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映画「THE FIRST SLAM DUNK」の続編はあるのか。井上雄彦監督が公の場で語った見解。

どうも、いしかわごうです。

2023年8月15日に映画「THE FIRST SLAM  DUNK」を鑑賞してきました。

ちなみに14試合目です。14と言えば、三井寿の背番号と同じですね。

さて。今回は久々に感想を書こうと思います。

とは言っても、映画の感想ではなく、上映後に行われたイベント「COURT SIDE in THEATER FAINL」の感想です。

今回は、仲村宗悟(宮城リョータ役)、笠間淳(三井寿役)、神尾晋一郎(流川楓役)、木村昴(桜木花道役)、三宅健太(赤木剛憲役)という湘北のスタメン5人だけではなく、なんと原作・脚本・監督の井上雄彦監督がついに登壇したのです!!!

思えば映画公開後、井上雄彦監督は、ほとんど公の場に出てきていないと思います。これだけ大ヒットしたにも関わらず、監督本人はメディアでのインタビュー取材などに全く応じていないんですよね。つまり、映画パンフレットやリソースなどの公式本を除くと、この映画については自身の口でほとんど語っていないんです。

自分が知る限り、映画公開後の取材で登場したのは、NBAプレイヤーの渡邊雄太との対談ぐらいではないでしょうか。とは言っても、この対談が公開されたのも23年の8月なのですが。

 なので井上先生が公の場で何を語るのか。すごく楽しみなイベントでした。

丸の内TOEIに現地参戦したかったですが、倍率がえげつなかったであろう抽選には外れ、あえなく撃沈。全国の映画館で生中継があるというので、そこのチケットをゲットし、近場の映画館で堪能することにしました(でも、ほぼ満席だった)。


ではイベントの感想から。記憶とメモを頼りにしているので、基本的に箇条書きですし、細かい部分が違っていたらすみません!ニュアンスは間違ってないと思うので、大目に見ながら読んでください。

【前編】湘北スタメンの声優さんたちのトークイベント。

井上雄彦先生を求めて参加したので、井上先生に関する話題のところだけ紹介しますね。あしからず。

■井上監督ってどんな人でした?

・穏やかな人でした(ゴリ役と流川役)
・台本を読んでこうやりたいと伝えたら、「じゃあ、やってみよう」って言ってくれる人(宮城役)
・カミサマ(三井役)
・サムライ(桜木役)・・・・井上監督が部屋に入ってくる時、侍が登場するシーンのように、その場で砂煙が起きるような感覚になる
・道場の師範代のような雰囲気はある(ゴリ役)
・決して話しにくい雰囲気の人ではない(全員一致)

・アフレコ現場では、井上監督が隣に座ってこの距離(かなり近い)で圧をかけてくれる。「山王(のゾーンプレス)の圧」を受けながら座っていた。

・井上監督とすれ違った時に一筆描いてもらう機会を狙っている(宮城役)

【後編】

ついに井上雄彦監督が登場。

・「砂煙が起きるとか言われて出にくい」と苦笑い。

・巷では「実在しない人みたいに言われている」との声に、「漫画はあんま描いてないから。でも描こうと思ってるし、この前はリアルを描いた。もうすぐ載ります」と宣伝。

■映画完成後について

・完成したとはいえ、見てもらわないと何の意味もないし、存在価値もない。お客さんに見てもらって、その人の中でちゃんと届いたり伝わって完成するという気持ちだった
・初日は映画館にお客さんとして観に行った
・家族や友達に映画を勧めている感想が嬉しかった

■映画でのこだわり

・こだわっていたのは顔。そのキャラクターの表情じゃないとダメ
・あとはバスケのプレー。ボールの回転だったり、ボールを扱う手の動き、重心のかかり具合など
・アフレコ現場。漫画では吹き出しの大きさや形だったりで調整していたので、その時の正解を求めていたら、テイク10とかになってた

・ブースの中で声優と距離が近かったと言われたが、「(ブースに)入りますよね?」とスタッフに言われて、監督が初めてでそういうものだと思ってやっていたら、みんなからあれが嫌だったと言われた・笑。「あれは導きがあったもの」だと言いたいと反論されてました・笑。

■宮城リョータの設定はどこまで決まっていたのか?

