理想の男性像(の深層心理)
今回は、有料にするかちょっと迷った大真面目な内容です。
精神分析的心理療法家らしく、連想と解釈をしてみます。
女性として、またシングルマザーとして、T2の
サラ・コナーや
「ハンニバル」シリーズのクラリスが理想です。
と言いました→https://note.mu/ishikawa1002/n/n6e9ee34f689e
と言った時に、
これらの女性たちの隣に並んで似合う男性、
というのが大問題なのです。
サラ・コナーの隣には、アンドロイドで不死身で無敵のシュワちゃん…
クラリスの隣には、天才食人鬼のレクター博士…
不可能すぎるカップル〜〜〜(☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎!!!
これらカップル、映画の設定上では全然カップルではありませんが
作り手の意図として、またその結果観客が受ける印象として
間違いなく「カップル」ですね。
お似合いのふたり、という。
女性がサラ・コナーのように、鍛え抜かれた筋肉質の身体でくわえタバコで
バズーカぶっ放すようだと、
生身の人間の男では、もはや
隣に並ぶことが出来る男がいない…
しかも映画の中でサラさん、
息子ジョンの相手してるシュワちゃん見て
「文句一つ言わず子どもと根気よく遊んでくれるし、くだらないプライドばっかり高くてめんどくさい生身の男より、こっちのが全然イイわ」
(すみませんうろ覚えです)
とか脳内でつぶやくシーンありますよね。
ほ、ほんとそう思います!
と同意したくなってしまいますが、
いやちょっと待ってください。
その理想、どうやって実現したらいいのですか⁈
T-800(シュワちゃん)みたいな男性なんて、この世にいませんから…
監督のジェームズ・キャメロンさんは、
サラを演じたリンダ・ハミルトンさんと結婚していますので、
たぶん彼自身、強い女性が好きなんだと思います。
そして
「性的魅力を振りまいて男に救ってもらうばかりじゃない新時代のヒロイン」
を描くことには成功したと思うのですが
一方で対になるはずの
「新時代のヒーロー」
は、描ききれなかった?
あるいは、描こうとトライしたけどうまく伝わらなかった?
と思うのです。
(なんとなく、ラストで人間の心らしき片鱗を
見せるシュワちゃんに、
キャメロン監督が描こうとした新時代のヒーローを感じるが…)
「男は女に頼られる、強く逞しい存在」
(経済的にも肉体的にも知的にも)
これが、世の男性たちが信じ込んでいる
「理想の男性像」です。
これ以外の「理想の男性像」は、本当に無いのでしょうか?
実は、多くの女性たちは、
これ以外に「理想の男性像」があることを知っています。
上記の「理想の男性像」は
あくまで
「男性たちが信じ込んでいる理想の男性像」
にすぎないのです。
私は多くの夫婦の心理面接を行なっていますが
いつも
ぶち当たるのがこの問題です。
ややこしいことに、
男性が単純に
「男は女に頼られる、強く逞しい存在でありたい」
(経済的にも肉体的にも知的にも)
と信じ込んでいるだけではなく
男性たちが
「女性は、(経済的にも肉体的にも知的にも)強く逞しい男を求めている。
女性が不満げになるのは
男にこれらが欠けている時だ。
それ以外に、女性が男に不満を持つ理由は無い」
と、心の底から信じ込んでいることです。
これが、絶望的な男女間の断絶だと思います。
女性たちは、そんなもの望んじゃいないのです
(断言)。
試しに、男女をひっくり返して上の
「」内を読み返してみてください。
どんなに滑稽な話か、わかるでしょう。
極論すれば、「男女差」なんて、
野獣と闘ったりしなくていい現代社会では
ほとんど無いに等しいです。
女性たちはそこまで
「(男性に)庇護してほしい、守ってほしい」
と思っていないと思います。
ただ一つ
男性と女性の大きな違いは
子どもを産む性か産まない性か
ということがあります。
これは大きいです。
この点で、男性には大きなハンディキャップ
がある、とは思います。
なぜなら男性は
「究極的に、自分の子どもが本当に自分の子かわからない」
という根源的恐怖と不安を、
抱えざるをえないからです。
いや、そんなもん、今はDNA検査でわかるやないか、とかいう横槍はやめてくださいね。
そういうことじゃなくて、深層心理的な
話をしています。
また一方で女性のほうは
「自分の子かどうか不安になるとか意味不明」
ですので、
男性の根源的不安には共感できません。
この場合、歩み寄るべきは、どちらか
というと男性です。
「ターミネーター2」でジェームズ・キャメロンは、そのことを描き出したんじゃないかと
私は思うのです。
わかります?
自分の子どもかどうか、そんな不安から完全に自由な「理想の男性像」。
でも、ジェームズ・キャメロンさん自身、
無意識的にそういう描き方になったのではないかなと思われます。
男性が、女性に対し不必要なまでに
「強く逞しく」
いなければならない不安についての話でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?