だなと感じた。分かってないリーダーが分かってないから分かってない人を無駄に含めちゃうことって、あるんだよね・・・。てか昔の僕もよくそれやってたし苦笑 話を先にすすめるには何が必要か、その審議や決定には誰が必要なのかという明確な方針をもって会議を設定しなくちゃいかんな。

 第八章:味方の輪を作る

・権限を持っていたとしても、目標を支えてくれる味方作りが必要(P199)
・「勝利の輪」:事態を前進させるのに重要な意思決定者(P202)
味方になりやすい人 ①共通のビジョンを持つ人 ②小規模で改革してきた人 ③入社したての人(P206)
・相手を動かすには相談を活用すべし。聞いた話をフィードバックすることで、こちらの真剣さが伝わる。(P212)
 ┗ロゴス(論理的主張)、エートス(公平性やチームワーク文化)、パトス(共通のビジョン)

→ここ1~2年、仕事をする中で“味方”って言ったらおこがましいけど、本当に困ったときに頼らせてもらっている人が増えた僕としては、改めて染みる章だった。大体は共通のビジョンがあったからなぁ。ありがたいことやで。

第九章:自己管理の意味を考える

ヤーキーズドットソン曲線:生産性のためには多少のストレスが必要(P227)
・自己管理の三本の柱 ①90日戦略 ②個人的ルーチン ③家族による支援(P228)

 →ヤーキーズドットソン曲線、面白い。

第十章:組織全体の意向を速める

・組織全体の意向を速める=企業全体のリスクマネジメントに直結(P242)
・移行するリーダーに段階的に支援を与えることが重要。着任前の期間を有効活用せよ。重要なデータを提供したり、主なステークホルダーと連絡を取れるようにするべし(P251)
・リーダーにコーチをつけることが難しければ、①移行支援方法(グループセッション、自己研修資料etc)の考案 ②各支援の対比用効果の検討 ③支援方法の決定 の三段階でフォロー(P254)

 というわけで読みましたよ、わが社の社長がおすすめした本。
ボリューミーだったけど、内容も濃かったね。最近自分個人の能力の至らなさを身にしみて感じ、だからこそいかにうまく周囲に協力を求めて全体としてデカい実績を作るか、を意識している僕としては、やっぱり7~8章が染みましたね。あとは今後、2・4・5章あたりは強く意識していきたい。

さてさて読書の秋に向かう中、動画作成もしたい今日この頃。朝活、頑張るぞう~~~。

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