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「キャプテンが口火を切れば、チームは等々力で勝つ」 (リーグ第11節・浦和レッズ戦:3-1)

割引あり

圧巻のドリブルゴールだった。 

佐々木旭が決めた2点目である。

1-1-で迎えた後半の立ち上がり。バフェティンビ・ゴミスが屈強なショルツ相手にキープした落としにサポートしたのは、なぜか佐々木旭だった。

なぜセンターバックの彼があの位置でパスを受けたのか。

正直、よくわからなかった。

この日、等々力にいたテツandトモ風にいえば、「佐々木旭があそこでボールを拾ったの、なんでだろう?なんでだろー」である。

その理由は試合翌日の取材で明らかになる。

味方が自陣でボールをクリアした瞬間、バフェティンビ・ゴミスにボールが収まりそうなのが見えたことで、そこで全体的にラインを上げようと周囲に声をかけていたのだという。そしてセンターバックである自分が率先して最終ラインを押し上げていったというわけだ。

「積極的にライン上げようという話を拓磨くんとしていて、クリアした後にその意識があったので前までいけたと思います。あそこからパスも考えましたけど、自分で行って思い切って打てたので良かったです」

 スルスルとドリブルでボールを運んでいくセンターバックの佐々木旭。あれよあれよと、相手のゴール前だ。その背中を、後方から眺めていた左サイドバックのファンウェルメスケルケン際は言う。

「見ていて綺麗に道が開いていったので。ああいう時は逆にそのまま行ける雰囲気が出てくるので、そこで冷静にコースに決められたのは旭のテクニックだと思います。それは素晴らしかったなと思います」

 確かに、対面にいた浦和の右サイドバックである石原広教は、並走していたマルシーニョのマークに意識を向けていたことで、結果的に真ん中を空けることになった。

 佐々木からすると、ドリブルしていたら目の前がぽっかりと割れて、ゴールまでの道筋が開けたわけだ。まるで「モーセの十戒」の割れた海みたいなものである。モーセ佐々木は言う。

「外にパスを出そうかと思ったんですけど、中央が空いていたので。後半の入りでしたし、思い切ってシュートを打ったら入ったので良かったです」

 それにしても、豪快な一撃だった。
なんだか、これまでのモヤモヤを晴らすかのようなシュートだった。

思えば、4月は守備陣の奮闘に攻撃陣がなかなか応えられない試合が続いた。最終ラインで出続けていた佐々木旭からすると、攻撃陣はもっと思い切って足を振ってもいいんじゃないかと思う場面もあったという。

「シュートが打てるんじゃないかなっていうシーンは後ろから見てて結構あったので、もっと打てばいいなっていうのは思ってました。打てば何か起きるかもしれない。自分は思い切って打てたので良かったです」

 苦しみながらも、ようやく掴んだリーグ3勝目。
それはいかに生まれたのか。しっかりと読み解いていきます。中盤で浮いたアンカーのグスタフソンを巡る攻防をたくさん掘り下げています。

ラインナップはこちらです。


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