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夏夜の子供達

最近、twitterにトレンドに懐かしのmixiが入っていて

久々にログインしてみた。昔の日記、結構面白い事が書いてあるのね。

せっかくだから、備忘録としてここに残していこう。


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2011.03.26

今日ね
お昼寝してたら
夢をみたんだ。

夢なんて
珍しくないんだけど
今日の夢はなんだか
いつもと違って
起きてもはっきり覚えてた。

しかもね
私、夢の中では小学五年生の男の子だったの。
夢って大抵、年齢とか設定とか違っても、自分自身ってでてくるでしょ?


だけど今日は違った。
こんなの初めて。


【夏夜の子供達】


あの夏。

僕は夏の間だけ
田舎のお婆ちゃんちにあずけられてた。


その村の
子ども達は夜、外で遊んでも誰にも怒られなかった。

いや、
むしろ僕はその子ども達が遊んでいる所を夜しかみたことがなかった。


僕は少しずつ村の子と仲良くなっていった。

最初は慎重に付き合っていたけど
いたって普通の子ども達だったから安心した。


ちょっと気になることは、男の子の数が少ないってことだけ。

村に女の子は20人ぐらいいたけど
男の子は僕含めて3人しかいなかった。

しかもその中の一人は鶴瓶に似た赤ちゃん。
もう一人のことはよくわからない。

実は、この村の子ども達には派閥が2つあってもう一人の子は違う派閥なんだ。

彼がいるのは少数派で
たしか、レイコっていう女の子がリーダーだった。


ある日
いつものように
みんなと土手で遊んでたら
女の子達が真剣な顔で話し合いを始めた。


こうゆう時って大抵僕は蚊帳の外。
そんな時、僕は一人空を見上げるんだ。

夏の夜って生ぬるいんだけど
爽やかな風がふく瞬間があって僕は
それが気持ちよくって
風がふくたび
ネコみたいに目を細めるんだ。


街灯なんて一つもなかったけど
月と星が明るかったから夜だけどちっとも怖くなかった。


あっ
さっき、蚊帳の外は僕一人って言ったけど
鶴瓶似の赤ちゃんも蚊帳の外だ。

僕はこの赤ちゃんが苦手だ。
だって本当に顔が鶴瓶なんだ。

泣いてるところを一回もみたことないし
まったく赤ちゃんっぽくない。
しいて言うなら
まだ一人で歩けないところが唯一赤ちゃんっぽいところだ。


女の子達はなんの話し合いをしてるのか
ちっともわからなかったけど
いつもと違う感じだった。


そんな中

『これ以上レイコの好き勝手にさせられない!大人達はまだ気づいてないのよ。今に大変なことになるわ。』

一際大きな声が聞こえた。

そのこが駆け出した。
他の子達もそのこの後を追った。


僕と赤ちゃんだけがとりのこされた。


本当は
僕は赤ちゃんを連れていくべきなんだけど
僕は赤ちゃんを置いて走り出した。

あの赤ちゃんなら
一人でも大丈夫な気がした。


いや
本当はあまり関わりたくないだけなんだ。

女の子達の姿はもうどこにも見えないけど
そんなこと
ちっとも気にしなかった。

僕は
なんだか
不思議な気持ちだった。

ザワザワするような
ワクワクするような。

僕らが抱える重大な問題っていうのは
大人からしたら
ちっぽけなことで
僕らが大人になる頃には忘れてしまうようなこと。


だけど
子どもが抱える重大な問題を
レイコははるかに通り越しているんじゃないかと思った。

僕は
思いっきり走った。

今までにないぐらい
風をきった。


いくつかの不安や疑問は
いつのまにか
僕にとって意味をもたなくなった。

映像を早送りしたような景色達。

解放感。


いきなり後ろから声がした。

『今まで自分がこんなに早く走れるなんて気づかなかったやろ』


鶴瓶の赤ちゃんだった。
声も鶴瓶にそっくりだった。


いや
それより赤ちゃんが飛ぶように後ろをついてくるのを
僕はもっと驚かなくちゃいけないんだろうけど
その時はなぜか
そこまで驚かなかった。


赤ちゃんは僕を通り越した。


『みんな自分の才能に気がつかへん。いや、認めようとしないだけや。』


凄く確信をついたような言葉だった。


『簡単なことや。』


そう言って赤ちゃんはどんどん見えなくなっていった。


今僕になにが起こっているのか
これからなにが始まるのか
僕にはまったくわからなかった。

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