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「次の問いに答えよ」 (リーグ第34節・サガン鳥栖戦:1-0)

割引あり

リーグ最終節は、なんとも渋い決着だった。
決勝弾はオウンゴール。スコアレスドローの気配も漂い出した、87分の出来事に生まれたものだ。

決定的な仕事をした選手を挙げるとすれば、59分に入った瀬古樹になるだろうか。

 自らの仕掛けでファウルを受けて獲得。フリーキックは鳥栖のGK朴一圭のファインセーブにあったものの、そこで得たコーナーキックが決勝弾につながるオウンゴールを誘発した。FKもCKも、キッカーはどちらも瀬古だ。

 ただ、試合後の本人の表情は渋い。
もともとミックスゾーンで饒舌に語ったり、笑顔を見せるタイプではない。そしてこの日は勝利しても、なお険しかった。勝敗に直結したとも言える、自身の二つのプレーに納得していないようだった。

「フリーキックも蹴ったコースは甘かったし、コーナーキックはオウンゴールなので。(FKが)入るときは、もっといいところに行くんじゃないかなと思います。(CKも)味方に合っていたボールではない。狙いはあったのですが・・・・」

  話を聞きながらも、そんな瀬古の醸し出す空気感はなんだか頼もしく感じた。

 圧倒的な強さを見せてリーグ連覇を成し遂げた2020年や21年シーズンの、勝った試合後に淡々としていた、あの集団の感じを思い出すからだ。

リーグ最終節はこれで終わったが、天皇杯ファイナルが控えている。瀬古は22年にやってきたので、川崎フロンターレでのタイトルの味をまだ知らない。だからこそ、そこに向けた話は、自然と語気が強くなる。


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