・宮城という苗字は沖縄に多い。あと小さくて素早いのは沖縄バスケの特徴でもある。そこのバックボーンは連載時から決めていた。家族構成はぼんやりしていた程度。

・キャラクターを作る時は、最初は表面の部分しか描けなくて、付き合いが長くなっていってから家族構成とかもわかってくる。宮城に関しては連載時にそこを掘り下げる機会がなかった。ピアスというパラレルな設定で、リョータっぽい人が出てくる。

■「THE SECOND SLAM DUNKでは他の誰かをやるんじゃないか?」の声

・「誰がそんなこと言ったんですか」と井上雄彦先生が苦笑い。

■「続編は?」という声には?

・「『ある』って言ってなかったらダメだし、『ない』って言ったら、どっかで描きたくなった時に描けない。自分を縛ることになるから言わない・笑」

・・・あるかもしれないし、ないかもしれないという見解でした。うーん、何年後になるかわかりませんけど、期待したくなりますね。

■円盤(DVD&Blu-ray)は出ますか?井上先生だから、出さないことも考えられるとネットで言われている。

・「俺が出さない人だと思ってるでしょ。そんなことはない。円盤の内容をどうしようかなっていま考えている」

・・・早ければ冬ぐらいに出せるのではないかとのこと。

■最後にメッセージを。

・めっちゃ言いたいことがあるけど、口下手なのであまり言えない。
・漫画が最初にあって、今回の映画はスラムダンクっていう名前のついた、もう一本の木みたいな感じ。同じ根っこから生えたもう一本の木。
・物を作るときに予定調和はあまりやりたくなかった。人生は短いので、「なぞる」とか「移し変える」ことにそそられなかったので、映画も違う感じのものになった
・プレゼントをするときに包装するように、「中はこれです」って言って渡すのは自分はワクワクしない。そういう理由で山王工業戦だと言いたくなかった。
・自分が漫画を描くときに大事にしているのが、ページをめくる行為。めくった時に、何が目に飛び込んでくるか。そこにワクワクしてほしい気持ちが根っこにある。
・映画も映画館に来てもらって、ページをめくった最初にあるものみたいに、来てみたらこうだったと驚いてくれたら、こっちも嬉しい。そういう気持ちでずっと作っていた。
・伝わって完成すると思っているので、だんだん完成しつつある

<終わりに>
久しぶりに動く井上雄彦先生を画面越しに見ることができて感激でした。そして、いつもそうですが、井上先生が紡ぐ言葉はとても響くものでした。

個人的に感銘を受けたのは、「予定調和はあまりやりたくなかった」という言葉。「なんで原作をそのまま再現しないんだ?」とか「山王戦の試合だけを観たかった」という声が起きることは当然、わかっていたと思います。でも原作を「なぞる」とか原作を映画に「移し変える」作業はしたくなかったと井上先生は言うんですね。なぜなら、人生は短いから違う挑戦をしたい、ということなのでしょう。このマインドが本当に尊敬できます。

僕がスラムダンクで一番好きなシーンは、山王戦のクライマックスで、桜木花道が安西監督に問いかけ、こう答えるシーンです。

「オヤジの栄光時代はいつだよ……全日本のときか?オレは・・・・・オレは今なんだよ!!」

・・・この桜木花道の問いかけと「オレは今なんだよ!!」のセリフ。僕はこのシーンを見る度に、すっかり大人になった自分に「お前の栄光時代はいつなんだ?過去なのか?花道のように今なんだよと言えるのか?」とよく問いかけています。そして花道のように「俺は今なんだよ!」と胸を張って答えられるのか。それを自問自答するんです。

おそらく井上雄彦先生が、原作を「なぞる」とか映画に「移し変える」だけの作業をしたくなかったのも、「俺は今なんだよ!」という気持ちがあるからだと思うんですね。

そういう意味で、今回のイベントで井上先生の言葉を噛み締めながら、「俺もまた頑張ろう!」と誓ったのでした。

映画は8月31日まで公開しています。まだ観てないという、アンビリーバブルな人はさっさと観てください。日本人の必修科目ですよ、スラムダンクは・笑。

過去の感想はこちらからどうぞ。


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