時代はどんな方向に流れているんだろう?

年末年始に『サピエンス全史』を読んでからというもの「時代の流れ」みたいなことがずっと意識の中にある。

私たちは進化してきていると思う。

これからも進化していくだろう。

約10万年前にホモサピエンス出現。そこから9万年間くらい狩猟採集のライフスタイル。
約1万年前に農耕出現。そこから格差が生まれたりしつつ、人口拡大が進む。
約5百年前に帝国出現。他の地域を侵略し、奴隷化していく文化。
約3百年前に産業革命。鉄道が出来て「村の人以外の人間と出会う」が普通になってくる。
約2百年前にフランス革命。「民主主義」みたいなことが出てくる。
約1百年前に第二次世界大戦。たぶん「もう戦争したくないよね」っていうことが世界の市民共通の価値観になってきた。
約3十年前にIT革命。オンラインで世界中の情報や人とつながるのが普通になってくる。


日本社会に民主主義が誕生し、女性にも参政権があるようになり・・・というところからまだ100年も経っていない。


たぶん僕らは「民主主義」のまだ初心者で、伝統や文化と言えるほど、それになじんでいないと思う。

逆に言うと、これから伸びしろばかりな感じがする。


資本主義のほうが世界での歴史は長い。学者さんによって諸説あるけど、おおよそ300年から500年くらいはやっている。

資本主義は「無限に成長する」という価値観のもとに、近代科学と結びついてこの数百年に世界をめちゃくちゃ豊かにしてきたと思う。

批判もあるけど、物質的豊かさを増していくエンジンとして、資本主義が果たした役割は大きいと思う。


副作用などに目をつむれば「この数百年で、物質的に豊かになった」というのは間違いないと思う。

今や、多くの人が、200年前の王侯貴族とかより物質的に豊かな生活をしている。毎日アイスやケーキを食べたりする人も普通にいるから、マリー・アントワネットに毒づかれることもないだろう。冷暖房完備の家で、快適に暮らしている人がたくさんいる。

資本主義の弊害のほうが、より注目されるようになってきていると思うんだけど、それは資本主義が悪というよりは、資本主義が、その役割を終えつつあるということな気がする。


ちょっと話は変わるけど、僕は以前、生命保険に関するベンチャー企業の経営に関わっていた。そのときに「日本の保険業界がいかにおかしいか」ということに注目していた。

全然、保険加入者のためになってないよ、みたいな。
保険業界はやたらと非効率だったりして、なんでそんなに保険料が高くなっちゃうんだよ、みたいな。

それで、よくよく日本の保険業界の歴史を調べてみたら、どうやら日本の保険業界は成り立ちが特殊で、国策として、戦後の未亡人の救済策みたいな面があったらしい。

そもそもが、保険加入者のためというよりは、雇用を生み、守るという色合いが強かった。そのために、法律的な規制を強くしていた、という面もあったみたいだ。

でもインターネットが出てきて、どう考えても「現代の状況」に照らしてみると非合理、みたいなところがあった。(実際、自動車保険などはほとんどネット保険になった。おそらく、自動車保険に関わる雇用の数は大幅に減っただろうと思われる。調べてないけど)

それは「未亡人の雇用をつくる」という役割を、日本の保険業界が担ってきていて、その役割を終えつつあるのだ、ということなんだろうと思う。


資本主義についても、相似形みたいなところを僕は感じる。


「物質的豊かさを無限に追求する」という役割を終えつつある。


というのも、やっぱり物質は有限のものなので、どうしても限界があるからだ。


ポスト資本主義はどういうものになるのか、ずっと考えているけど、
それは物質的豊かさの、次の指標を追いかける社会なんだろうと思う。

物質的豊かさに関しては、維持、または微減していくような中で、
非物質的豊かさを、これからの人間社会は伸ばしていくことになるのだろうと僕は思っている。


物質的豊かさを敵視する必要はない。
物質的豊かさを求める心は、人間の中にあると思う。

成人発達理論などは「含んで超える」ものだとされているけど、
まさにそれと同じような意味で、物質的豊かさを含んで超えていくのだと思う。

マズローの欲求階層説を持ち出せば生理的欲求や安全の欲求は、根源的な欲求でなくなるわけじゃない。だけれども、基本的に満たされていれば、その層の欲求が、人間や社会の駆動力にはならない。次に現れてくる、所属の欲求や、自我の欲求、自己実現欲求などが、人間や社会の駆動力の中心となってくる、ということだろう。


ちょうど、ヒューマンバリューの兼清さんが(珍しく)オンラインセミナーをやっていてそこで使われていたスライドが中土井さんがシェアしてくださっていた。

https://www.facebook.com/photo/?fbid=3632402380130155&set=a.289405394429887


ミレニアル世代の駆動力は、まさに「非物質的な豊かさの追求」だなと感じる。

これから社会は、どんどんそういう世界に動いていくだろう。


物質的な豊かさの土台の上に、
非物質的な豊かさを築こうとしている。

そんな時代の流れに自分がいるような気がする。


非物質的な豊かさは、愛、心遣い、感動、感謝、切磋琢磨、成長、学習、夢中、リラックス・・・そんな言葉たちで現わせるものだったりするのではないかと思う。

ワクワクする仕事にチャレンジする経験や、

海外の絶景を生で見て感動する体験や、

田舎に帰ってほっこりする時間や、

そういうことそのものの価値、豊かさというものを、


これからより一層、意識的に大切にしていく社会になっていく

そんな気がする。


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