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試合をディープに観戦するためのワンポイントプレビュー(リーグ第31節・名古屋グランパス戦)

9月22日は豊田スタジアムで名古屋グランパス戦です。

今週、ACLエリートで難敵・蔚山HDを1-0で撃破しました。これまで幾度となく対戦してきましたが、敵地で蔚山に勝利したのはクラブ史上初めてとなっています。

 なお鬼木フロンターレでの蔚山初勝利は、去年の等々力。
10月の出来事なのでまだ記憶に残っている方も多いと思います。スコアレスで迎えた89分、キャプテンマークを巻いている橘田健人が豪快な一振りでゴールネットを揺らしました。

 それまで越えられなかった蔚山に劇的勝利をおさめたことで、このときのチームには小さくない変化が生まれ始めました。

 それは何かというと、負けなくなりました。蔚山戦の勝利から約3ヶ月間、チームはリーグ戦だけではなく、公式戦でも負けることなく突き進み、12月には天皇杯を制覇でタイトルを獲得しています。要は、蔚山に勝利してからは一度も負けなかったのです。

「その再現をぜひ」・・と言ったら少し大袈裟かもしれませんが、今年の蔚山HD戦の勝利も、去年と同じようなきっかけになって欲しいと思っています。残されているタイトルであるルヴァンカップ、獲りたいですからね。

 でも、その可能性は十分にあると思ってます。
というのも、先日の蔚山HD戦での戦いぶりが、「川崎フロンターレはこういうチームであり続けてほしい」という思いを体現してくれたような試合だったように映ったからです。

決して華麗にボールを繋いだり、攻撃的なサッカーで勝利するカタルシスはなかったかもしれませんが、思い通りにならない悪条件のピッチだからこそ、自分のやれることを泥臭くプレーする。そうやってハードワークして、異国の地で愚直に、勝ちを持ってこようとし続ける。そういう選手たちの姿に、何かを受け取ったサポーターは多いのではないでしょうか。

 そして、チームの先頭に立って、その姿を表現してくれた存在が小林悠だったようにも感じます。

あの試合で彼が放ったシュートは、わずか1本でした。ストライカーとしては満足はしていないでしょう。しかし最前線からプレッシングのスイッチ役を献身的に担い、時には自陣の深い場所まで戻って身体を張って味方を助ける姿で、チームのタマシイを表現してくれました。

 そんな小林悠の姿勢について、帰国後の鬼木監督は「選手たちに勇気を与えてくれる」と評していたほどです。

「(小林悠が)交代する最後のシーンは、前からのプレスの場面ではなくて、逆に自陣のペナルティーボックスのところで体を張って守っている。全力で戻って、ああいう姿を見たら、やっぱり次に入ってくる選手たち、もしくは、ずっと出ている選手たちに勇気を与えてくれる。そういう姿勢のところですね。そこを非常に買ってますし、そういう思いで起用しました」

 大事なのは、こういう姿勢をチーム全員で共有し、それを続けることです。

この試合は、ACLエリートの蔚山HD戦から中三日で迎えるアウェイでの名古屋グランパス戦となります。中三日と言っても、試合翌日に韓国から帰国し、試合前日には名古屋に移動しなくてはいけませんから、かなりタイトな日程になっています。移動もタフですが、あのピッチでプレーしたことによる足腰に対するダメージも選手には残っているようです。

 チームに疲労の色も濃いのは間違いないでしょう。でも、踏ん張りどころだからこそ、やるしかないでしょう。そんな試合のポイントはどこなのか。見どころを語っていきたいと思います。

※ACLE・蔚山HD戦のレビューです。後日取材による追記も加えて約12000文字です。

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では、スタート!

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