「夜空に光る青い炎を燃やせ」 (リーグ第22節・ガンバ大阪戦:3-4)
敗戦の原因をどこに向けるべきか。
等々力ではなかなか経験のない劇的な負け方だったので、なかなか頭が整理できません。すぐには明確な答えを出せず、試合後の記者席でちょっと考え込んでしまうような敗戦でした。
4点目を取れなかった得点力を嘆くのか。それとも前半に3失点を喫してしまった試合運びの不味さ、そして土壇場で与えてはいけない4失点目を喫してしまったチームとしての守備力を嘆くのか。
もちろんどっちもなんですけど、自分は前半の3失点にこそ目を向けるべきだと思っていました。
今年の鬼木フロンターレは、かつてのように3点を「ノルマ」にするほど相手を圧倒しながら得点を奪って勝てるチームではありません。
僅差のリードをコントロールしながら勝ち切る。そのためには先制点を奪って試合を進めることが重要なわけで、消耗の激しい夏場ならば尚更です。そこでチームとして意思統一してうまく逃げきれるようになれば、もう一段階、上がれると思いながらその成長ぶりを自分は観察しています。
ただこの試合はそういうゲームコントロールうんぬんではなく、自滅のような形で前半だけで3失点してしまいました。夏場の試合で2点のビハインドを追いかけるというのは、ものすごくパワーのいる作業になります。だから、そういう土俵に持ち込まれた時点でかなり厳しかったわけです。
なので前半の3失点、そしてアディショナルタイムで喫した4失点目。この試合に関して言えば、そこに目を向けるべきではないか。ぼんやりとそんな風に考えながらミックスゾーンに足を運びました。
試合後、2ゴールでヒーローになり損ねた瀬川祐輔は何を思うのか。
ミックスゾーンで、切り出した彼の意見は逆でした。
4点目を取るチャンスがあった中で、決めきれなかった攻撃のクオリティを嘆いたんですね。「結果論ですけど」と前置きした上で、4点目を取れなかったことに矢印を向けていました。
「チャンスでもう1点、2点と取れるか。こういう撃ち合いは『質』だと思うので。守備は改善しないといけないけど、今日に関しては相当なチャンスがあった中での3点。質の部分にこだわってやらなければいけなかったと思います」
実際、勝ち越すチャンスはありました。
例えば同点に追いついた直後の78分。瀬古樹のスルーパスに山根視来が抜け出した決定機でのシュート。東口順昭にかろうじてセーブされるものの、あれを決めていれば逆転弾になっていたはずでした。
ちなみにこの場面、コーナーキックになるはずだったのですが、オフサイドディレイが適用されてオフサイドの判定になりました。
しかし中継のスロー映像で見ると、際どいながらオンサイドでした。山根視来も感覚的にオンサイドだと思っていたのでしょう。不思議そうに首を傾げていました。でも判定は変わらず、オフサイドのままゴールキックで再開。もしあれが決まっていたら、VARでゴールが認められていた可能性が高かっただけに、本当に勿体なかった。
いずれにせよ、決定機を決め切れませんでした。だから撃ち合いになると、勝負を分けるのは決定機を決め切る「質」だと瀬川祐輔は言ったのでしょう。
その意味で、彼の提案は建設的でした。
「もちろん、勝ち点1は拾わないといけなかったし、あそこで失点してしまうのもよくなかったと思います。誰のせいとかではなく、チーム全体で締めないといけなかった」
4点目が取れなかったところに目を向けつつ、4失点の悪い部分だけを指摘するのではなく、どうすれば勝てるのか。そこを口にしていたんですね。
「フロンターレの良さを守備でも出さないといけないと思います。今は点が取れるし、イメージの共有ができている。だからこそ、守備でチームとして守備をしないといけないと思います。連動した守備、がっちりとブロックを作る。いろんな守備のやり方がありますけど、一人一人が助け合ってチームとして戦えていたらもっとよくなる。必ずゴールは取れるから無失点で終えるようにしたい」
点が取れているのだから、守備も良くなれば勝てる。そういう発想をするところに、幾つものクラブでキャリアを歩んできた彼の秘密が垣間見れたような気もしましたね。
では、ここからが本題です。負け試合のレビューなんて1000文字ぐらいで終えたいのですが・笑、しっかりと向き合い、反省すべきところと改善できているところを検証してみました。えぇ、気づいたら10000文字越えですよ。
と言うわけで、ぜひどうぞ。普段は触れないトピックも触れています。
では、スタート!
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