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ひきこもりとともに歩き、学び、遊んだ色色

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ひきこもり支援をしながら、ひきこもりの人たちとともに歩いて、学んで、そして遊んだ様々なことをつづったものです。無償で気軽に読める短い記事やレポートを集めています。もしよければご一…
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2021年5月の記事一覧

ひきこもり・サブカルちゅあ② カフカ「変身」

コロナ禍のなか、僕はひきこもりの若者と読書会面談みたいなものをたびたびしています。 どういうのかというと、小説や評論など一つを選んで、それをお互いに事前に読んで、面談の時にディスカッションするというものです。原則として、マン・ツー・マン(1対1)で実施します。 今日はチェコの天才作家、フランツ・カフカの「変身」を読んでディスカッションをしました。 「変身」はユニークな作品で、世の不条理をテーマにしたものです。1915年に刊行されたのですが、100年以上経った現代でも色あ

ひきこもり・サブカルちゅあ① ガールズ&パンツァー

ここでは、ひきこもりの人たちとの触れ合いを通して、僕が学んだサブカルチュア的なもの(かなり広い範囲で。まあ、オタク的なものが多いです)を、せっかくですので、紹介したいと思います。 第一回目は、アニメの「ガールズ&パンツァー」についてです。ガルパンおじさんとは、狭義の意味では、プロレスラーの蝶野正洋さん。なぜなら、彼はガルパンの広告塔のような存在で、圧倒的な中年のおじさんだからです。 広い意味では、ガルパン(ガールズ&パンツァーを縮めるとガルパンと言います。以下はガルパンと

孤立の壁がもたらす家族の焦り

ひきこもりが回復していく際、孤立、成長、自立の3つの大きな壁を乗り越えていく必要があると、よく話していますが、一番時間のかかるのは、最初の孤立の壁だったりします。 この孤立の壁を乗り越えるときに、特にご家族はいつ終わるかわからない「無限の焦り」というようなものを感じることがあります。 なんらかの変化が実感できればまだしも、家族としてできることをやっているのに、なぜか成果が出ない。そんな時間が何ヶ月も、下手すれば何年も続いてしまうと、参ってしまうのも無理はありません。 え

ゲームも捨てたものではない

暗い話ばかりでもいけないので、明るい話も少々。ひきこもり支援の現場の話です。 インターネットやゲームの話題になると、長期ひきこもり界隈ではどうしても「深刻な依存問題」や「過剰課金による経済的破綻問題」などの話になりがちです。 それらはたしかにそういう一面もありますが、それだけではありません。悪い話ばかりではないのです。 近々、さる長期ひきこもりの若者が、さるIT関連企業に正規社員として採用されることになりました。ただ、彼はいっときほとんど家から出られない状態でした。それ

コロナ禍のひきこもり支援現場にて:突然死

僕の訪問支援をしている若者(ひきこもり)の一人が、このほど突然、亡くなったという知らせを受けました。 くも膜下出血ということです。 その方は40代で、僕が訪問してもなかなか顔を合わせられない人でしたが、最近はご家族の理解も進み、なんとかなればという期待も抱いていた矢先のことでした。 深くお悔やみを申し上げます。支援がまにあわなくて、残念でなりません。 ひきこもりの長期化にともない、当事者やご家族の高齢化も著しく進行しています。特に先月半ばからは昼夜の寒暖差で健康状態を