見出し画像

「Picture on my mind」 (リーグ第16節・柏レイソル戦:1-1)

 劇的勝利の立役者になり損ねた男は、試合後のミックスゾーンで感情を出さずに淡々と試合を振り返っている。

「今日のゲームは満足できる結果ではありません。ホームゲームもありましたし、いかなる時でも自分たちは勝ち点3を目指してやらないといけないと思ってます」

 声の主は2019年からクラブに在籍しているジェジエウだ。今季の最終ラインのレギュラー陣では、もっとも長く在籍しているディフェンダーになる。

 それだけに前節までの複数失点の2連敗は彼なりに重い責任を感じているようだった。この一戦に対する思いの強さを感じさせる言葉も口している。

「ここ最近の2試合もそうでしたが、今までの試合は失点が多すぎると思っています。よくない形での失点が多かった。チームの力になって勝たせたいと思っていました」

 1-1のまま迎えたアディショナルタイム。

山内日向汰が倒されて獲得した少し遠めからのフリーキック。キッカー・瀬古樹のピンポイントクロスを、ファーサイドに飛び込んで豪快に頭で合わせてゴールネットを揺らした。

 当初、副審のフラッグは上がらず、土壇場での逆転弾にスタジアムは「等々力劇場」と化した。決めたジェジエウは、エリソンや山田新にもみくちゃにされながらも、メインスタンドに向かって走り、耳に手を当てるゴールパフォーマンスをしている。「歓声が少ない」、「もっと騒いで声を上げろ!」と味方のサポーターを煽る意味が込められている。

 ところがVARの結果、ほんわずかにオフサイドラインから出ていたことで、ゴールは認められなかった。このシーンの話題に及ぶと、肩を落として語った。

「自分としてはゴールだったと思っていました。相手のラインを自分なりにキープしながら入っていきましたし、キーパーが出てきましたけど、その前にボールに触れることができました」

 スロー映像で確認してもかなり際どいが、オフサイドはオフサイドである。ジェジエウの強い思いが詰まった決勝ヘディング弾は幻に終わった。

 そして、試合後の彼には聞いておかなくてはいけないことがあった。「確認しておかなくてはいけないこと」と言い換えても良いかもしれない。

※5月29日に麻生グラウンドでの練習が公開されました。練習には参加していませんが、イングランド二部のパーミンガム・シティに所属している三好康児が、麻生に顔を出して汗を流しています。全体練習後は仲の良い車屋紳太郎とジョグをしておりましたね。

そんな三好に関するあれこれを追記しつつ、タイミングが合わずに話を聞けなかった大南拓磨に柏戦の試合運びの改善点を聞いています。後半、相手に修正された展開で、いかに自分たちのペースに持っていくべきだったのか。そんな追記になっております。

→■(※追記)「その分、裏は狙われると思いますけど、そこは自分たちの個の力で対応しながらうまく守れたらな、という風に思います」(大南拓磨)。試合後に指揮官が語った「どこをコンパクトにして守るのか」に対する守備陣の見解。そして俊足グリズリーにまつわる話。


ここから先は

13,009字

¥ 500

ご覧いただきありがとうございます。いただいたサポートは、継続的な取材活動や、自己投資の費用に使わせてもらいます。